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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.57】ビジネスと国際相互理解

投稿日:

この会社を創業する前から、私がひとつ心に決めていたことがありました。それはいつか海外のいろいろな人と関係をもつことで、国と国との関係が怪しいムードになったときにも、お互いに自立した人間として国家間の諍いとは離れたところで、お互いが認め尊重しあう関係をたくさん作っておきたいと考えていたのです。

私がはじめて具体的に海外を意識したのは10代のころ、中米ニカラグアでアメリカの圧政から自立を目指すサンディニスタ解放戦線が革命を成功させ、大国から自立した国づくりの真っ最中で、そのサンディニスタの人たちと交流できるツアーがあると新聞記事を通じて知ったことからでした。当時は「革命」という言葉が大好きでしたから、小国が大国から自立していくという情熱あふれるストーリーやその主役たちと交流できるという話は、私の心を揺さぶりました。とはいえ、私も母を介護している途中でお金もありませんでしたから、すぐに参加することもできず、そうこうしている間にサンディニスタはアメリカの傀儡政権に選挙で負けてしまい、組織が弱体化してしまったことでツアー自体もなくなってしまいました。それ自体は残念ではありましたが、このような変わったツアーを催行していたマイチケット社の山田和生社長(当時)を訪問して、世界にはいろいろな問題があり、それを現地で生で体験することや人と人とが交流することの価値や、それを旅行業というビジネスを通じて実現している話を聞き、とても興奮したのを覚えています。「ビジネスなどお金持ちの集金の装置にしか過ぎない」と信じていた当時の私にとって、ビジネスを通じた社会変革という可能性を感じた瞬間でした。今もマイチケット社は各種のオルタナティブツアーを催行されていますので、興味のある方はぜひ検索してみてください。

そして旅へ
青春期を介護と仕事で明け暮れて過ごした時期は終わり、自由の身となった私は95年春にバンコクへの片道切符を手に日本を飛び出しました。それまでも中国各地やアジア各地に小さな旅はしていましたが、当たり前ながら往復チケットで渡航し、人生をかけているようなものではありま
せんでしたから、一枚の片道切符は本格的な冒険の始まりです。この年、オウム真理教による地下鉄事件はタイで知り、激しかったといわれる国内報道のさまは全く知りません。アジア各国を巡ったあとは西に向かい、世界一周するつもりでしたがアジア諸国の奥深さとやさしさに触れてしまってあちこちで沈没し、果ては96年に長女がインドで生まれることになって旅はこの地で終わりました。

約2年ほどをこのようにして過ごし、帰国すれば大不況の最中です。99年にゼロからプレマをスタートしましたが、仕事が順調に進んでいても旅でお世話になった人たちのことを忘れられませんでした。さらに、2003年にはその後泥沼に陥ることになるイラク戦争が始まり、商売人は政治には口出ししてはいけないという常識などは横においてトップページにイラク戦争反対のバナーを掲示しました。売り上げに水を差す主張であることは百も承知ですが、どんな理由があるにせよ、人が人を無秩序に殺すことに正義はありません。『戦争をはじめとする、あらゆる争いとはお互いの共通点ではなく、違いにフォーカスするところから生まれる』のです。『愛の反対は憎しみではなく、無関心である』という言葉とともに、私の旅から実感を得た大切な事実であり、教訓となっています。

語学を超えるもの
イラク戦争勃発に後押しされる形で、私はこの事業そのものを世界中とのネットワーク作りのために生かしたいと考えました。とはいえ、私に貿易の知識があるわけでも、語学が堪能なわけでもありません。それでもなお、これまでに仕事の関係で濃密なパートナーができたり、アクションを起こしたりした国は、韓国、中国、タイ、ラオス、アメリカ、スイス、イタリア、オランダ、フランスなどに広がっています。

特に海外との取引に関しては、誰に聞いても何を読んでも契約書の重要性が説かれることばかりですが、これらの国にまたがる数十件の日本市場に対する独占的取引契約で、契約書を結んでいるのはたった一社であり、それも実に簡単なものに過ぎません。私やパートナーたちが、もっとも大切な国際取引の目的を「お金儲け」においているとするならば、契約書はとても重要です。しかし、「契約書なし」を標榜する私は国外のパートナーの誰からも裏切られたことはなく、また裏切ったこともありません。パートナーたちとは家族のような関係が続いています。取引のはじめ、契約書の話に及んだときには私から必ずこういいます。「もし、私や会社に不満があれば、どうぞいつでも私たちを切ってください。契約書を交わしたとしても、いつ切られても文句も不満も私にはありません。あなたにとって必要なパートナーでなくなったときに、私が権利を主張したとしていったい何の価値があるのでしょう」。すると、相手から返ってくる答えはいつも同じです。「私たちもそう思っているんだよ!紙に書いたことに何の意味があるっていうんだろう!」

私たちがお届けしている海外の製品はそうして日本に届けられたものであり、当然ながら、やっている間にはいろいろな問題が起きています。どんな問題が起きても、双方は真摯に話し合い、そして努力しています。それは「共通点にフォーカスすれば理解が、違いにフォーカスすれば争い
が」起きることをお互いに理解しているからに過ぎません。もし世界の指導者たちが、このようにそれぞれの国をリードしてくれたらどれだけ世界はすばらしい場所になるでしょうか。国際問題はこんなに単純なものでないのは百も承知しています。しかし規模が大きくても小さくても、結局のところ何が起きても原則はここに立ち戻るしかないのです。

- 中川信男の多事争論 - 2012年6月発刊 Vol.57

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