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マクロビオティック 基礎講座

「マクロビオティック」というと単なる料理方法と思いがち。でももっと深い意味があるんです。長年マクロビオティックに携わってきた弊社スタッフ岸江治次が、その本質について紹介します。

プレマ株式会社
お客様コンサルティングセクション

岸江 治次 (きしえ はるつぐ)

2013 年プレマ入社。マクロビオティック活動歴を活かし、主に、商品の開発と営業に関わってきた。趣味は読書と映画、好きなジャンルはミステリー。最近のおすすめ映画は「ルーシー」。無双原理の時空の概念を捉えるのにマスト。

【Vol.82】マクロビオティック 基礎講座その3

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今回は、「肉食がなぜ身体に負担をかけるのか」また「食についての情報をいかにバランスよく取り入れるか」などについて、弊社スタッフ岸江治次が解説いたします。

人間の食事はプラントベースが基本

前回、人間は、臼歯を20本、門歯を8本、犬歯を4本もっており、穀物をすりつぶすための臼歯が多いので、穀物を主食とする生物である、とお話ししました。肉を引きちぎるための犬歯は4本しかなく、その他は植物を食べるのに適した歯であることから、植物性中心、「プラントベース」の食生活であることもわかります。
日本の伝統食の頭文字をまとめると「まごわやさしい」になりますが、これも「プラントベース」ですね。ま=豆類、ご=ごま、わ=わかめ(海草類)、や=野菜、さ=魚類、し=しいたけ(きのこ類)、い=芋類(根菜類)です。これだけの食材をバランスよく食べていれば健康でいられるといわれています。
最初にくる「豆」は特に日本人にとってなじみの深い食品ですが、医学博士で栄養学に詳しい家森幸男氏(京都大学名誉教授、現在は武庫川大学国際健康開発研究所所長)が世界中の長寿の村の人たちが何を多く食べているかを調べたところ、大豆を多食すると脳梗塞や心筋梗塞になりにくいということが分かりました。第二次世界大戦後、日本では、タンパク質は肉から摂るもの、と刷り込まれてしまいましたが、本来、人間にとって最も良質なタンパク質は大豆なのです。
人間の身体の細胞はタンパク質でできているので、これを食事で摂取しないと健康を保つことができません。大豆は人間の身体に一番合ったタンパク質であり、身体器官に負担をかけることなく消化吸収されます。一方、肉は分解、吸収するのに多くのエネルギーを使い、身体にかかる負担も大きいのです。
動物が生肉を食べても健康なわけ

肉は中性脂肪の問題もあるので、食べ過ぎに注意する必要もあります。植物性のオイルはサラサラしていますが、動物性のオイルは固まりやすく、身体に滞りやすいのです。
動物の体温は豚なら38度、牛は39度、鳥は40度ほどといわれています。それに対して人間の体温は36度前後です。つまり、動物性の脂は融点が人間の体温よりも高いので、人間の体内に取り込まれたときに固形となって留まってしまい、血液も汚れていきます。「オイルは(摂りすぎると)老いる」「中性脂肪は(摂り過りすぎると)死亡の原因」などと覚えておくといいかもしれません。
肉もそうしたことを理解したうえで楽しむのはいいと思います。マクロビオティックでも禁止しているのではなく、「摂らなくても生きていける」と考えています。肉食動物が草食動物の肉を食べ続けても平気なのは体温が高いこともありますが、主に内臓を生で食べているからだと考えられます。草食動物の内臓は、食べた植物のビタミンなどあらゆる栄養素が生きている部分です。植物があまり育たない北に住むイヌイットの人たちはアザラシなどの生肉をよく食べますが、内蔵まで無駄にしないため、中性脂肪がまったくたまらず、肉食の弊害がありません。
肉食動物のえさとなる草食動物は植物を食べる生き物です。さらに植物は土と光と空気(二酸化炭素)と水で育ちます。そう考えると、肉も植物ももとをたどれば「土」のエネルギーによって生きるものです。肉も植物も食べる人間は、「土のおばけ」のようなものですね。

肉食の弊害は科学的根拠も

人間、動物、植物、すべての生物は、土からのエネルギーをもとに生きています。

肉食の多いアメリカでも、肉食の弊害を研究、発表した栄養学者の方がいました。コリン・キャンベルという人です。彼のまとめたレポート『THE CHINASTUDY』は2005年にアメリカで発表され、日本語にも訳されています(『葬られた「第二のマクガバン報告」』グスコー出版/刊)。「マクガバンレポート」は、アメリカ政府が国民の健康のためにまとめた食生活指針ですが、「第二のマクガバン報告」は、中国人はアメリカ人よりもカロリー摂取が多いのに健康であることに着目し、その理由をリサーチした報告です。この報告では、穀物を主体としたプラントベースの、さらにホールフードの食べ物が健康のためにはよいとし、マクロビオティックとほとんど同じことを言っています。マクロビオティックの論理が、科学的にみても根拠のあるものであることを証明してくれているのです。
コリン・キャンベル氏の実家は畜産農家であり、彼はもともと、動物性タンパク質は人間を元気にするものだと信じ、もっと多くの人が肉を食べられるように畜産効率をあげるための研究をしていました。そうした人が価値観を変え、肉食の弊害を訴えているのがこのレポートの説得力のあるところです。
彼はあるときフィリピンに行き、当初、現地の人々が痩せているのを見て「肉を食べていないから痩せているのだな。気の毒に」と思ったそうですが、実はそうではなく、肉を食べている人は肥満かつ高血圧で、がんなどの病気を抱えていることに気づきました。その後実験で、動物性タンパク質を与えたねずみはがんになって死んでしまうのに、植物性タンパク質を摂ったねずみは元気であることを発見しました。
このレポートの日本語タイトルには「葬られた」とありますが、当初このレポートを発表しようとしたとき、アメリカ政府に葬られてしまったという経緯があります。アメリカは肉の輸出国であり、「肉が健康によくない」と発表されたらまずい、ということになったのです。

何かひとつを盲信せずバランスよく学ぶこと

食については、「肉を食べたほうがいい」「発芽玄米がいい」「炭水化物を控えるといい」とか「玄米でも圧力鍋で炊くのはいけない」など、様々な人が様々のことを言っています。それらのバックには、ある食品を売りたい、という産業背景があり、歴史的に間違った観点から伝えられていることもあります。日本で一般的に知られる栄養学も、第一次世界大戦時のドイツ兵士の肉体をひとつの基準にしてつくられましたが、このドイツの栄養学は、ドイツの気候や食文化にあわせたものです。ドイツの緯度は日本でいえば北海道の北にあたるため、日本人全体の食生活指針としてはそぐわない部分もでてくるのです。
「食」に関して「これだけが絶対にすばらしい」と盲信するのは危険です。どんなにすばらしい論理も時代によって、人によっても逆転することもあり、そのときどき、感じ方や身体への影響が違ってくることもあります。また「食」は栄養的なことに留まらず、団らんのよろこびなど様々な要素をもつので、一概に何がいいとは言えません。
「何を食べると健康になるか」については実践して判断するしかありませんが、『THE CHINA STUDY』のような科学的裏付けのある信頼できる資料を参考にしたり、生物学の観点から考えてみたり、広い視野をもってとらえることも大切です。家族に自分の食の考え方を伝えるためにもそうした知識を身につけておくと理解してもらいやすいかもしれませんね。

- マクロビオティック 基礎講座 - 2014年7月発刊 Vol.82

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