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原発は本当に必要なのか?(後編)

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小出 裕章先生 インタビュー
原発は本当に必要なのか?(後編)

特集

小出 裕章先生 インタビュー
原発は本当に必要なのか?(後編)

原子力発電について、漠然と良くないと気づいているものの、「電気」という現代の暮らしになくてはならないエネルギーを考えるとき、はっきりと「要らない」と言うのは難しいもの。
そこで原子核工学者の小出裕章先生に話を伺いました。
前編では、原発が必要とされる理由の真偽を、後編では、化石燃料などのエネルギー資源の可能性や、電力自由化のからくりについて教えていただきます。
(エネルギーの話を主軸とし放射能の人体への影響については掘り下げません)

電力自由化でも間接的に電力9社に支払うことに

※北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力のうち、沖縄電力以外の9社のこと。沖縄電力は、日本で唯一、原子力発電を持たない。

―原子力を止めさせるには、どうすればいいのでしょうか?

小出さん(以下小出)
おっしゃるように「炊飯器を止める」というのも、一つのいい手段だと思います。私は、そもそも電気を極力使わないようにしていて、以前、住んでいた熊取にはエアコンはありませんでした。

―熊取は、和歌山に近く南の方ですが、エアコンがなくても過ごせるものですか?

小出
めちゃくちゃ暑かったです。でも、極力、電気を使わないと決めていたので。子どもたちが小学校の夏休みの宿題で、エアコンの使用量の調査をしなければならなかったのですが、家にエアコンがなかったのはうちだけだったようで宿題を免れたと喜んでいました(笑)。
今、決定的にみなさんができることは電力会社を変えること。電力自由化になりましたので、「原子力発電をしている電力会社」の電気は買わないと。これは圧倒的に効果があると思います。私は今、長野県に移ってきて、中部電力の供給エリアにいます。中部電力は浜岡に原子力発電所を持っていますが、現在、全部止まっています。もし動かすことになったら、僕は絶対に中部電力の電気は買いません。その前に、動かそうとしていることに対して、抗議をして電力会社を変えようとしています。みなさんが「原子力発電をしている電力会社の電気は買わない」と声をあげれば、電力会社はきっと困るはずです。
広告の影響で原子力の電気は安いと思っている人も多いのですが、下図のグラフのように実は高いです。前回お話ししたように、通常の水力発電と違って揚水発電はかなり高額。原子力発電のために揚水発電が必要ですので、その分を追加すると原子力発電は高くなる。
そのうえ原子力発電所は、国がさまざまな研究開発費を出しています。その財政支出を上乗せすると、さらに高額に。例えば、高速増殖炉もんじゅは、全く電力供給できないまま廃炉が決定しました。止まったまま一兆円が無駄になったのです。原子力発電所を建てるためには、その土地に多額の投資をします。これも財政支出の一つで、それも上乗せすると、さらに高額になるわけです。

―さらに廃炉に何十年もかかる……

小出
そうです。原子力発電のために、高い電気代を払っているわけなのです。

―しかも、このグラフは2007年のもの。その後の経過を考えると……

小出
そうです。例えば、3・11で事故が起きましたよね。廃炉、核のゴミの始末の費用がさらに必要になってきます。ちゃんと賠償するならば、国が破綻するほどの費用がかかるのです。

―今年、補償が打ち切られますよね?

小出
そうです。この3月に自主的に避難している人の住宅の補償が打ち切られます。ちゃんと補償しないまま乗り切ろうとしているわけですが、それでも22兆円かかる。本当に補償することを考慮すると、100兆〜200兆円。火力発電、水力発電の比ではなくなってしまいます。そのうえ、廃炉や核のゴミの処分など、原子力発電は、やればやるほどお金がかかってしまうのです。
今、進められている電力自由化ですが、原子力の費用、廃炉や核のゴミの始末にかかるお金を「電力会社」ではなく「送電会社」に支払わせようとしている。

―どういうことですか?

小出
わからないぐらいひどい理由ですが、彼らの論理では「本当だったら事故を想定して電気料金を徴収しておくべきだった。でも事故が起きてしまった。試算が間違えていたから、過去に遡って、その利用者からお金を徴収しなければいけない。原子力発電を動かす会社ではなく、広くみんなに責任を取ってもらわなきゃいけない」というわけです。
仮に、原子力発電が嫌だからと別の会社に乗り換えても、送電料金として、原子力の始末の費用を払わされる。そういう仕組みを作ろうとされている。

―電力自由化の本当の理由ということでしょうか?

小出
実に悪辣(あくらつ)で、頭がいい。結局、送電会社を分離したとしても、今の電力9社がそれを支配していくという関係は、おそらく簡単には乗り越えられません。

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化石燃料に頼りつついずれは太陽エネルギー

―自分で発電するのが理想ですね。

小出
そうですね。住宅建築業者のなかにもオフグリッド、つまり送電線と結ばず独立してエネルギーを賄える住宅を建てようと試みている会社もあります。社長自ら送電線から切り離して生活をするということを実験的にやっていますが、冬になるとお風呂に入れないとかね。

―あ、それはちょっと辛いですね。

小出
ちょっと辛いですよね(笑)。簡単ではないけれど、そうやって一歩一歩やっていくしかない。私も自宅の屋根に太陽光発電を乗せており、ほとんど電気を使わないので8〜9割売っています。

―今後はどのようなエネルギーを使えばいいのでしょうか?

小出
エネルギー源という意味で地球上で一番多いのは石炭です。下図の「究極埋蔵量」は存在することがわかっている量のこと。実際に掘るとなると、炭鉱を作り人が降りるので、エネルギーもお金もかかり危険も伴う。そのうち現在の技術レベルで、採算があって掘り出せる量が「確認埋蔵量」です。
どのぐらいのエネルギーを指しているのか。世界の一年間の総エネルギー消費量は、0・4。それに対して石炭の究極埋蔵量は310、確認埋蔵量は25・9ある。単位がピンとこないと思うので数字だけ見ていただきたいのですが、確認埋蔵量だけで60〜70年分。技術が進歩して確認埋蔵量が増えると800年は持つと考えられます。天然ガスもどんどん開発されているので、いずれ石炭ぐらい大きくなるでしょう。石油は減っていくと思われます。これらが「化石燃料」といわれるものです。
そこで思い出していただきたいのが、毎日新聞の記事。「化石燃料が枯渇してしまうから将来は原子力発電が不可欠」と書いてありましたよね。原子力の原料であるウラン。これも再生不能エネルギーの一種で地底から取って使えばなくなるわけですが、ウランはこんなに少ない。

―そこに頼るのはおかしいですよね?

小出
そもそもおかしいのです。ただし、これはウラン235だけの数値です。235と238という2種類のウランがあるのですが、現在の原子力発電で使用できるのは235のみ。原子力推進派はウラン238をプルトニウムに変えながら使うと、資源量がこの60倍に増えると。でも、そのためには前出の「もんじゅ」という特殊な高速増殖炉を開発して動かさなければならない。これが実現できなかった。世界中で挑戦しているが、どこの国もまだ技術的に実現できていない。

―夢物語ですね。

小出
そうです。「化石燃料が枯渇するから原子力」ではなく「原子力は簡単に枯渇してしまうので化石燃料にすがるしかない」というのが真実です。
まずは、これらの限りある化石燃料を大切に使うことです。とはいえ、いずれ枯渇してしまいます。では、どうすればいいのか。再生不能エネルギーではなく、再生可能エネルギーに頼るしかない。
それが「太陽」です。太陽は地球に「光」という形でエネルギーをくれていますよね。そのために地球は温かく明るく、生き物が生きられる星なのです。
太陽が一年間に地球に与えてくれるエネルギーがどれだけかというと、すべての再生不能エネルギーの合計の10倍以上。数字でいうと5400。しかも、それを毎年くれている。地球が46億年かけて取り込んできた再生不能エネルギー資源に比べて、太陽は一年ごとに、これほどの大きさのエネルギーをくれているわけです。

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再生不能エネルギー資源の埋蔵量と
一年毎の太陽エネルギー量

いつかなくなってしまう再生不能エネルギー源は、地球が46 億年の歴史をかけて蓄えてきたもの。再生可能エネルギーの一つである太陽は、そのすべての合計の10 倍以上のエネルギーを毎年地球にくれる。

エネルギーの要らない町へ

―今から太陽エネルギーを考えていかなければなりませんね。

小出
そうです。とはいえ、太陽のエネルギーは人間だけのものではありません。地球の生態系すべてが太陽によって支えられているわけですから、どれだけ生命環境を破壊せずに人間が分け前を使うのか考えていかなければなりません。

―食物連鎖などと同じですね。

小出
そうです。太陽は明るさと温かさをくれ、水や風の循環も作ってくれます。そのなかで自然現象(風、波、空気の対流など)に使われるのは地球に届く太陽エネルギー全体の0・2%。それに比べて、日本ではどれだけのエネルギーを使っているか。現在、0・6%を超えている。とんでもないことだと思います。
上図は明治時代からのエネルギー総供給量の変遷のグラフです。明治時代、日本は「脱亜入欧」などと言いながらエネルギーをどんどん使うよう推奨した。そのため消費量がぐんぐん上がっています。第二次世界戦争で負けてガタッと下がりますが高度成長期に盛り返し、オイルショックなどで横ばいになりつつ増加。簡単にいうと「50年経つと10倍」というスピードで増加しています。
「エネルギーを使えば快適」とみんなが思っている限り、さらに増加します。2100年には、太陽がくれるエネルギーと同じ量のエネルギーを使うことになってしまう。自然が壊れてしまいます。

―人間の体も危険ですよね?

小出
そう思います。日本はこれから人口が減っていきますし、一人当たりの消費エネルギーを一年間で1%減らしていけばいいと思います。

―みんなでやればできそうですね?

小出
簡単ですよ。リーマンショックで8%落ちていますし、人々の省エネ意識が進み消費量は減ってきているわけですので。やる気があればできるはずです。

―快適さを求め過ぎたのでしょうか。

小出
快適さと一極集中でしょうね。みなさん「東京」に行きたがりますよね。私は、江戸の下町で生まれ育ちましたが、家から半径約200メートル以内に、八百屋、肉屋、乾物屋、豆腐屋、薬屋、医者……歩いて生活できる町でした。でも、東京オリンピックでガラリと変わってしまった。子どもの遊び場だった道路は車に占領され、ニョキニョキとビルが建ち、日本橋の上を高速道路が走る……この町はもうダメだと。東京を離れたくて、東北大学に行きました。でも、今も、みなさん東京に集まりますよね。もっと地域分散し、エネルギーなんか使わなくても生きられるような町を作るしかない。長期間かかると思います。国土計画、都市計画を含めて考え直す必要があります。
どういう生き方が快適なのか。一人ひとりが、自分の趣味レベルではなく「生き方全体」を変えていく。そういうスケールで、深く、そして、広く考えなければならないのではないでしょうか。

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小出 裕章(こいで ひろあき)

1949年、東京の下町に生まれる。原子核工学者。元京都大学原子炉実験所助教授。1968年、東北大学工学部原子工学科に入学。1970年大学在学中、女川での反原発集会への参加を機に、原発をやめさせるために原子力の研究を続けることを決意。1974年、東北大学大学院工学研究科修士課程修了。専門は放射線計画、原子力安全。原子力発電の危険性について研究し続けた京都大学原子炉実験所原子力安全研究グループのひとり。2015年、定年退官を機に信州へ移住。著書に『原発のウソ』(2011年6月、扶桑社新書)、『知りたくないけれど、知っておかねばならない原発の真実』(2011年9月、幻冬舎)、『図解 原発のウソ』(2012年3月、扶桑社)、『日本のエネルギー、これからどうすればいいの?』(2012年5月、平凡社)ほか多数。

vol114-3-1.gif原発が許されない理由
小出 裕章(著)
東邦出版

vol114-3-2.gif原発と戦争を推し進める
愚かな国、日本
小出 裕章(著)
毎日新聞出版

取材を終えて

大阪万博のころに生まれた私にとって、電気があるのは当たり前。電子レンジやビデオ、パソコンこそなかったものの、現在の暮らしと大きくかけ離れておらず「ものがない時代」を味わったことはない。キャンプで川原の石でかまどを作り「電気のない暮らし」をなんとなく疑似体験したぐらいだった。阪神淡路大震災でライフラインが一時的に不安定になり、ようやく「電気に頼り過ぎることの怖さ」に気づいた。当時、長女が1歳になろうとしていたころだった。

「当たり前にあるもの」の大切さを、私たちは忘れがちだ。そこに目を向けたり、感謝したりすることを忘れてしまう。でも、アトピーだった三女を含め三人の子どもたちを育てながら、いろいろな喪失体験をするなかで、「当たり前にあるもの」こそ、大切にしなければならないことにも気づいてきた。また、本当にいい食生活には「新鮮」「手間」「時間」「想い」が必須なのだとも感じてきた。そういう人が、今は、増えてきていると思う。本当に大切なものはなにか。本当に必要なものはなにか。家族だけでも人間だけでもない、もっと大きなもの、長い期間を含め、考える時代に来ている。

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編集室Roots 代表
藤嶋ひじり(ふじしま ひじり)

『らくなちゅらる通信』編集担当。編集者ときどき保育士。たまにカウンセラー。日経BP社、小学館、学研、NHK出版などの取材・執筆。インタビューは1,500人以上。元シングルマザーで三姉妹の母。歌と踊りが好き。合氣道初段。

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