大山さんは、環境保全型農業をいち早く取り入れたことで有名な綾町で生産される原料を昔から使用し、安全性とおいしさを追求してきました。
綾町(あやちょう)は、宮崎県の中西部に位置する町で、名水百選の町、有機農業の町、照葉樹林都市、町おこしの成功例として、自然の中での人間らしい生活を求める全国各地からの移住者が後を絶たない、「日本で最も美しい村」連合の一つです。長年にわたる取り組みが評価されて、2012年7月12日に国内では32年ぶり5ヶ所目となる、ユネスコエコパークに登録されました。
みなさんは、お酢がどうやってできているか知っていますか?
大山食品さんでは、まず、巨大な三石和甕(さんごくわがめ:一石が180リッターですので、540リッターくらい入るかめです)に、玄米と麹と水と種酢 (この中に様々な菌がいます)を入れます。そしてひたすら発酵します。
ただそれだけです。が……瓶(かめ)の中では、大きく3回の発酵が進行します。まず玄米のデンプンを麹菌の糖化酵素が糖に変えていきます。 この時点では「甘酒」です。そしてその糖を、酵母菌がアルコールに変えていきます。
この時点では「どぶろく」です。そしてさらにそのアルコールを酢酸菌がお酢に変えていきます。ここで「お酢」になります。
厳密に言うと種酢をいれるので、酸っぱい甘酒、酸っぱいどぶろくといった感じです。
お酢の発酵にはある程度の温度が必要でので、かめは工場の南側の陽の良く当たる場所に設置されています。仕込みは春と秋の年に2回です。これが南九州の伝統的な製法である「屋外かめ仕込み」の黒酢の作り方です。
発酵食品でも、速醸法(より早く造る技術)の普及により、価格は安いものもありますが、古式醸造の静置発酵法(アルコール発酵は液面に酢酸菌が膜をはって発酵するためこう呼ばれています)で造ったお酢は、格別な味と風味を醸しだしています。約6ヶ月でタンクに移してまたさらに約6ヶ月間熟成させます。