累計122万件出荷!自然食品・自然療法・エコロジー・らくなちゅらる提案サイト

感情のレッスンと実践

【Vol.60】感情と意識の進化

投稿日:

 人が小さいころから身につけて来た無意識の中の「信念」が強いマイナスの感情を作り出しています。これはトラウマの構造を考えてみると分かりやすいでしょう。嫌なことを思い出すたびマイナス感情がぶり返し、その繰り返しが記憶をコンクリートの構造物のように強化してしまうからです。トラウマを解消するためには、この無意識の信念を少しだけ書き換える必要があるのですが、意識の転換は、その人自身の内面の成長を必要とするので少し時間がかかることになります。

 しかし、優れた文学作品には、人の意識を変容させる力があります。たとえば、『はらへたまっていく かなしみ』八木重吉(オルコット出版編)は間違いなくそんな作品の一つです。愛する妻と幼い子供たちを後に残し、もう一緒には二度と見ることができないかもしれない故郷の野山や小川のほとりを歩くと、小さな虫たちまで愛おしく思えてきます。結核のため若くしてこの世を去らなければならなかった詩人の、残り少ない生への思いが短い言葉の中に凝縮されていて、読み終わると自分の中の何かが少しだけ変わってしまったことに気づかされます。それは、日常の些細な一つ一つの出来事が、今この瞬間だけの貴重な体験だと改めて実感させられるからです。

 短命だった八木重吉だけではなく、実は、読者の誰でもがこの世で残された時間には限りがあるということを今更のことのように自覚させてくれるのです。そんな時、誰しもそれまで囚われていた怒りや、憎しみなどの思いが消えてしまいます。優れた文学作品とはそういうものなのかもしれません。

 ちなみに、私が父親と同じ80歳で亡くなるとすると、残りはあと27年です。日数にすると約1万日になります。この1万日が長いか短いかといえば、1万円札を崩すとあっという間になくなってしまう様に…それはあっという間のことに違いありません。

 さてそのように意識の変容は、無意識の物語の書き換えが必要なので、自分の意志で自分の無意識を変えることは通常は困難です。しかし、自分の意志で長年のトラウマを解消した人々が確かに存在するのもまた事実なのです。

 これは、2年ほど前にTVのドキュメンタリー番組で放送された実話です。彼の名前を仮にペン君ということにします。ペン君は日本人ではありません。両親ともにラオス人です。両親は20年前に政変を逃れて日本にたどり着いた難民でした。日本に着いた時、すでにお母さんは妊娠していて、間もなくペン君を出産します。しかし、すぐに両親は離婚してしまい、ペン君は2歳から15歳まで養護施設に預けられることになってしまいます。お母さんは1年に1度だけ会いに来てくれたそうです。番組(物語)は彼が20歳になり関西のとあるホストクラブに就職するところから始まります。 ペン君はそれまでどの職場へ行っても他人とうまく付き合っていくことができませんでした。心が荒れているので、すぐに些細なことで人と喧嘩してしまうのです。そのホストクラブでもいつも誰かと取っ組み合いの喧嘩ばかりして、仲間からは鼻つまみ者でした。見かねた人情派の若いオーナーが何とか彼を立ち直らせようと教育するのですが、性格がひねくれていてなかなか言うことを聞きません。 オーナーは考えた末に、ペン君と2人で彼の母親に会いに行くことにします。母親と和解できれば、彼も何か変わるのではないかと考えたからです。自分も若いころに両親に散々迷惑をかけ続けた経験があって、彼のことを他人事に思えなかったそうです。 さて、母親の働いている町まで電車を乗り継ぎ、職場の近くの喫茶店で待ち合わせをします。母親は仕事を抜け出してやって来てくれるのですが、お互いに自己紹介する間もなく、「ゴメンネ」、「ゴメンネ」と謝りだします。子供のころいつも寂しい思いをさせたことをその店にいる間中、ずっと謝り続けたのです。3人に気まずい沈黙が流れました。当初の目論見とは反対に、ペン君はますますみじめな気持になってしまいました。そのまま、相変わらず人間不信で、何の変化もありませんでした。 次にこの若いオーナーは、父親に会いに行くことにします。20年間たったの1度も会いに来てくれたことがなかった父親にです。(続く)


矢吹 三千男

矢吹 三千男氏 生来の虚弱体質で16歳の時に十二指腸潰瘍を患い、ヨガと占いにはまる。二十歳の時には身長が175センチで体重は50キロ。いつも複数の薬を持ち歩く。様々な健康法を実践するもほとんど効果なく、ようやく食養生で体質改善に成功したのは30代も半ばを過ぎていた。その時、生まれて初めて「健康」を実感する。製薬会社勤務などを経て、その後バッチフラワーに出会い、現在(株)プルナマインターナショナル代表。 著書『感情のレッスン』文芸社刊

こころと感情を癒す花のメッセージ「バッチフラワーレメディー イギリスで70年以上の伝統がある花の療法です。依存性や習慣性もなく、世界60数カ国で多くの人々に愛され続けています。 バッチフラワーレメディーの詳細はこちら>>

- 感情のレッスンと実践 - 2012年9月発刊 Vol.60

今月の記事

びんちょうたんコム

累計122万件出荷!自然食品、健康食品、スキンケア、エコロジー雑貨、健康雑貨などのほんもの商品を取りそろえております。

びんちょうたんコム 通販サイトへ