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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.21】想像できますか?"ボンビー<font size="-1">※</font>"の存在する生活<br><font size="-1">※ボンビー=不発弾の呼称</font>

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カンボジアと聞けば、誰もが地雷やアンコール・ワットなどをイメージするのに、その隣の『ラオス』と聞いてもピンと来ない人も多いのではないでしょうか?私もその一人、2007年に調査でラオスに行くまで、全くイメージのつかない国でした。その時もクラスター爆弾の調査が目的でしたが、どうもその被害の実態から危険性にいたるまで、想像できないでいました。プレマ様のご寄付により不発弾撤去が終わり、いよいよ中学校建設に入るという段階を迎えた2009年1月、私はラオス北東部シエンクアンへ向かい、建設を提携するラオス赤十字との最終契約を行いました。実はこの時、不発弾の恐ろしさを、身をもって体験することになります。

2009年1月24日土曜日、ラオス赤十字のスタッフと、前日から中学校建設予定地であるベトナム国境近くのノンヘット郡まで視察に行き、午前中にシエンクアンの州都ポーンサヴァンまで帰ってきました。午後からは時間があったので、レストランで食事をして、午後からの予定を考えていると、ストリートチルドレンの子どもたちがやってきました。そして、私の食べかけのご飯を指差して、ご飯をくれとさかんにジェスチャーしてきました。カンボジアでは、何人もの物乞いを見てきたのですが、ラオスでは首都ビエンチャンでも見かけず、このシエンクアンが初めてでした。実はこの時、それほどお腹がすいていなかったのと、シエンクアンのレストランで出されるご飯は、とても1人では食べきれないぐらい山盛り出てくるので、彼らに食べてもらうことにしました。よほどお腹がすいていたのか、2人の男の子は、すごい勢いで食べ始め、一気に平らげてしまいました。その様子を見ていて、この子どもたちに興味がわいてきました。いったいどこに住んでいるのだろう?彼らにお願いしてみると、最初はこの変なお願いに戸惑っていた彼らも、ある男の子の家に案内してくれることになりました。

その子の家は、シエンクアンの州都ポーンサヴァンの町を見下ろすようにある山の裏側の中腹ぐらいの場所でした。町が一望できるその山にはリゾートホテルが建っていますが、彼らの家は、そんな華やかな場所の裏山の斜面をわずかに削った場所に建てた小さいトタンの家。中にいたのは、風邪をひいているのか、ひどい咳をするお父さん。子どもたちがご飯を食べていないのも分かりました。 事件はその帰り道に起こりました。
自分の家の庭のようにこの辺りを知り尽くしている子どもたちは、どんどん思い思いに進んでいきます。私が一人の小さな男の子と、『ボンビー(ラオスの人は不発弾をこのように呼びます)を知っているか』と話をしていたときでした。先を行っていた一人の男の子が走ってきて、何かを見せようとしてくれました。それが何か、私にはすぐに分かりました。ボンビーです。さび付いた手榴弾でしたが、明らかにまだ危険な状態にありました。一瞬、自分だけ走って逃げようかという愚かな考えすら頭をよぎりましたが、一緒にいた小さな男の子が危険に気づいて、すぐに草むらへ降ろすよう叫びました。私も必死にゆっくりとボンビーを置くように伝えると、ボンビーを持っていた男の子もすぐに草むらへ下ろしてくれました。しかし下ろした所は、橋のすぐ横の草むらの中。何も知らない人が、気づかずに踏んでしまう可能性もあります。すぐに不発弾撤去団体へ伝えなければと思いましたが、あいにくこの日は土曜日。伝えるのは早くても月曜日になります。 

次の日、ラオス赤十字のスタッフにこのことを話し、一緒に現場を確認しに行きました。ところが、昨日確かにおいた場所にボンビーがないのです。子どもたちの誰かが動かしたのだろうとすぐに分かりました。子どもたちが事故に遭っていないか、そればかりが心配でした。ストリートチルドレンはすぐに見つかります。彼らに問いただすとやはり、ボンビーを見つけた男の子のお兄さんが川の中へ投げてしまったとのこと。とりあえず子どもたちが無事でホッとしました。しかし、この事件は本当にショックでした。町からすぐ近くの場所で簡単に見つかる危険な不発弾。そして、その危険性を十分に理解していない男の子たちがとる行為の危うさ。今回は手榴弾でしたが、同様な形や大きさをしたクラスター爆弾の被害の多くは、こうした子どもたち、特に男の子が占めていることは様々な報告書などで指摘されていましたが、まさにそれを裏付けるような事件でした。この事件は撤去団体と行政へも報告しています。
ラオスのシエンクアンに、信じられないほどの数の不発弾が、今でも人々の日常生活に存在していること、危険な状況にあることを、少しでも想像していただけたでしょうか?

江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス中学校建設プロジェクトも担当中。

- カンボジア地雷除去支援 - 2009年5月発刊 Vol.21

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