【Vol.99】第12回「自分へのおもてなし」

健康的な生活の秘訣、それは季節感を大切に自然の中で生かされていることを感じながら、日々の生活をきちんと送ることです。

年末を控え、慌ただしい季節になってきますね。いつも以上に体調管理に気を配り、気分よく今年一年を締めくくりましょう。 寒さ対策に化学繊維のものが流行っていますが、これらのなかには温かく感じるだけで実際には余計に体を冷やすものもあるので、注意が必要です。できれば直接肌に触れる肌着だけでも綿などの自然素材のものにしておくだけでも変わってきますよ。

いも・たこ・なんきん

関西地方では、この季節に女性の好きなものを「いもたこなんきん」と言います。地方によっては「いもくりなんきん」というところもあるようです。 旬のものをだし汁で炊き合わせたものの総称とも言われますが、この言葉自体は、江戸時代に井原西鶴の浮世草子の一節、「とかく女の好むもの、芝居、浄瑠璃、芋蛸南瓜」とあったことに由来するようです。現代風に「スイートポテト、たこやき、パンプキンパイ」とでも言えば、女性の好きな食べ物っぽく聞こえるでしょうか。

冬至南瓜

古くから、冬至の日には南瓜を食べると風邪をひきにくいからと、食べる風習があります。「冬至南瓜、中風のまじない」という言葉もあります。中風とは脳の異状による病のことで、脳卒中と理解すればいいでしょう。南瓜にはベータカロチンが豊富で、活性酸素を除去し、病気の予防、老化の防止に役立つ食材です。

南瓜は秋に収穫のシーズンを迎えますが、天地返し(上下を逆さま)にしておくと長期間保存できるため、緑黄色野菜の採れにくい冬場の野菜として重宝されてきたのです。天地返しにしておくことで水分が抜け、甘みが増して、栄養分も濃縮されます。

冬至とは、一年中で最も昼間の時間の短い<陰性>な日で、この日まではどんどん身が締まって水分が抜けると考えられてきました。実際に冬至を過ぎ、年を越してからの南瓜では同じ水分量で炊いてもべチャッと柔らかくなり過ぎるようです。

また、南瓜は甘みが強い割には低カロリーなため、糖尿病の方におすすめです。昆布と小豆、南瓜を炊き合わせた「小豆かぼちゃ」は糖尿病に効果のある食養料理として知られています。

旬と、これからと

寒い季節に育つ作物には体を温めてくれる働きがあり、逆に暑い季節に育つ作物は体を冷やす働きがあります。その季節ごとの旬の作物をいただくことで、自然のリズムと身体が調和して、健康に暮らしていけるものなのです

農産技術の進歩により、季節を問わずいろんなものが食べられるようになりました。なんでも欲しいと思ったものが手に入りやすくなった時代になり、一見すると私たちの食生活が豊かになったように思えるのですが、その一方で不自然な環境で育った作物では農薬や化学肥料を多用しているものもあり、私たちの健康を損ない生命力を低下させてしまう原因ともなるのです。

日本は南北に長く、四季がはっきりとしていて自然環境に恵まれています。そんななかで生きてきて、私たちは独特の感性を持っている民族です。一昨年、ユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録された際に、(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重、(2)健康的な食生活を支える栄養バランス、(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現、(4)正月などの年中行事との密接な関わり、といった点を特徴とされたように、私たちが思っている以上に、自然とともに生きてきた食文化について高く評価されているのです。

2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピックと、大イベントの開催に向けて、日本が海外から注目されています。「おもてなし」の言葉の通り、日本らしさでもって歓迎する態度が肝心です。

まずは私たち自身が伝統文化を大切に継承していきつつ、一工夫加えながら自分らしく、楽しく毎日を暮らしていきたいものですね。

執筆 圭鍼灸院 院長 西下 圭一
病院勤務を経て、プロ・スポーツ選手からガンや難病まで幅広い患者層に、自然治癒力を引き出していく治療を特徴とする。
鍼灸師、マクロビオティック・カウンセラー、リーディング・ファシリテーター。