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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.13】私は、裏のある言葉に騙されない

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01ga_13_2.jpg 最近の企業広告をみるたびに、「この会社で働いている人は、本当にものごとを考える教育を受けたことがあるのだろうか」と驚くことが多くなりました。少なくとも、それらは世界に名を馳せるエリートたちの集まっている会社だったりしますから、計算されつくしているとすれば、よけいに背筋が寒くなります。もし、解っていないとすれば、それは思考力と倫理観の減退のようにも見えます。

子どもたちから食の意味を奪い去り、世界一のファーストフードショップチェーンの訴える「食育」、世界の水を汚し続け、次は高成長のインドや中国をターゲットにしている合成洗剤メーカーの「水資源保護」、世界の資源を買いあさり、貧困の陰を強くし続ける総合商社の「ロハス」・・・枚挙にいとまがありません。

面白いのが、これらの企業広告で訴えられている「食育」「水資源保護」「ロハス」たちは、すべて問題のすり替えが行われていることです。「食育」とは、本来的には『食べものは、自然の摂理とそれを支える人たちの努力によって支えられたものだから、食べものや食事を大切にし、感謝して食べましょう』の意味をもつと思われますが、いつのまにか『朝ご飯を食べましょう』みたいな話しになってしまいます。「水資源の保護」にしても、『人間が使うことのできる飲用可能な淡水はすごく少ないのだから、少ないことを意識して、出来るだけ汚さないようにしましょう』のはずが、『性能の高い合成洗剤を上手に使って、節水しましょう』になっています。「ロハス」に至っては、市民レベルで『消費をより意識的に、適切に行うことによって、無駄を省きつつ、大量消費をよしとする人間の生き方を見直しましょう』と私は解釈していますが、なぜか『売れるキーワード』になってしまいました。この言葉の商標(ブランド名)を所有している会社だけにとどまらず、私たちのような業界にいる中小企業までが「儲かる」「売れる」のためにこの言葉を乱用しているのが、目も当てられない事実となってしまっています。これを『今、乗っかかったほうが得ですよ』と吹聴し続ける経営コンサルタントや広告代理店の責任も小さくないと思います。

なぜ、こんなおかしなことに、人は簡単に騙されてしまうのでしょうか。それは、ものごとを裏表から深く慎重に見る人が少なくなってしまったからかもしれません。さらに、一般的に日本人は流行と権威に弱いのです。新聞もテレビニュースも、誰かが、誰かの思考に沿ってフィルタした情報でしかないことですら、あまり意識されることもなくなってしまいました。当然、それが企業の広告であるとすればなおさらのことですから、何らかの意図をもってその表現はコントロールされていて当然なのです。私たちのような小さな会社が発信するメッセージは、それだけで警戒も検証もされるのが常であっても、名の知れた大きな企業が著名なメディアを使って攻勢をかければ、穿ってみられる可能性も低くなることを、広告のプロたちは熟知しています。それだけではありません。このようなすり替え論調は、その企業の広告としてだけではなく、一見、中立的な市民団体のような顔をしてもすり寄ってきます。もちろん、企業支援を受けた御用団体です。それも、私たちが「中立的」ということが大切と思い込んでいるからです。

さらに、ひとこと加えるとするなら、これらの不思議な論理を妥当性のあるものにするのが「科学的」かどうかという理屈です。「朝ごはんをたべると、医学的にこれこれの機序によって、このように脳が活性化するから、集中力が上がります」「雑菌が繁殖しない除菌剤入り洗剤を使えば、二度洗いの必要性がなくなるので、統計的に何リットルの水が少なくてすみます」みたいな話しに、私たちはめっぽう弱いのです。

私は京都人ですから、一時の流行や尊大な権威、そして大きな会社の論理にはどこかしらに嘘っぽさが目に付いてしまうのです。さらに、科学的とか医学的とか言われると、「その理論は、この問題にとって本当に重要で本質的かなぁ」と考えます。私は、せっかくのこの性格を、この仕事に生かしたいと思いますし、それがなんらかの役に立つ日が来ると信じているのです。

- 中川信男の多事争論 - 2008年9月発刊 Vol.13

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