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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.101】“MOTTAINAI” もったいない

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日本人には聞き慣れたこの言葉、とはいえ、最近は耳にすることも少なくなりました。「断捨離」ブームの片方で、捨てることは良いことだという風潮もあり、なおさらに聞かなくなっているのかもしれません。私の祖母は明治生まれの人でしたから、何かにつけてもったいないを繰り返す人で、ほんとうにものを大切にする人でした。とくに食べものを粗末にすることは許せないという姿勢でしたから、自分のお茶碗のご飯粒をお茶できれいに洗って、すべて胃袋の中にいれるわけです。米とぎの時にも1つの米粒も逃しません。今、彼女が生きていたら、私の米とぎや子どもに対するしつけを叱責したかもしれないなぁと思います。“MOTTAINAI”という言葉はノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんによって世界中に知られることとなり、「持続可能な循環社会」という難しい用語を使わなくても、私たち日本人にはものを大切にする心を示す、もっともしっくりくる言葉となっています。

食品廃棄ゼロを目指して

この、「もったいない」の生まれ故郷である日本、実は一人当たりの食品廃棄率が世界一なのです。世界一の消費大国であるアメリカと比較してもダントツです。

日本の食糧自給率は約40%程度といわれていますが、大量の食品を輸入している一方で、年間11兆円の食糧を捨てています。この1940万トンの食糧で、ざっと5千万人の飢えた人を救うことができるというほどの膨大な量です。このうちの多くがスーパー、コンビニなどの流通上、「賞味期限切れ」をむかえてしまい破棄されるといわれています。人口がおよそ1億2千7百万人である日本のゴミ焼却炉は約1800基あり、一方でおよそ8千万人のドイツには約50基しかないそうです。どれだけ多くの食品を日本人が捨てているか、そのうちの多くが流通過程において廃棄されていると知ってから、食品を扱う弊社でも食品廃棄ゼロを目指して努力を続けてきました。その結果、昨年度は社内廃棄ゼロを達成することができました(不良品や外装が破損した食品は除きます)。基本的には、残念ながら賞味期限や消費期限を迎えてしまった食品に関しては約50名いる弊社関連のスタッフで持ち帰りますが、その期限を迎えるまでに、価格を下げるなどして徹底的に売り切る努力を行います。各問屋さんとも連携を強め、自社便を毎日運行させて問屋さんにある在庫を自社で取りに回っています。調達後、突然キャンセルとなった品については、問屋さんに自社便などですぐに戻せる体制も組んでいるので、無駄になることがありません。価格を下げての売り切りに関しても、原価を大幅に下回って大損することが確実でも、もったいないの精神で、捨てるよりはお客様の手にお渡しして有意義に使っていただく方がよいと考えています。コンビニなどでは価格を崩すことのほうが問題とされますから、捨てるほかないわけですが、どこのチェーンにも属していない私たちは、そこを自分でコントロールすることが可能です。

また、価格を下げるタイミングも、小売も卸も平行して行っている弊社はかなり早くなっています。ときおりお客様から「こんなに値下げの品が多いなんて、よほど売れていないということですか?」と聞かれることがありますが、決してそうではありません。街の小売店ではまだ普通の値段で売れるとされるものであっても、弊社は自社商品の卸も行っている性質上、充分な期限を残しておく必要があります。そんなこともあって、かなり前倒しで価格を下げて「捨てないでお客様に食べていただく」ことを最優先にしています。

「消費期限」と「賞味期限」

混同しやすいこの2つの言葉の定義を確認します。消費期限とは、保存がきかない弁当や牛乳、生菓子などの食品に表示されているものです。未開封で正しく保存したときに、食べても安全な期間を示しています。基本的にこの日までに食べきるのが前提です。一方、賞味期限とは、常温や冷蔵で保存がきく味噌や醤油、菓子などに表示されており、「おいしく食べられる期間」を示しています。農林水産省のページでも「賞味期限を過ぎても食べられなくなるとは限りません。」と念押ししてあります。要するに、賞味期限とは、この日を境に急激に劣化して食べたら危険ですよ、という表示ではありません。また、ゆるやかに味は変化していきますから、突然この日からまずくなるわけでもないのです。法律上も消費期限を過ぎた食品は売れば罰せられますが、賞味期限はこれとイコールではありません。とはいえ、弊社ではお客様の心情や社会通念も考え、賞味期限も消費期限なみの基準と捉え、賞味期限を過ぎた食品を売ることはありませんし、その日を迎える前の、規定の日にディスカウントをスタートします。一方で残念ながら、この2つが日本では混同されすぎていることで流通上、大量の食品廃棄が起きていることも否めませんが、いくらもったいないを大切にすると私が思っていても、それをお客様に押しつける気持ちはないことをご理解ください。つまり、お客様のご自宅では、賞味期限を過ぎたからといって、ゴミ箱にポイ、とはしていただきたくないのです。健全な五感は食べてもよいものか、悪いものかを教えてくれます。どうぞ、もったいないセンサーの感覚を研ぎ澄ませ、不名誉な世界一をともに返上していきましょう!

- 中川信男の多事争論 - 2016年2月発刊 Vol.101

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