まだまだ寒さが気になる2月ですが、節分の翌日、立春をもって暦の上では春が始まり、新しい1年も始まります。
春分には、禅寺の門前に「立春大吉」と書かれたお札を目にすることがあるかも知れません。
この札を貼ると一年間災難にあわない厄除けのお札ともいわれますが、縦に書くと左右対称になることから、入り口が曖昧となり災厄が迷い込まない(入り込まない)札ともいわれています。
1年の終わりである節分に豆まきをして厄を退け、その翌日には新しい1年に厄が来ないようにという願いを込めて、「立春大吉」の札を貼り付けたのかもしれません。
新年の訪れを知らせる節分は、年の切れ目であると同時に、寒さで収縮しきった大地の気が、上昇拡散に転じる転機でもあるといいます。
日々の営みに例えるなら、太陽が地平線から姿を表す瞬間でしょうか。そしてその翌日の「春分」は、朝日が地平線を茜に染める瞬間でしょう。
伝統中医学においては、四季の移り変わり、つまり環境の変化はひとの営みと無縁ではないと考えます。
冬の間耐え忍んだ植物が、春分を境に芽吹き始めるように、春はまたひとにとっても芽吹きの時期。芽吹きの時期は、体に溜め込んだ様々なものを、発散しやすい時期だともいえます。
また、伝統中医学の根底にある五行説によると、春は「肝」と呼応する季節でもあります。
ここでいう「肝」は、解剖学でいう「肝臓」とは異なりますが、「肝臓」が解毒の役割を担っていると考えると、満更無縁ではないのではないかとも感じます。
身体を温める為にしっかりと食べ、溜め込んできた冬場から一転、春は、徐々に活動量を増やし、溜め込んだものを消費しながら、より活動的な季節への助走期間。
布で全身を覆い隠していた季節は、もうそろそろ終わりになりますよ、準備をしてくださいね、という季節のお知らせの時期である立春を境に、食べ物の質を変えたり、食べる量を調整したりしながら、酸味や春野菜といった春の味を取り入れて、内側から季節の変化を取り入れてみませんか。
お洒落は、内側から。身体の手入れは普段の食事からはじまります。食べ物もファッションと同じように、一足早めに季節の変化を取り入れてみると、流行りの「インナービューティ」にも一歩踏み込めるかもしれません。
肝臓をいたわるインナービューティ
1. 少量、消化しやすいもの、腹八分目を心がける
2. なるべく自然に育った食物を、よく噛んで食べる
3. 早寝早起き、良質な睡眠をとる
4. 植物性、大豆食品、海草などを意識してとる
5. 動物性タンパクを意識して減らす