プレマシャンティ開発チーム横山です。
「料理人です」というと、決まって「シェフですか?」と聞かれます。
面倒なので、「まあ、にたものです。」と答えるのですが、内心「シェフじゃあないんよな~」とぼそり。研究はしていないので、料理研究家ではないし、料理家というのも変な言葉に感じるので、ぴったりとくる言葉がないよな~とも思います。
場所が変わってフランス。
「シェフですか?」と聞かれれば、明確に「NON」と返答します。
何故なら、シェフは社会的な地位でもあるから。
料理という世界のピラミッドのトップ、厨房の司令官だけが「シェフ」と呼ばれ、知名度、売上、レストランの名声、信頼、その他もろもろ、その名前の下にすべての責任を負っています。メニュー決めから仕入れ、厨房内のひとの配置まで、全てがシェフの権利で責任のもとに決められていきます。
私にとっての「シェフ」は、この定義から一瞬もズレようがないので、シェフという呼び名すら恐れ多いのです。
ですから、自称「料理人」。
余談ですが、料理人は、フランス語ではcuisinier/cuisinière(キュイジニエ)と呼びます。これはもともと「火を使う人」という意味でもあるんですよね。
人間が火を使って料理をしてきた歴史をそのまま集約したような、素敵な言葉だと思います。同時に、調理をするという行為における、火の大切さも感じます。
とはいえ、ここ数年はすっかり「食材マニア」色が強くなりました。
料理は結局、素材だと思うのです。
ピラミッドをイメージするなら、調理をすればするほど頂点にのぼっていく感じです。
底辺が広くないと、手を加えた分だけ先細っていくイメージと云うと、わかって頂けるでしょうか。
底辺はもちろん、素材の味と質です。
いい意味でいうと、手を加えた分だけ凝縮される。
表現を変えると、底辺が広くないと先細る。
マクロビオティックを知るまでは、料理は技巧だと思っていた節がありました。
プレマシャンティに関わる前は、素材の味をここまで突き詰めませんでした。
料理をし、技巧を磨き、工夫をしても、突き抜けられない天井は、自分の技術とセンスの無さだと長く諦めていたのに、農地や作り手、職人たちと正面から向き合って、違いを知りたいと動き始めてから、提供できるお料理も更に豊かになったように感じています。
素材を突き詰め出してからは、むしろ更に簡素に調理するようになりました。
「食材マニア」を自覚し出してから、料理を生業にしているひとたちと組む楽しさを知りました。
料理を生業にして、自分のレストランやカフェを始めたいとは思いません。
ただ自分の身体は、どこでも、どんな状況でも、美味しいもので養いたいとは思います。
プレマシャンティが始まって、2018年の4月で何年目でしょうか?
どんどんマニア色が強くなっていく私、そろそろ自称「料理人」を廃して、「食材オタク」を名乗ろうかと思います(笑)