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特集

インタビュー取材しました。

【Vol.94】4年ぶり2度目の開催 とことんオーガニックシンポジウム

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2015年4月、都内で開催された「とことんオーガニックシンポジウム」。弊社も協賛企業として参加してきました。2日間にわたる非常に濃いプログラムで、そのごくごく一端にはなりますが、それぞれの内容をご紹介します。

とことんオーガニックシンポジウム 1日目4 月24 日(金)渋谷区さくらホール
1 日目は500 名以上の参加。生産・流通・販売、あるいは消費者として、全国から多くの人が集まりました。
今回の開催に至った経緯から、有機農業の現状とこれからについて議論が進みました。

基調講演

開催経緯と目的― 有機農業の原点がマーケットを活性化する ―

徳江倫明(一般社団法人フードトラストプロジェクト代表理事)

今回、4年ぶり2回目の開催となるオーガニックシンポジウム。第1回は2011年6月に開催されました。当初3 月15日に開催される予定でしたが、3・11大震災により延期の末、6月の開催に。3・11の直後、徳江さんは有機農業の先が見えなくなってしまったこともあったそうですが、あるセミナーで土の力、腐食の多い土はセシウムが作物に移行しにくいということを知り、そこから光が見えたといいます。 土の力は、今回のシンポジウムで幾度も登場したキーワードでした。

記念講演

環境を守る農業― 自然栽培と有機農業の目指すもの

木村秋則(自然栽培農家/株式会社木村興農代表

「誰も見たことがないけれど、誰もがあると信じているものは何だと思いますか?」と切り出した木村さん。それは「心」。りんごも、人間の言葉は話せなくても、心に応えてくれるといいます。りんご栽培において、見えないけれども確かにある世界、それは土の世界だそうです。木村さんがそれに気づいた年、りんごが実りました。
20年前には誰も聞いてくれなかった硝酸態窒素の話に、今は耳を傾けてくれる人がいる。漁業組合から、海を守るために土の話をしてほしいと依頼がある。状況は変わりつつあると、木村さんはいいます。日本は今、農薬使用量世界一。けれどかつてそうであったオランダが変わったように、変わる可能性はあります。目的は「安全な食を提供すること」であり、ひとつの船に乗り、お互いの技術を持ち寄る必要があると、木村さんは締めくくりました。

基調講演

マクドナルドの時代は終わったのか― アメリカ的マスマーケティングの終演 ―

小川孔輔(法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科教授)

マクドナルド日本1号店がオープンした年は、奇しくも日本で有機農業が定義された年でした。マクドナルドと有機農業。その関係は薄いように思えますが、生産・流通・販売は連動しています。大規模流通・販売で一時代を築いたマクドナルドの凋落は、生産の在り方にも影響を及ぼします。小川さんは、重要なのは企業の大小ではなく、環境適応能力だといいます。マクドナルドが好調だった時代にも、凋落の要因は存在していました。大規模流通・販売のマスマーケティングがもはや時代にそぐわなくなってきている、昨今のマクドナルドの状況はその顕れであるようです。

パネルディスカッション

売り場をつくる― 生・販・消一体の取り組み ―

司会:徳江倫明ファシリテーター:武田泰明(NPO法人アジアGAP総合研究所専務理事)

【パネリスト】
福島徹(株式会社福島屋代表取締役会長)/福永康明(イオンアグリ創造株式会社代表取締役社長)/山師一穂(NPO法人有機農業参入促進協議会代表理事/土佐自然塾塾長)/渡邊智恵子(株式会社アバンティ代表取締役)/北條裕子(株式会社カミツレ研究所代表取締役社長)/前田豊(農林水産省 生産局能生さん部農業環境対策課課長)

有機市場の先駆者の皆さんによるパネルディスカッション。農水省の方も加わり、2020年開催のオリンピック・パラリンピック(オリパラ)東京大会についても議論が進みました。

日本の有機市場は、極小とはいえこれまで一度も縮小したことがありません。実は国内には巨大な需要が潜在的に存在しています。しかし供給が追いついていません。そこへイオンのような大企業が参入しはじめました。この動きには賛否両論ありますが、ある意味では、有機市場の選択肢を広げる可能性と捉えることもできます。 大量生産・大規模流通には、食糧の安定供給、低価格化、利便性の向上などの価値がありました。一方で、日本の農地の約7割は大規模農業に向かない中山間地です。こういった地域ではその分、消費者の多様なニーズに応える可能性があります。ニーズとは何か。安心・安全、おいしい、きれい……さまざまですが、いずれも絶対的な基準はありません。販売者はただ「売る」のではなく「伝える」こと、消費者は自分の目と舌で確かめることが必要です。長年積み重ねきたことの影響というのは、後になって現れます。 2020年には、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催されます。そこでは、国内だけでなく国外から来た人にも「持続可能で環境に優しい食材を使用する取組を実行する」ことが求められます。そのためにも、ばらばらに動くのではなく、まとまった体制づくりが必要とされています。

パネルディスカッション

次世代の取り組み― 売場づくりから社会づくりへ ―

司会:西辻一真(株式会社マイファーム代表取締役社長/アグリイノベーション大学校学長)
ファシリテーター:久松達央(久松農園代表/有機農業生産者)

【パネリスト】
小野邦彦(株式会社坂ノ途中代表取締役)/岡田利奈(FTPS生・販コーディネーター)/大石リカ・デリシャス(Super Organic Foods /ビオ国際学会)/皿井明日夏(共同組合加計呂麻農園代表理事/元地域おこし協力隊)/宮田雅和(なごみ農園代表/富士山麓有機農業推進協議会前代表)

有機市場で活躍する若手世代の皆さんによるパネルディスカッション。昨今増えているという就農の需要の活かし方や、オーガニックの価値について議論がなされました。

昨今、新規就農希望は多いものの、挫折する人も多いのが現状です。自力で食べていける優秀な生産者さんはいいけれど、そうでない人もそこそこ食べていけるという仕組み、自営以外の在り方も必要とされています。また、地域による違いを考慮に入れる必要もあります。どんな状況でも通用する黄金律はありません。だからこそ逆に地域性を活かすこともできます。 有機栽培や自然栽培の野菜はなぜ高いのか。ひとつには、手間がかかる分、人件費が高くなるから。結局、どこに価値を置くかの問題になります。有機栽培や自然栽培の目的は、環境負荷を減らすこと、おいしいこと、安全であること……など。目的を満たすのであれば、たとえば工場栽培の野菜など、他の選択肢も存在し得ます。それが良いか悪いかという前に、そもそも自作農だけで食糧需要を満たすことはできません。大規模生産なども含め、パイを奪い合うよりも、シェアするステップへ進む方が、意味のある選択といえるのではないでしょうか。

とことんオーガニックシンポジウム 2日目4 月25 日(土)永田町星陵会館
2 日目も400 名近い参加者。前日のプログラムを受け、消費者に伝えることに焦点を移しつつ、
これからの有機農業の在り方について議論が深まりました。

講演&リレートーク
有機農業の 原点を考える

― 国民が納得する農業とは ―

基調講演

有機農業の本質― 森・里・海の連環 ―

魚住道朗(NPO法人日本有機農業研究会副理事長/有機農業生産者)

一日目最初の基調講演にあった、3・11震災後に光を見出すことのできたセミナー、それが魚住さんのセミナーでした。農業は、その畑のある里全体、その里を抱える森、その水が流れる川、海、すべてに連環しています。「森は海の恋人」「円(お金)から縁へ。縁は円よりも強い」の言葉が印象的でした。ひとつの畑だけでなく、そこからつながるすべての存在を視野に入れた農業が求められます。

リレートーク

福島原発事故と有機農業

菅野正寿
(NPO法人福島県有機農業者ネットワーク理事長)

今、福島県有機農業ネットワークでの米・野菜の放射線量測定結果は、99%検出限界以下。それは、土の力によるところが大きいそうです。一方で、耕作されない山中の線量は依然として高く、除染した土の処理も決まらないままです。また農業従事者の被爆量はどうしても高くなってしまいます。それを防ぐためにも、一人でも多くの力が必要です。 農の技と文化を途切れさせたくはない。復興には、根本的な構造の変化が必要であり、住民参加型でなければならないと菅野さんはいいます。

リレートーク

世界のオーガニックとこれからの方向性

村山勝茂
(NPO法人IFOAMジャパン理事長)

有機農業は世界的に急増しており、特に近年、アフリカ・南米・アジアの発展途上国において顕著とのこと。それに比べて日本の発展は弱く、しかしこのシンポジウムがひとつの起爆剤となるかもしれません。

リレートーク

300町歩の挑戦
― 有機農業・自然農業・
JGAPの垣根をとる ―

井村辰二郎
(株式会社農業工房金沢大地取締役)

有機農業に携わる生産・流通・販売者は、消費者が選びやすいように伝えることが大切だと、井村さんはいいます。その例が、有機JASです。費用がかかる、栽培記録が大変、堆肥の問題、許可された農薬の使用など、有機JAS制度は否定的にいわれることも少なくありません。しかし井村さんが営む金沢大地は、有機JASとともに成長してきました。費用がかかるだけの価値、栽培記録は有機に関わりなく必要、堆肥は基準を定めることで適正化できる、許可されている農薬も実際は8割方使われていない、と肯定的に捉えることもできます。関係者が有機農業を自ら複雑にしていないか、顧みる必要があるのかもしれません。

リレートーク

農業と自然エネルギー
― 野菜と一緒に電力の産直が実現する ―

大石英司
(みんな電力株式会社代表取締役)

2016年、電力が自由化されます。すでに500社以上が参加を表明しており、新たな市場が生まれることになりそうです。これより、電力も作る人の「顔が見える」ものになります。そこには、有機市場における生産者と消費者の関係を、そのまま持ち込む余地があります。値段よりもむしろ、誰が作ったか、どのように作ったか、その電力を買うことによる特典など、さまざまな価値のもとに、高い電力をあえて買うという選択肢が、この電力自由化の面白みかもしれません。

基調講演

国民が納得する農業
― レファランスレベル

荘林幹太郎
(学習院女子大学教授/財団法人日本GAP協会代表理事)

レファランスレベルとは、「責任の境界線」といった意味。日本ではまだなじみの薄い言葉ですが、たとえば農業において導入する場合は、生産者が守るべき責任の基準(レファランスレベル)を決め、そこに達するまでに必要な負担は生産者が負うけれども、それ以上の部分は行政が補助をするといった形で使われます。国や地域によってどのような農業を守るかの基準ができ、消費者の信頼や全体の水準向上につながることが期待されます。有機農業だけでなく、放射能の問題など、応用範囲の広い考え方です。

パネルディスカッション

『地産企消』の可能性― 企業が農家から農産物を直接 買い取り、「提携」する仕組み ―

企画:一般社団法人グリーン経営フォーラム
司会:森摂(一般社団法人グリーン経営者フォーラム代表理事/「オルタナ」編集長)

【パネリスト】
金子美登(NPO法人全国有機農業推進協議会理事長/霜里農場代表)/山本拓己(株式会社OKUTA代表取締役社長)/藻谷浩介(株式会社日本総合研究所主席研究員/『里山資本主義』著者)

有機農業をもっと広げるためには、栽培を継続できる安定した受け皿が必要です。その役割を企業が担い成功している事例から、消費の在り方について考えます。

金子さんは、30年ほど前に有機農業を始め、今では同じ里の農家全30戸が有機農業に転換しています。その後押しとなったのが、OKUTAの山本社長が、金子さんのお米が余ったときに、全量、再生産可能な値段で買い取り、買い続けていることです。OKUTAは従業員300人ほどの企業で、それだけの潜在的需要、バッファ力があります。同じように「一村一社」で有機農業を支援できれば、有機農業を取り巻く状況は随分と前向きになるはずです。 今、お米の価格は、一般的には茶碗1杯9円ほど。これを36円にするだけで、日本のお米を守ることができるといいます。1個100円のおにぎりを買うのなら、ぜひ普段のお米にも目を向けてみてください。安いこと、消費者が得をするということは、長い目で見た場合、本当に世の中に良いこととは限らないのです。

リサーチ発表

有機表示をめぐる混乱とオーガニックに関する消費者意識

青木恭子
(法政大学経営大学院IM研究科
小川孔輔研究室アシスタント)

一般の消費者が「有機」表示を見た場合、どのように見えるのか。結論としては、非常に分かりにくい。有機JAS認証品以外にも「有機」「オーガニック」表記は散見され、何が本当なのかが分からない状況です。販売者都合ではなく、消費者にとって納得できる表示が求められます。

パネルディスカッション

これからの地域スーパーの活性化― キーワードは“売る”ではなく“伝える” ―

企画:福島塾
協力:商業界/福島塾参加企業
司会:徳江倫明さん
(一般社団法人フードトラストプロジェクト代表理事)

【パネリスト】
福島徹/ 福士英雄(農業組合法人羽白開発代表/自然栽培農家)/石川靖(株式会社土佐山田ショッピングセンター代表取締役社長)/笹井清範(「商業界」編集長)/小川孔輔

販売者が、価格競争に巻き込まれることなく勝負することは可能なのか。そのひとつの答えとなる、福島屋の取り組みから、お客様へ“伝える”ことを考えます。

「売れそう」な商品ではなく、お客様にとって「役に立つ」商品を扱うこと。どのような「お客様」を想定するか。何が良い商品と何なのか。そういったことを考えることを止めた瞬間、販売者は価格競争に巻き込まれます。 まず、思い込みを捨てること。お客様は、安くないと買わないわけではない、手抜きをしたいわけでもない……パネリストの福島屋さんは、それを実践することで、30 年以上黒字経営を続けてきました。良い商品を適正な価格で販売し続けることは、無理ではなく、当たり前のことにできるのです。

- 特集 - 2015年7月発刊 Vol.94

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