累計122万件出荷!自然食品・自然療法・エコロジー・らくなちゅらる提案サイト

中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.64】それでもなお、新しい年を祝う

投稿日:

新しい年が始まりました。元旦から今日までに、どのような素晴らしい出来事がありましたでしょうか。お客さまのお一人お一人の周りで、とめどない素敵な出来事がたくさん起きていることを京都から、強くイメージしています。このお正月は、弊社にとっても特別な新年となりました。本誌や商品は、昨年までと違う物流センターからお届けしていて、トラブルなく無事に届いているか心配もあるのですが、その一方で私の心はワクワクしています。といいますのも、今まで10年間お世話になった旧倉庫では、アパレル通販会社の倉庫を間借りしていたために、悲願であった冷蔵品の扱いは一切できず、入出庫や賞味期限の管理もすべてアナログで、数々の制約がありお客さまにもいろいろとご迷惑をおかけしてきました。これらの問題は新しい倉庫ではクリアされる見通しで、お客さまの生活にほんとうにお役に立てる商品をよりいっそう多く、正確にお届けできるようになると期待しています。移転後しばらくは慣れていないことや予想外のトラブルも想定されるため、またご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、どうかお許しいただければ幸いです。


私たちはどこに向かうのか

本稿は、年賀状と同じように前の年に書いて、印刷して準備しています。ですから、まだ年末の選挙の結果がどのようになって、当面の国の進路がどちらに向いているのかということを予想することができません。ただ、間違いなくいえることは、たびたび触れてきた原発をどうするのかという問題をはじめ、この国を取り巻く難問のほとんどが、過去に蓄積されてきた先送りの結果として表出していて、これ以上の決断の先送りは許されない段階まできているという事実です。「○○が悪い、私は悪くない。」「もらえるものは全部もらっておこう。」「できる限り変化せず安定したい。」という私たちの内側にひっそりある思いが共鳴をおこし、この世界を作り上げてきました。だから、世間は衆愚なのだというつもりは毛頭ありません。すべては私自身が作り出してきた結果です。心からお詫びしたいという気持ちと、だからこそ何とかしたいという気持ちが共存して、あるときは悩み、あるときは前向きになっているのは、ほとんどの読者の皆さんと同じかと思います。

私個人は決して政治に無関心ではなく、政治の可能性を否定するつもりもありませんが、この瞬間に誰が首相であるかということはそれほど大きな意味を持たないように感じています。原発、貿易、社会保障、税制、経済、少子化、防衛、環境…私たちを取り巻く環境のなかで、とても大事なことばかりが政治と直結しているわけですが、政治ですべてを解決できる(と思い込める)ほど、積もり積もった問題は軽くはなくなってしまいました。そこに天災が追い打ちをかけてきます。経済は生活の根幹にありますが、これもまた無力なさまを露呈しています。科学技術は生活を飛躍的に便利にしましたが、それと引き替えに失ったものはどれほど大きなものだったでしょうか。人間がコントロールできることは、実はたいしたレベルではないことが、それぞれの心の中に刻まれた数年間を私たちは過ごしてきました。個々人がいかに生きようとするのか、どのような人生を選択しようとしているのかということを、今ほど強く問われているときはありません。たとえ世界がどうなろうとも、大切にしたいことは何でしょうか。私も皆さんと一緒に問い続けてゆきたいのです。

あきらめる
「諦める」と「明らめる」という2つの言葉の違いをご存じでしょうか。「諦める」とは、ものごとを断念することを意味し、「明らめる」とは、すべてをあるがままに見ること、そして受け入れる、ということだそうです。私は諦めていませんが、私は明らめる人でありたいと願っています。10代の頃、京都で一番大きいという書店に赴いて書棚を見る度に、あまりの人知の膨大さに自分がとてもちっぽけに感じたことがありました。今でも、毎日のように知らないこと、到達できないこと、出来ないことの多さに自分の小ささを垣間見ています。そのたびに、その自分を奮い立たせようとするのですが、どうしても奮い立たないことがありますよね ? そんなとき、深い穴に入って、上を見上げるように心がけています。もちろん、私の家には実際に深い穴は掘ってありませんから、イメージの中で、です。たとえそこがどれだけ暗くても生きている限り新しい年がやってくるように、新しい光が見えてきます。そうやって、今すぐできる、小さなことからはじめようという気持ちがわき上がってくるのです。たとえ世間は暗くても、私たちの上には光が射していることを忘れないで生きようとここで決意しています。

宮古島の隣の島、伊良部島にある「なべ底」という縦穴の底で、海水に浸かりながら上を見上げました。ここは地獄の底であるとも、母の子宮であるとも称されています。底には海水が満ちており、これが羊水のように優しく体を包んでくれ、「生まれ変わり」を促してくれるそうです。

- 中川信男の多事争論 - 2013年1月発刊 Vol.64

今月の記事

びんちょうたんコム

累計122万件出荷!自然食品、健康食品、スキンケア、エコロジー雑貨、健康雑貨などのほんもの商品を取りそろえております。

びんちょうたんコム 通販サイトへ