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料理人がみる世界

梅干し あれこれ

投稿日: 2017年12月21日 更新日:

最近あまり聞かなくなった表現なのかもしれませんが、自画自賛したり、自分を自慢したりすることを「手前みそ」と云います。自身の身内をほめちぎるときに、「手前みそで恐縮ですが」と前置きしたりもします。

辞書をひくと「手前みそ」の語源は、まさしく味噌。各家庭で味噌を仕込んでいた昔、自分の家の味噌が一番美味しいと自慢する行為から派生した表現なのだそうです。

家庭で仕込んでいた保存食は、味噌だけではないはずです。漬物や梅干しもそのひとつなのに「手前梅干し」といわないのは、語呂がわるいからなのか、それとも味噌ほど各家庭で仕込んではいなかったのか・・・。その辺りはわかりませんが、どれも酸っぱくて同じように感じる梅干しもまた、味噌のように味の違いが生じる保存食です。

使う材料は、塩と青梅。ところによっては、これに赤紫蘇がはいります。塩の分量、梅の大きさ、干し加減などの違いにもよって、大きく変わります。地域性もあり、ざっくりと特徴づけすると「関西=しそ梅・柔らかい、関東=白梅・カリカリ」と聞いた記憶がありますが、もしかしたら違うかも。

 

作り方の違いもさることながら、おなじ作り方をしても塩ひとつでこれだけ味が変わるのか!と驚いたのが、某展示会で出会いを頂いた梅干し屋さんです。

その場にあるだけで10種類。

国内外問わず、塩の種類(海塩、湖塩など)も問わず、同じ漬け方で塩を変えて漬け込んだ梅干しがざっと一同に会していました。

見ているだけで口の中が酸っぱくなって、生唾が出てくる壮観さです。びっくり。これに加えて、漬け込んだ年数別というのも出しておられました。

さすがに全部は頂けなかったものの、塩によって酸味の感じ方は変わります。酸味が柔らかくなったり、甘みが増したり。用途と材料によって塩を変え、素材の味の違いをひきだしますので、梅干しにしても、味に違いが生まれて当たり前といえば当たり前・・・ではありますが、興味をひかれたのは塩の質。グラム単価あたり高価な塩をつかったからといって、必ずしも「これおいしい!」と感じる梅干しだったかというと、そうではなかったのです。

その時の体調や気候によって、変化しやすいのが味覚ですから、一概に「これが美味しい、お勧め」とは云えないという前提にたっても、おなじ梅・同じ環境で仕込んだ梅干しが、塩の違いひとつでこれだけ味の違いを生み出すのだと知ると、梅干しは何種類かあってもいいなあと思ったり。十年単位で長く長く寝かした梅干しの、まろやかな酸味と塩味も貴重なので、「賞味期限」の制限を超えて保存できる家庭で仕込んだ梅干しは、本当に大事だなあと思ったり。十年単位で寝かせると、柔らかな梅干しとは、まったく異なったものに化けてしまいますが、それでも美味しい!のがとっても不思議です。

 

とても簡素な材料でつくる昔ながらの梅干しには、伝統食に秘められた知恵と機能が備わっています。味噌と同じく、家庭でつくる保存食のひとつとして、長く口伝されてきただけあるなあと感心します。家庭で塩を分けて何種類も梅干しを漬けるのは、現実的ではないけれど、自分の家の梅干しを軸に、何種類かお気に入りを見つけて常備するのも面白いのではないかと思った次第です。

梅干しを選ぶのに、塩を知る。

梅干しの味の違いを想像するのにも、結構目安になりますよ。

この記事を書いた人

プレマシャンティ開発担当。料理人
横山奈保 (よこやま なほ)

日本生まれ、海外育ち。
肉体の極限を追い求める競技者として育ち、肉体と食、食と精神、精神と肉体の関係を知る。現プレマシャンティのお母さん。突き詰め出したら止まらない、研究者気質でマニアックな料理人。

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執筆者紹介

中川信男

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。3人の介護、5人の子育てを通じ、東西の自然療法に親しむ。 ただし、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社 代表取締役。
2018、2019、2020年イタリアジェラート協会開催の世界大会で3年連続入賞。
宅地建物取引士、電気工事士(2種)、健康不動産株式会社 代表取締役、電磁波環境測定対策士組合長。
趣味はマリンスポーツ。脳内は基本、海か湖のことを考えている。

久野真希子

久野真希子 (くの まきこ)

2010年入社。海外事業担当。「フォーリア」や「コトー・ナンテ」などさまざまな輸入品の取り扱いにはじまり、海外での事業展開を進めています。

岸江治次

岸江治次 (きしえ はるつぐ)

20代に桜沢思想に出会いマクロビオティックを始め、新卒でムソー株式会社入社、及び、正食協会にて30年間勤務。現在プレマ株式会社執行役員

横山奈保

横山奈保 (よこやま なほ)

プレマシャンティのお母さん。突き詰め出したら止まらない、研究者気質でマニアックな料理人。

花井良平

花井良平 (はないりょうへい)

学生時代からマクロビオティックを始め、オーサワジャパンにて27年間勤務し、同社社長を歴任。その後、海の精企画部長。現在陰陽ライフ代表取締役

山口勝弘

山口勝弘 (やまぐちかつひろ)

1955年 大阪市生まれ。 アルファウェーブ開発者。

山崎美穂

山崎美穂 (やまさき みほ)

「仕事と家庭を両立しながら頑張っています!」プレマ株式会社プロモーションセクション プロモーター

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上ヶ谷友理 (うえがたに ゆり)

娘たちは2人とも生まれつき卵・牛乳アレルギー&アトピーで、小さいころは食べるものや日々の生活に四苦八苦していました。これからは自分自身の健康も意識しながら、前向きに笑顔で過ごしていきたいです!

寺嶋康浩

寺嶋康浩 (てらしま やすひろ)

電磁波環境測定士協会理事長。電磁波対策だけしかしない第二種電気工事士。関西大学工学部卒。
広告制作や宣伝に携わる傍、身体、心、食事、運動4つの面から健康をサポートする
ポラリティセラピーやクラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法)を学ぶ。2011年、父の死を機にボディワーカーに転身。全国で述べ1,000人以上の身体と向き合いセルフケアを提供している。趣味は山登り、古武術、ダンス。

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坂井歩 (さかい あゆみ)

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西村初美 (にしむらはつみ)

京都生まれの京都育ち。2013年よりプレマ勤務。普段はおっとり型なのに、考えるより先に見切り発車で行動してしまい後から困ることも多々。犬と中学生との二人と一匹暮らし。

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中川愛 (なかがわあい)

1996年、インド生まれ。帰国後は男の子と外を駆け回る活発な幼少期を過ごす。小学4年から中学までをかつやま子どもの村小中学校で、高校はきのくに国際高等専修学校で充実した学校生活を送る。立命館大学を卒業後、母校のかつやま子どもの村小中学校で教員を務め、2022年プレマ株式会社に入社。

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望月索 (もちづき さく)

人一倍不摂生な出版仕事人が37 歳、40 歳、44 歳で出産、育児の経験も積み、健やかな暮らしについて学び合う協会の設立メンバーに。編集、ライター、一般社団法人日本マクロヘルス協会理事。

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内田光香 (うちだ みか)

編集職を経て、2021年入社。生まれた時から数多くの土地で暮らし、各国を旅した経験から、そこだけの「人・もの・文化」の魅力を伝えるのがライフワーク。
おいしいヴィーガン料理を愛する食いしん坊。野菜ぎらいな小学生の娘と二人暮らし。

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十二村英里 (じゅうにむらえり)

プレマルシェ・スタジオ中目黒でイベント運営や展示販売などを担当。2021年に待望の第一子を妊娠し、翌年に無事出産。新米ママとして育児と仕事に奮闘する日々。

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鈴木 啓子 (すずき けいこ)

現代の忙しい女性たちに、米ぬかと大豆の自社製品を使った簡単で美味しいレシピや食材をまるごと食べる一物全体の大切さをイベントや講座で伝えています。

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松本春菜 (まつもとはるな)

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堂尻友子 (どうじり ゆうこ)

自然への畏敬の念と自然食品への関心を深める。システム管理会社勤務を経て、現在2児の母。プレマシャンティのデータ&家電担当。

城島淳子

城島淳子 (じょうじま じゅんこ)

自然療法や波動医学を実践。解熱剤や抗生剤等を使わず3人の息子を育てている。九州在住でご当地商品の開発担当。

峰村東子

峰村東子 (みねむら はるこ)

発酵などの実験・体験が好きなみそソムリエ。家にある発酵中の瓶は数知れず。 まれに個人で調味料作りのワークショップ開催。週末は卓球に勤しむ2児の母。プレマ株式会社 東京在住スタッフ。