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カンボジア地雷除去支援

江角泰 (えずみ たい)

NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。

【Vol.50】障害を乗り越えて夢に向かう貧困層の裁縫技術訓練生たち

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2011年1月から新たな村で、村落開発支援を始めました。名前は、ロカブッス村。今まで支援してきた村と同様にタイ国境のバッタンバン州カムリエン郡にあります。この村は、今までの村と比べても、非常に厳しい状況にあると言えます。村人の多くが、日々の食べるものを確保するのにも大変な状況で、村は、毎年のように起こる、旱魃や水害などの自然災害に見舞われています。今年前半も、他の村では雨が降っているのに、この村は渇いたままで、トウモロコシはほぼ全滅でした。村には、お店らしいものがほとんどなく、バイク修理のお店が1つ、雑貨屋が少しあるだけで、食料は10キロ離れた市場へ、買いに行かなければなりません。

事務所では、昨年12月に出産をして、産休をとっていた女性地雷被害者スタッフ、ラウが2011年3月から復帰をしました。事務所で再び研修を受けつつ、次の裁縫技術訓練を始めるための準備をしていました。そして6月からこのロカブッス村で、7名の村の若い女性へ、裁縫技術訓練をすることが決まりました。

裁縫技術訓練を受けることになった17歳のヴァン・メアカラさんは、4年前に小学2年生の勉強を終えた後、家計を助けるために日雇い労働者として、農作業をするようになりました。結局、小学校を卒業する前にドロップアウトしてしまったのです。彼女は3人兄妹の一番下で、両親は、農業をしています。キャッサバや豆などを栽培し、年間2万バーツ(約666ドル)の収入がありますが、家族が1年間食べていくには十分ではありません。そのため、自分の畑の農作業がないときには、村人の畑の農作業を手伝って、日当を得ているのです。「13歳のときに、すでに毎日のように畑に行って、日当を稼ぐようになっていました。」日焼けした顔で、そう答える瞳の奥に、裁縫技術訓練を受けられる嬉しさが溢れていました。教えるラウの厳しさもあるのでしょうが、わずかな休憩時間も惜しんで、ミシンに向かっている真剣な姿は、胸をうつものがあります。

ソーン・セットさん(19歳)は、6人姉妹の5番目で、4年前に小学校3年生が修了してから、家族を助けるために学校をやめて、農作業を手伝って収入を得るようになりました。両親はともに農業を営んでおり、トウモロコシやキャッサバを栽培して、タイのビジネスマンたちに売ることで、生計を立てています。年間3万バーツ(約1千ドル)の収入がありますが、子どもの多い彼女の家庭には、十分な収入とは言えません。彼女は、将来結婚した後、家で子どもの面倒を見ながらでもできる洋裁の仕事に憧れています。「裁縫技術訓練が受けられることは、本当に嬉しいことで、決して諦めずに訓練を受けたいと思います。」と力強く宣言してくれました。

現在、彼女ら2人のほか、5人の村の女性たちを訓練しています。ラウは、昨年3月に結婚して、旦那さんと赤ちゃん1人とともに、村の小学校の空き教室を借りて滞在し、その教室で裁縫技術訓練を実施しています。そんなラウや若い女性たちの熱意を冷ますような事件が、訓練を開始してまもなくの7月に起きました。この小学校は、村の集落から少し離れたところにあるため、夜になると周囲は閑静になります。そして夜、村の若いギャングたちが、小学校にバイクでやってきて、窓やドアを叩いたりするようになったのです。カンボジアの窓には普通、鉄の格子がはめてありますが、この小学校にはないため、夜暑くても窓を開けて寝ることさえできなくなりました。落ち着いて寝ることもできず、ラウから「どうにかして欲しい」という訴えの電話がかかってきました。実際に状況を見に行くと、ラウも安心して眠れず、訓練を受ける若い女性たちも心配そうで、なかなか集中することが難しくなっていました。そこで、ラウや他の現地スタッフらとも相談し、小学校の教室に窓枠をつけ、ドアの鍵を交換するなどの安全対策をすることにしました。同時に村長さんやカムリエン郡の警察にも状況を説明し、協力を仰ぎました。技術訓練を受ける生徒のお父さんらにも、警備のために小学校の教室に一緒に寝てもらい、警察へも通報したことから、次第にギャングスターたちも、やってこなくなりました。

村は何もないところですが、力を持て余している若者たちが、何らかの楽しみを見つけようとしているのかもしれません。ただ、「裁縫技術を習得したい」という村の若い女性たちの熱意を挫くことは、できなかったようです。落ち着いて技術訓練ができるようになった彼女たちは、さらに夢に向かって熱心に訓練を続けています。

江角泰(えずみ たい)

江角泰(えずみ たい)氏
NPO法人テラ・ルネッサンスのカンボジア事業担当者。
大学時代に、NGO地雷ゼロ宮崎のメンバーとして参加した「テラ・ルネッサンスのカンボジア・スタディツアー」が、テラルネッサンスとの出会い。
現在は、カンボジアにおける地雷問題に取り組む他、弊社が進めるラオス支援活動も担当中。
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- カンボジア地雷除去支援 - 2011年11月発刊 Vol.50

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