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プレマシャンティの作り手インタビュー

見た目がきれいな黒豆が美味しいしぼり豆になるわけではないんです~「わらしべ屋」の主人、椋さん~

投稿日: 2018年10月29日 更新日:


みやげ物屋さんのような外見に興味を引かれて近寄ると、甘い匂いが一層濃くなります。ケーキ屋さんの近くにいるような濃厚な甘い香り。バニラのような、煮詰めた砂糖のような・・・。周囲を包む香りに、胃袋が敏感に反応し口内に唾が溜まります。ガラスの向こうにはわずかな商品が見えますが、店員らしき人影はありません。入るに入れずうろうろとしていると、恰幅の良い男性が入り口から顔をだしました。人懐こい笑顔を見せる彼が、ここ「わらしべ屋」の主人、椋さんです。

兵庫県篠山市。全国にも名の知れた丹波種の黒豆の産地で、「わらしべ屋」の主人 椋さんは、名産の黒豆を使った「しぼり豆」や「煮豆」などの加工品作りを30年以上も続けています。甘く炊き上げた豆を乾燥させた、一見地味で素朴なお茶受けでしかなかった「しぼり豆」が、彼の手にかかるとコーヒーにも紅茶にも合うおしゃれなお菓子に大変身。化学合成された農薬や肥料を使わない黒豆を、バニラの風味豊かな「洋菓子」に仕上げた抜群のセンスと味覚の持ち主です。豆を煮あげて甘味を染ませ乾燥させるだけの簡単な行程を一切自動ライン化することなく、必要な部分だけ機械の手を借りて仕上げる製造方法の鍵は、職人の勘。原材料は黒豆と砂糖、塩。風味づけには、バニラエッセンスとブランデー。誰もがスーパーで手に入れられるようなわかりやすい原材料ばかりを使っていても、出来上がったしぼり豆は、豆の滋味と甘味、ブランデーとバニラの風味が複雑に絡まった一級品。毎日、毎日、同じ作業を繰り返しているからこそ磨かれる人間の第六感が仕上げた比類のない美味しさです。

招きいれられた工場内は、丁度しぼり豆の乾燥作業のど真ん中。一歩踏み入れた途端に、むわーんと甘い香りが迫ってきます。長方形の浴槽のようなステンレスの桶の中に敷かれた布の上には、真っ黒につや光りしている黒豆。成人男性がひとり足を伸ばして入れる位の大きさのその桶の中には、重量にしておよそ60kgの「しぼり豆予備軍」が入っています。
「60kgは乾燥しているときの重量だから・・・実際には今はもっと重いですね」。
男性が二人がかりで布の両端を握り、ムラが出ないよう天地を返します。豆に傷がつかないよう慎重に、何度かにわけて天地を返すと、再び乾燥機に戻しました。ここから再び、最低4時間乾燥させます。

「移転してきたばかり」という工場の中央部は、ずらっと2列に並んだ鉄釜が。この鉄釜が煮豆の釜です。その奥にある小ぶりの流し台が、すべての工程の入り口となります。 「ここで洗った豆を、煮豆にする分はそのままその鉄釜にいれて、しぼり豆にする分はこのかごにいれてこちらの釜で炊きます」。
釜、と指された銀色の筒は、高さが160cm位あるでしょうか。周囲が一抱え以上ある銀色の筒は、しぼり豆用の煮釜です。
「この釜に入れて1回。煮汁を捨ててから2回炊いて、柔らかくなったところに蜜を入れ、糖度が60度くらいになるまで煮詰めます。60度になったらそのまま冷まして蜜をしみこませます。1回目を茹でた後に固さを見て、固かったら重曹を入れたりしますけど、まあほとんど入れることはないですね。」
蜜が染みるまでに1日。蜜が十分染みた豆を乾燥させるのにまた1日。

製造「工場」という呼び方をしても、全体が一望できる広さのこの室内には、自動化された「機械仕掛け」の装置はなく、すべての工程には必ずひとの目と手、五感が関与しています。
「豆はね、打ち付けてみると割れやすい豆かどうかがわかるから・・・」煮ている間に割れたり、かけたりする豆は、商品にはなりません。割れる豆か、割れない豆かをみきわめる技は、「その日の水の量」を見きわめる手段でもあります。「これをこう、落としたときの音がね」と、豆を手ですくってぽろぽろと落とす仕草で椋さんが云います。
「この落としたときの音がどんな風かで、『今日の仕上がりはこれくらい』とか、『今日は焦げるかもしれない』とかいうことがわかるんですよ。毎日作業している職人なんかは、『社長、今日の出来高はこれくらいです』って、しかかる前に教えてくれる。僕はもう毎日直接製造しているわけじゃないから、彼の云うのを聞いて『そうか、そうか』って」。
笑いながら話す彼も、「黒豆の目利き」といわれるまでには沢山失敗をしたのだとか。まだ大学生だった頃の椋さんは、縁があってこの篠山の地に足を運んでいました。当時はまだ、丹波種の黒豆というのは、世間に知られてもいなかったといいます。「農業加工品」の事業を立ち上げようと尽力していた彼のお父様と、「地元産」で丁度伸び始めていた黒豆。この2つの偶然が重なって「黒豆の加工品」に着手したはいいものの、「黒々と美しい大豆」と「加工にむいた大豆」は決して同じものではありませんでした。

「見た目がすごくきれいなね、つや光りした大豆を仕入れるでしょう。そうすると3ヶ月もするとカビが生えるんです。『大変だっ』てね、これを煮ても、苦くて食べられたもんじゃない」。 しっかり乾いた大豆は、表皮にくすみがあったりするものです。「すばらしくきれいな大豆はまだ水分が飛びきっておらず、長期保存にはむいていない」と、今だからわかることですが、経験の浅い当時の彼にはそこまで見極めることができませんでした。豆による水加減の違い、煮ようとすると割れてしまう豆。決して安くはない「丹波種の黒豆」を、いかに「商品化」できるように加工するか。創意工夫を繰り返す中で、結局落ち着いたのは「少量でも確実に、ひとの手と勘を使ってじっくりとつくること」でした。

「昔ながらの製法で・・・っていうのは、違うかな」。
つくり方の特徴を教えてください、という問いに対してポロリとひとこと。「煮るのにも乾燥するのにも、機械が入っているし。『じっくり時間をかけて』だと思いますよ」。
黒豆は「黒光り」した色合いが命です。
少しでも「見栄え」の良いしぼり豆や煮豆をつくるために、あれこれ投入し発色を良くしようとする製造者が多い中、
砂糖と塩、豆とわずかな香料以外は一切使用せず、ただ時間をかけて少量ずつおいしいものをつくろうとする「わらしべ屋」さんのあり方は、「真っ正直」な製造者の姿そのものです。

この記事を書いた人

プレマシャンティ開発担当。料理人
横山奈保 (よこやま なほ)

日本生まれ、海外育ち。
肉体の極限を追い求める競技者として育ち、肉体と食、食と精神、精神と肉体の関係を知る。現プレマシャンティのお母さん。突き詰め出したら止まらない、研究者気質でマニアックな料理人。

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北海道の大地と空が自然のままに育てた「無為自然 黒大豆」が、食べ応えのある黒豆しぼりになりました

黒豆は無為自然 黒大豆を使用しています!
栽培期間中、農薬や化学肥料を一切使用せず育てた豆の滋味を生かし、昔ながらの製法で丁寧に仕上げました。しっかりした歯ごたえも楽しめます。
甘味には洗双糖(粗糖)、塩は海の精を使用。ブランデーとナチュラルバニラを加えた、コーヒーにも日本茶にもぴったりな贅沢な豆菓子です。

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執筆者紹介

中川信男

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。3人の介護、5人の子育てを通じ、東西の自然療法に親しむ。 ただし、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社 代表取締役。
2018、2019、2020年イタリアジェラート協会開催の世界大会で3年連続入賞。
宅地建物取引士、電気工事士(2種)、健康不動産株式会社 代表取締役、電磁波環境測定対策士組合長。
趣味はマリンスポーツ。脳内は基本、海か湖のことを考えている。

久野真希子

久野真希子 (くの まきこ)

2010年入社。海外事業担当。「フォーリア」や「コトー・ナンテ」などさまざまな輸入品の取り扱いにはじまり、海外での事業展開を進めています。

岸江治次

岸江治次 (きしえ はるつぐ)

20代に桜沢思想に出会いマクロビオティックを始め、新卒でムソー株式会社入社、及び、正食協会にて30年間勤務。現在プレマ株式会社執行役員

横山奈保

横山奈保 (よこやま なほ)

プレマシャンティのお母さん。突き詰め出したら止まらない、研究者気質でマニアックな料理人。

花井良平

花井良平 (はないりょうへい)

学生時代からマクロビオティックを始め、オーサワジャパンにて27年間勤務し、同社社長を歴任。その後、海の精企画部長。現在陰陽ライフ代表取締役

山口勝弘

山口勝弘 (やまぐちかつひろ)

1955年 大阪市生まれ。 アルファウェーブ開発者。

山崎美穂

山崎美穂 (やまさき みほ)

「仕事と家庭を両立しながら頑張っています!」プレマ株式会社プロモーションセクション プロモーター

上ヶ谷友理

上ヶ谷友理 (うえがたに ゆり)

娘たちは2人とも生まれつき卵・牛乳アレルギー&アトピーで、小さいころは食べるものや日々の生活に四苦八苦していました。これからは自分自身の健康も意識しながら、前向きに笑顔で過ごしていきたいです!

寺嶋康浩

寺嶋康浩 (てらしま やすひろ)

電磁波環境測定士協会理事長。電磁波対策だけしかしない第二種電気工事士。関西大学工学部卒。
広告制作や宣伝に携わる傍、身体、心、食事、運動4つの面から健康をサポートする
ポラリティセラピーやクラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法)を学ぶ。2011年、父の死を機にボディワーカーに転身。全国で述べ1,000人以上の身体と向き合いセルフケアを提供している。趣味は山登り、古武術、ダンス。

坂井歩

坂井歩 (さかい あゆみ)

ひとたびハマると、どっぷり浸かってしまう根っからのオタク気質。恐竜、日本史、きのこ、首都、絵本、百人一首……子どもの成長にともない、その無駄な知識をひけらかしては喜ぶ毎日。

西村初美

西村初美 (にしむらはつみ)

京都生まれの京都育ち。2013年よりプレマ勤務。普段はおっとり型なのに、考えるより先に見切り発車で行動してしまい後から困ることも多々。犬と中学生との二人と一匹暮らし。

中川愛

中川愛 (なかがわあい)

1996年、インド生まれ。帰国後は男の子と外を駆け回る活発な幼少期を過ごす。小学4年から中学までをかつやま子どもの村小中学校で、高校はきのくに国際高等専修学校で充実した学校生活を送る。立命館大学を卒業後、母校のかつやま子どもの村小中学校で教員を務め、2022年プレマ株式会社に入社。

望月索

望月索 (もちづき さく)

人一倍不摂生な出版仕事人が37 歳、40 歳、44 歳で出産、育児の経験も積み、健やかな暮らしについて学び合う協会の設立メンバーに。編集、ライター、一般社団法人日本マクロヘルス協会理事。

内田光香

内田光香 (うちだ みか)

編集職を経て、2021年入社。生まれた時から数多くの土地で暮らし、各国を旅した経験から、そこだけの「人・もの・文化」の魅力を伝えるのがライフワーク。
おいしいヴィーガン料理を愛する食いしん坊。野菜ぎらいな小学生の娘と二人暮らし。

十二村英里

十二村英里 (じゅうにむらえり)

プレマルシェ・スタジオ中目黒でイベント運営や展示販売などを担当。2021年に待望の第一子を妊娠し、翌年に無事出産。新米ママとして育児と仕事に奮闘する日々。

鈴木 啓子

鈴木 啓子 (すずき けいこ)

現代の忙しい女性たちに、米ぬかと大豆の自社製品を使った簡単で美味しいレシピや食材をまるごと食べる一物全体の大切さをイベントや講座で伝えています。

松本春菜

松本春菜 (まつもとはるな)

ジェンダーフリーの長男と、ラガーマンの次男を育てる2児のシングルマザー。子どもたちも大きくなり、子育てに余裕が出てきたのでいろいろなことに興味津々。

堂尻友子

堂尻友子 (どうじり ゆうこ)

自然への畏敬の念と自然食品への関心を深める。システム管理会社勤務を経て、現在2児の母。プレマシャンティのデータ&家電担当。

城島淳子

城島淳子 (じょうじま じゅんこ)

自然療法や波動医学を実践。解熱剤や抗生剤等を使わず3人の息子を育てている。九州在住でご当地商品の開発担当。

峰村東子

峰村東子 (みねむら はるこ)

発酵などの実験・体験が好きなみそソムリエ。家にある発酵中の瓶は数知れず。 まれに個人で調味料作りのワークショップ開催。週末は卓球に勤しむ2児の母。プレマ株式会社 東京在住スタッフ。