開発チーム横山です。
国内から国外へ、そして国内でも東奔西走で
フットマイレージを積み重ねる毎日です。
フードマイレージは少ない方が良いですが、
開発チームに限っては、フットマイレージを重ねるほど、
生産者とのご縁が深くなり、新しいご縁も生まれます。
取引先と顔を合わせ、体温を感じながらお話をする中で、
生まれるアイデアも、少なくはないのです。
福岡への旅の目的は、「有機マッチングフェア」。
有機で農業を営む生産者と、我々のような流通販売者とを
繋ぎ合わせる機会が、有機マッチングフェアです。
5年目の開催となる2015年は、北海道、福岡、
東京の3カ所を、順に巡って開催されました。
各会場とも、生産者は20~30程と多くはないですが、
マッチングフェアをきっかけに、土産物に繋がったり、
輸出が決まったりと、商談や立ち話で交換した情報で、
大きく伸びた生産者もいれば、生産者仲間の紹介で、
新しい商品の企画販売に繋がった販売者もいます。
生産者の減少や、収穫の激減ばかりが耳に入る昨今。
マッチングフェアで出会った新しい、若手の生産者の力や、
以前からお付き合いのある古参の生産者との会話は、
わずかに緑の、心地の良い風を吹き込んでくれました。
小粒だけれど、枝が折れそうにたわわに実ったという
有機ミカンの生産者。
沖縄に移住し、作付面積を増やそうと、
モリンガの栽培を続けるご夫婦。
熊本の山間部で、村おこしに農業を始めた青年たち。
昨年比150パーセントの収穫だったという、梅生産者。
1キロ5千円のお米を販売する、自然栽培農家。
栽培する作物や、商品はそれぞれ。
農法も、農業に対する考え方もそれぞれですが、
ひとつだけ共通する想いがありました。
それは、「農業で、正当な収入をえること」です。
化学合成した農業資材を使わない農業は、
時間と手間がかかります。
手間と時価をかけた分、相当する対価が得られるかというと、
決してそうではありません。
彼らの収入は、当然、出来高によって制約を受けます。
生産物の量と質が、商品作物の価格を決めます。
けれどもそれ以上に、市場価格によって制約を受けます。
お話をする機会があった青年が云いました。
「何をつくったらいいのかを、教えてほしい。」
「買ってもらえる農産物を、作ります。」
販売者を探しながら、試行錯誤して続ける農業は、
決して楽ではないし、続かない。
そんな声が、どこからともなく聞こえていました。
販売が決まった生産物を、顔の見える消費者に向けて
育て続ける農業と、顔の見える生産者が育てた野菜を、
日々食べ続ける消費行動は、表裏一体です。
近隣で有機農業を続ける人々を、年間のシェアを購入し、
支えるシステムが、欧米で採用され始めています。
有機農家は、事前に運営資金を手に入れ、
消費者は、収穫期には毎週、何らかの農産物を、
対価として受け取ることが出来ます。
日本でも、加工品をつくるために、農園と契約をし、
収穫物を買い取る方法は、珍しくありません。
豆腐や日本酒、みそなど、思いつく商品は多々あります。
その考え方を少しひねって、生鮮野菜を育てる生産者と、
消費者が、お互いを支えあうシステムがつくれないかと、
考えています。
彼らのような次の世代を担う、新しい有機生産者たちと、
命の通った野菜を食べたいと願う消費者が、
お互いの顔を見ながら、暮らしていけないかと思うのです。
プレマシャンティでも、新しい商品が続々と登場しています。
お客様全員と一緒に、生産者の訪問は難しいですが、
いつか生産者とお客様が、顔をあわせて暮らせればと願います。
その「いつか」が来るまでは、私たち開発チームが、
生産者とお客様とお話をし、皆がそれぞれの想いに沿った
暮らしができるよう尽力できればと、切に願っています。