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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.65】今、この出来事に集中する

投稿日:

昨年12月から今年1月にかけて、物流センター移転に伴う混乱によりお客さまには多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

本稿はその物流移転後の混乱の真っ最中に書いています。移転後に委託開始した会社の社風なのか、何ら先方から情報が得られない暗闇の中から、徐々にいろいろなことが明らかになって溜まりに溜まった未出荷が一気に減り始めたところです。本通信の2月号が届く頃には正常化していることを願いつつ、毎日毎日お客さまに対する裏切りを続けてしまったことを悔いに悔いています。3・11震災直後も、ほとんど情報が得られず、断片的な憶測ばかりでとても苦しい日々を過ごしました。少しずつ情報が出始めると、たとえそれが芳しくないものであっても自らの行動を決定することができ、漠然とした不安よりも今すぐやれることに集中できたことを思い出します。結局、人はよくわからない状態に対して不安や恐怖をもつ存在であり、わかったことがたとえ不都合であっても受け入れられるものなのかもしれません。

「名前」のもつ影響力
このことについて考えていますと、多くの人は体調の不具合を感じたときに自分の病名を知りたいという衝動に駆られます。ウエスト○センチを超えるとメタボリックシンドロームの疑いありとの目を向けられるのも滑稽ですが、多くの病名はこれに似た何らかの検査上の目安をもって判断されています。もう5年以上前ですが、インドネシアのバリ島で宿泊型のセミナーに出ていた私の体に異変が起きました。突然足が強く痺れ始め、手もじんじんと痛いくらい痺れるのです。南国にいるのに手足が冷たく感じ、友人からもらったズボン下とダウンジャケットを羽織っても寒くてしかたないのです。冷房を強くすることで有名な先生の講座で、それなりの服装を準備していたのですが、あるだけ全部着込んでも耐えられません。他の受講生に「先生の冷房好きは強烈だよね、もう耐えられないくらいに寒くて。」というと、それほどでもないとの答えです。風邪でも引いたかなと思ってみたりもしますが、全身が寒いわけではなく、とにかく手と足だけが異常な冷感と痺れに覆われています。数日経つと、こんどは普通に歩いているときに足がもつれ始めました。数歩歩くと、1回つまずくのです。これは普通じゃない、何か大変なことが起きていると思うのですがここはインドネシアの離島、でも進行する異常さに耐えられず、外国人向け病院を予約しました。

診察を受けますと、インドネシア人の先生から「この状況は深刻と思われるが、ここでは検査できないのですぐにシンガポールにチャーター便で飛ぶことをおすすめします。手配してもよいですか ? 費用は保険会社が見てくれるので心配ないです。」といわれました。そんなに深刻な病気は何ですか ? と聞くと「検査しないとわからないが、ギランバレーシンドロームと思われる」と告げられました。帰国まであと3日という状態でしたから、「先生、その病気はよくわかりませんが、帰国便も近いので待って日本に帰国します。」と申し上げますと、「それは構わないが、大変なことになっても保障できないので、この件について責任を問わないという旨サインしてください。」と誓約書を差し出され、医師には責任はない旨のサインをしました。ホテルに戻ってネットでこの病気について調べると、難病指定だとか、予後は悪いとか、怖いことばかり書いてあります。もう、こうなったら仕方がない、これもカルマだと思いながら3日待ち、日本に無事帰国して近くの内科・神経科に直行しました。

先生に英文の診断書を見せ、診察が済みますと「すぐ、府立医大病院を紹介しますので行ってください。」とおっしゃいます。事前に調べるとこの病気には有効な治療法がなく、血液製剤やステロイドの大量投与をすることが多いようで、それは避けたかった私は「もう4日経ってそれなりに安定していますから、最悪期は超えているように思うので、自宅で療養します。」と申し上げ、家に戻って自然療法に明け暮れました。先生は親切で「何かあったらこの携帯に電話してくださいね。」と番号までいただきました。その後1ヶ月、明けても暮れても良くならないのでまた先生を訪ねました。「先生、どうも私はギランバレー症候群ではないのではと思います。だって、良くもならないし、劇的に悪くもならないのです。」と告げました。先生はしばらく診察したあとで「すぐ、京大病院に行ってMRIを受けてください、とにかく早くしてくれるように私から電話します。」

起きていることに集中する
検査の結果は、「頸椎症性脊髄症」、つまり首内部の脊髄と神経が椎間板に圧迫されているという外科的な病気でした。こんどは整形外科に行き、これもまた緊急に何とかしないとこのまま車いす生活です、でも手術は混んでいますから今すぐ予約する必要があるといわれ、とりあえずサインだけして帰り、じっくり調べてから対処し、今は普通の生活に戻っています。私事で恐縮ですが、病名とはかくも強い影響力をもつのです。もちろん私が大病院への入院を拒んだことが最初の誤りのきっかけにはなっているのです。仮に病名が間違っていても、一度名前がつくとそれに準じて何もかもが決まっていきます。このケースはわかりやすいのですが、実際には心、内臓、アレルギー、内分泌系の病などはそれがなんであるかを定義づけることは実に難しく、○○の数字がこうだから、これです、というのは常識となっています。コレステロールが高くても健康に影響はないとか、空腹時血糖値では糖尿病予備群は判別しないとか、新しいことがどんどんわかってくる医学の世界のこと、つけてもらった病名を金看板にしてしまうと、ずっとそこに固定されてしまう恐れすらあります。

名前やレッテル、定義より先に、起きている現象をしっかり見据えること。無理に現象に名前をつけないこと。わからないことをとりあえずわかったことにしてしまわないためにも、素直に今に集中して生きていきたいと思うのです。

- 中川信男の多事争論 - 2013年2月発刊 Vol.65

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