肌を切る風はまだまだ真冬の2月ですが、
節分を過ぎ立春を迎えると、暦のうえではもう春が始まります。
春のキーワードは、成長と活動。
自然の理(ことわり)は、私たちにももちろん当てはまります。
ファッション界では、季節の一歩先取りが「おしゃれ」だと云いますが、人間の身体も同じ。
ゆっくりと移り変わる自然界の変化にあわせて、
身体の内側から穏やかに春を迎える準備を始め、春を先取りしてみませんか。
古代中国では、草木が土中から芽吹く自然のさまを観察し、
見えない上昇する力を感じ取りました。
この見えない力を「氣」と呼び、
人間もその影響を例外なくうけているのだと考えていたのです。
芽吹きの季節には冬眠していた動物たちも、
そろそろ眠りが浅くなり、目覚めの季節を迎えます。
冬の間に十分に蓄えていた「栄養部」を使い切り、次の活動に移る季節でもあります。
冬の養生では十分な睡眠を心がけますが、春は早起きが鍵。
活動の前には心を落ち着けて、
ゆとりをもって活動をするのも大切だと云われます。
冬のゆったりした生活から、活動的な動きのある生活に切り替えるのと同時に、
身体を暖め滋養を蓄える冬の食生活から、
より軽く身体を軽く開放していく春の食材を取り入れた食生活に切り替えるのも大切です。
春には、「成長」のエネルギーになる甘みのある穀物、
例えば小麦や大麦、米などの食材や、
エネルギーの発散を促す辛みの食材、
例えばネギやしょうが、しそ、三つ葉、陳皮などの香味のある食材が
向いていると云われます。
また春の芽吹きのたけのこやうどなどの苦味のある食材も、適度に取り入れましょう。
氣の上昇が強く、イライラしたり、のぼせたりする傾向にある方は、
蕎麦や豆腐、粟(あわ)、白菜などが頻繁に用いられる他、
薄荷(ミント)などのすーっとする香りと風味のハーブティもお勧めです。
芽吹きの季節は放っておいても「氣」の巡りが良くなる半面、
肌荒れなどのトラブルも出やすいだけでなく、
伝統中医学では、胃腸の働きが鈍くなるとも云われます。
具だくさんのスープなどを適当に取り入れ、
軽い食事と沢山の野菜を腹八分目に頂いて、胃腸の負担を軽くするよう心がけてくださいね。
身体を目覚めさせるには、軽い運動もお忘れなく。
活動的になる季節、薄着の夏に向かってウォーキングなどで、
内側の巡りも良くしましょう。