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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.26】クラスター爆弾で散った"夢"から生まれた"夢"

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 今回は、ラオスのシエンクアン県で、2009年8月にインタビューをしたクラスター爆弾の被害者の話です。名前はサイカム、24歳。現在ラオス赤十字のシエンクアン事務所で働いています。プレマ株式会社様よりご寄付いただいたラオス中学校建設プロジェクトでも通訳などでサポートをしてくれました。3人兄妹の長男で、2人の妹がいます。あまりはっきりとは覚えていないようですが8歳か、9歳の時にボンビーの被害に遭いました。"ボンビー"とは、クラスター爆弾の子爆弾のことで、ラオスの人々はそう呼んでいます。ある日、2人の友達と共に、牛を放牧しに家の田んぼへ行きました。そのとき、家の田んぼでクラスター爆弾の子爆弾、ボンビーを見つけ、3人は遊びはじめました。突然、ボンビーが爆発。1つのボンビーの破片が左目を直撃し、気を失ったので、そのあとのことはあまり覚えていません。2人の友達は即死でした。

 左目を治療するために、ベトナムのハノイの病院へお父さんが連れて行きました。目の治療から帰ってきたときは、まだかすかに見えていました。でもそのうち視力はどんどん落ちて、今では全く見えなくなりました。政府からのサポートや補償は一切ありません。病院での治療費もすべて自腹です。ハノイでの治療費はとても高かったと思われますが、お父さんが全額を払いました。ラオスでは、障害者への社会保障の整備が遅れています。

 またサイカムや彼の友達のような男の子の事故は、ラオスにおける不発弾被害の多くの割合を占めています。『事故にあったときは、まだ幼かったので、友達も自分もボンビーが危険だとは知らなかった』と彼は話していました。戦争が終わった後も残り続け、彼のように戦争とは関係ないはずの子どもたちが被害に遭っているのが、ラオスでのクラスター爆弾の現状です。彼自身は片方の目を怪我しただけで、とてもラッキーだと思っています。お父さんも家族もみんな彼にそういいました。でも親友の2人をボンビーでなくしたことは、彼にとって本当に悲しいことでした。

 こうした子どもたちが事故にあってしまうのは、日常の生活圏の中に多くの不発弾が存在しているからです。サイカムが事故にあった田んぼは、家からそれほど遠くないところにあります。彼の家の田んぼには、以前とてもたくさんのボンビーがあったそうです。1994年ごろ不発弾撤去団体が撤去をして、少なくなっているようですが、今でも家の田んぼの周辺にいけば、いくつかのボンビーを見つけることもあるといいます。『今は危険なことを知っているので、絶対にさわりたいとは思わない』と強く話していました。

 インタビューの中で、サイカムの将来の夢を聞いてみました。子どもの頃からの彼の夢は、『警察官になること』でした。警察官になって、交通整理などをする仕事にあこがれていました。でも、「目が1つしか見えないので、警察官にはなることができない…」と言われ、警察官になる夢をあきらめたといいます。そこで高校を卒業した後、彼は学校の先生になることにしました。英語の先生です。ちょうど日本の支援で、シエンクアンに教員養成コースのある大学ができたのです。そこで英語を勉強しました。そして、卒業が近くなったある日、先生に聞きました。「私は先生になることができるでしょうか?」その先生の答えは、無情でした。「あなたは片目しか見えないから、教員にはなれない…。」片方の目が見えれば、十分教えることはできると思いますが…。2つ目の夢もかないませんでした。本当に無念そうにそれらの"夢"を語ってくれました。

 結局、彼はおじさんが所長を務めるラオス赤十字のシエンクアン事務所で働くことになりました。シエンクアン県にある2つの郡の、病院やヘルスセンターなどの医療施設からの情報と最貧困層の情報をまとめ、行政の医療課へ報告するのが彼の担当業務です。そしてアジア開発銀行からの資金を得て、最貧困層の家族の中で病人や怪我人がいれば、医療を受けられるようにサポートするのです。このように現在の仕事を説明してくれたあと、次のように今の夢を語ってくれました。『今の夢は、勉強を続けることです。まず英語とビジネスを勉強することです。もしもっと大きなサポートができれば、最貧困層の人たちが貧困から抜け出すことができるのです。』

 またしばらく彼は考えて、そして口を開きました。『私は、自分と同じように"機会"が失われている人たちに、"チャンス"を提供できるようサポートしたいのです。今は、お金がなくて病院で治療を受けることができない人に、治療の機会を提供しています。たまに村に行くと学校がなかったり、貧困のために学校へ通えない子どももいます。次は、そういう子ども達に教育の機会を提供したいのです。最後にノンヘット郡の中学校建設プロジェクトで、貧困層の人たちの支援をしてくださり、日本の皆様に感謝申し上げます。もしあなたがこれからも、障害や貧困のためにチャンスを失っている人たちをサポートしてくれたら、とても嬉しいです。ありがとうございます。』

江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

- カンボジア地雷除去支援 - 2009年10月発刊 Vol.26

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