昨年、私が買ってよかったと思っているもの。ハイスペックのパソコン。iPhone。ここまでなら珍しいことでないと思うが、さらに買いそろえたのが、1分間に20枚(しかも両面)が読み取れちゃうスキャナーと、1センチ厚の紙束がざっくり切れちゃう裁断機である。
「読み終わったけど、今後仕事で使うかもしれない、でもいつ使うかが見えていない」本が書棚一台分あった。それらをすべて、裁断機でばらして、スキャンして、PDFファイルでパソコンに保存しちゃったのだ。棚1台分の本が家からなくなったって、すごい。しかもこのPDF、中身を一発で検索できて、さらにiPhoneで読めるのである。
「あの話、あの本の中のどこに書いてあったっけ?」と本をめくって探す必要もなくなった。
私のお片づけのバイブルは、長年、カレン・キングストンさんの『ガラクタ捨てれば自分が見える』だった。「運を呼び込みたかったら、開運グッズを飾る前に不用品を処分しなさい」と説くこの本は、書籍(=過去の知識)もため込まないことを奨励していて、私も、ときには本とのお別れにほろりと涙を流しながら、処分に努めてきた。
しかし、昨年、小山龍介さんの『整理Hacks!』という本が新約聖書?として私のバイブルに加わった。小山さんが紹介している書籍の整理方法(捨てないかわりに全部検索可能な形式で保存する)は、久々の、胸がすくような発想の転換だった。
余計なものをためこまない=クリアリングという概念は、たしかに人を「未来に備えすぎて自分の荷物を重くしてしまう」というジレンマから解き放ってくれる。でも、一方で、人間は、脳みその中だけは無限大なのだ。パソコンが、「サブ脳みそ」となってデータを保存に徹してくれれば、血の通った脳みそは、CPUとして最速回転することができる。その気持ちのよいこと。
この方法を採用してから、本当に仕事が早くなったし身軽になった。あと、メモのとりこぼしなども格段に減った。詳しい方法は右掲の本に出ているので、本を「死蔵」でなく「活蔵」したい方はぜひ参考にしてみてください。
石塚 とも
石塚 とも氏 東京都生まれ、慶応大学文学部卒。大手出版社勤務を経てフリーに。2001年、品田雄吉賞を受賞し、映画評論家として活動開始。 2006年、ローフードを推奨する健康法「ナチュラル・ハイジーン」と出会い、体重10キロ減を初めとしてさまざまな心身の変革を体験。ローフードが持つ科学的、社会的、人文学的な魅力に魅せられ、研究を重ねる。書籍、講演、ブログを通じて、ローな自分と世界に起こるさまざまな変化を発信し続ける。 著書に『ローフード 私をキレイにした不思議な食べもの』など。 |