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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

【Vol.96】第9回「『食欲の秋』との向き合い方」

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健康的な生活の秘訣、それは季節感を大切に自然の中で生かされていることを感じながら、日々の生活をきちんと送ることです。

中秋の名月

 9月の満月は「中秋の名月」といって、お月見を楽しむ季節ですね。今年は9月27日が満月になります。秋の深まってくるこの時季は夏の騒がしさも落ち着きを見せ乾燥した空気が澄んでくるので、一年中でもっとも美しい満月を見ることができるのです。
 「芋名月」とも呼び、里芋を供えて季節に感謝する風習があります。月のしずくが付いていて、満月に里芋を食べると若々しく美しくいられると信じられていたようです。
 わが国で最古の医術書とされる『医心方』には、里芋の効能として「腸胃をゆるやかにして、皮膚を充実させ、内臓をなめらかにする」と記されています。ビタミンB1・B2・C、カルシウム、食物繊維が含まれていて、便秘の解消にも役に立ってくれる食材です。

「いも薬」の効果

 里芋は「いも薬」といわれ、湿布薬として外用のお手当にも用いられます。打ち身や捻挫のように熱があって腫れて痛む場合には重宝します。里芋の皮を剥いてすりおろし、小麦粉を混ぜてパン生地くらいの硬さに練ったものをガーゼにのばして、湿布薬として患部に貼ります。肌の弱い人はかぶれることがあるので注意が必要です。
 私のこれまでの治療経験では、痛風の発作にも抜群の効果があります。ご本人は「足首を捻挫した」と来院されたものの、捻挫をするような動きはされていない。そんなときに、まず内科にて血液検査をしてもらっておいて、帰宅後には食を控えてご自身で里芋湿布をしてもらうこと数日、血液検査の結果が「痛風」と出るころには腫れと痛みは引いてしまっている。そんなことが何度もありました。
 病の根本原因に食べ過ぎがあるようなときは、少し食を控えてから自然療法のお手当をするとよく効きます。

食欲の秋

 これからの季節は「食欲の秋」として、食べ物の美味しい季節です。この「食欲の秋」、実は秋の季節の体によるものです。空気が乾燥して気温が下がってくるため、この先の冬にかけては収穫が減ってきます。さらに気温との温度差があるため、体温を維持するのにもエネルギーを必要とします。これらのことに備えて、体の中にエネルギーを蓄えておこうとする体の反応なのです。
 野生動物が冬眠するように、体の中に蓄えたエネルギーを無駄に消費しないようにしていくのが自然の流れ。また、日本人は「サーチュイン遺伝子」といって倹約する遺伝子が多いことが近年わかってきています。私たちは「飢え」には耐性があるものの、「満腹」が続くことには弱いということができるのです。
 現代では、エアコンなどのおかげで生活環境は整っていますし、秋から冬だからとまったく外出しないというわけにもいきません。ですから、食欲に身を任せてしまえば、それは食べ過ぎとなり、病気の原因ともなりかねません。
 自らが「食べない」という意志をもつことが大切です。食欲がなくても時間が来たからと食べる習慣が続いていると、病に臥せて「食べられない」状態になってしまうかも知れません。
 一日三食のうち、「二食は自分のため、一食は医者のため」とも言われます。「食欲の秋」に、あえて「食べない」という選択をしてみる。せめて休日だけでも時間通りに食べるのを止めて、空腹を楽しんでみるのもいいでしょう。

 季節ごとの体調、日本人の体質を知って、医療機関にかかる前に自分でできることがあると知ることも必要かも知れませんね。
 季節は「動」から「静」へ。心を落ち着け、自分の内面を見つめなおしてみるといいでしょう。

執筆 圭鍼灸院 院長 西下 圭一
病院勤務を経て、プロ・スポーツ選手からガンや難病まで幅広い患者層に、自然治癒力を引き出していく治療を特徴とする。
鍼灸師、マクロビオティック・カウンセラー、リーディング・ファシリテーター。

- 鍼療室からの伝言 - 2015年9月発刊 Vol.96

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