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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.39】今だからこそ、中国で感じたこと

投稿日:

私たち日本人の多くにとって、「中国」という国の名前を聞いたときほど、感情が動く国名はないでしょう。特に日中双方のマスコミによるお互いについての最近の報道はエキセントリックですから、どちらかといえば双方がネガティブなイメージになりがちです。こんな中国に10月中旬に私を含めスタッフ10名で訪問してきました。

プレマ株式会社では創業以来10年間、参加を希望するスタッフを含めた海外研修を続けてきました。普段とは全く違う角度から自分や自分の国や会社を見つめ直すためには、1週間ほど自国を離れ、海外で寝食をともにして過ごすのが最適であろうという私の経験から来るやりかたで、一つの社内文化として定着しています。昨年はプレマシャンティスクールの開校式のためにラオスを訪問したり、その前にはバリ島でスタッフの家族と合流したりと、成長めざましい発展途上国を中心として変わらず渡航先を選んできました。ずっと候補として挙がっていた中国訪問が、尖閣問題で摩擦まっさかりの時期になるとは、想定していませんでしたので、出かける前から意味ありげな様相だったといえるでしょう。

私個人と中国との出会いは20年近く前に遡ります。以前の本稿でも触れたように、若い頃の私は中国のシルクロードを辿るエリアを中心として旅していました。それは今でこそ有名になったチベットやウイグル、雲南といった少数民族が大半を占める地方を、「濃厚な人民」に混じって陸路で旅したものです。また、合気道や中国武術を学ぶ団体に所属していたこともあって、武術を通じた交流のために上海や杭州にも幾度となく渡航していました。当時は都市部でやっと高速道路の建設が始まったところでしたし、内陸の貧しい地方では人民服を着たおじさんが普通に闊歩していました。今のように人民元を自由に両替することもできず、外国人専用の外   券(外貨兌換券)という特殊な紙幣しか銀行で手に入れることはできなかったので、地方では闇両替なしではものすら買うことができませんでした。

今回は時間の関係もあって沿岸部の発展したエリアばかりの訪問でしたから、中国全体の傾向ではないのかもしれませんが、報道されているようにめざましい開発と発展が進んでいます。それはあらゆる領域に及んでいて、車から建物、そしてインフラなどの量と質にとどまりません。多くの人の生活水準からサービス業のサービス、そして個人のマナーにいたるまで、いくつかの例外や十分でない点はあるにせよ、あらゆるものが劇的に変化しています。

もちろん、このような中国の発展を伝えることがこの件に触れた目的ではありません。私はこの日本人の一般的な中国感や韓国感のような、リアルな交流や体験に基づかない一方的な判断はとても危険だと常々感じているのです。おそらく中国人の大半は反日感情を抱いているとお思いの方も多いかもしれません。確かに政府や党によって情報は制限されているので、判断材料が閉ざされたなか、画一的な偏見を持ちやすい環境にあることは事実です。しかし実際には親日的な感情をもつ人も、また海外ソースから的確な情報をつかんで自国のあり方を客観的に見ている人も確実に存在します。今回交流をした優秀な世界的企業であるアリババ社の社員たち(これももちろん一部でしかありません)は典型的です。

【優先順位は取引先・顧客が第1、従業員が第2、株主は第3】【自分たちだけではなく、中小企業の発展にこそ寄与する】という日本企業でも明確にできない先進的なビジョンをアリババ社は掲げていますし、これら社長の深い理念が末端の社員にまで浸透するというビジョナリーな経営を確実に実践しています。日本の著名なインターネット企業で、まったく逆のやりかたが厳然と存在していることからみても、画期的なことだと思います。

食に関しても、すでにオーガニックの価値に目覚めた企業の存在は確認できました。まだ途上とはいえますが、日本が何十年かけても前進できなかったこのテーマを急速に普及させつつあり、それを受容する国民も確実にいるのです。私は、アリババ社や中国の自然食企業があるから中国が立派な国だと言いたいのではありません。どんなことにも長い歴史的背景と、短絡的な結論は導き出せない複雑な背景があります。時流に流されることなく、「よく見、よく感じ、よく話し、よく聞く」ことにまさる相互理解はありえないのです。これはどの国、どの人とわかり合うためにも絶対的に必要なことだと、改めて感じています。

- 中川信男の多事争論 - 2010年11月発刊 Vol.39

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