2019年5月。私、中川信男は、簡易宿所新設のために購入した物件のリノベーションを行っていました。大津市の近江舞子駅から徒歩9分の、素晴らしい場所です。
この物件、2017年に滋賀県を襲った大型台風の被害で屋根が損傷、雨水があちこちから室内に流れ込み、もしここで購入しなければこのまま朽ちて倒れるだけ、というギリギリの状態でした。
家は築40年以上経過していましたが、純和風建築で、丁寧に建てられたことがわかる風情です。京都や山村では築後百年以上経過したような「京町家」「古民家」というキーワードばかりで美談が語られますが、戦後、誰かが誰かのために建てた物件ですらも解体してしまうのはあまりにもったいないと、私は考えています。「作って、壊して、また作るのが合理的」という考え方に異論を持っているのです。
この場を借りて、もう一言申し上げておきましょう。築100年だ、200年だが希少でありがたいのはわかるのですが、30年、40年で解体してしまえば、築数百年にはなり得ません。こんな当たり前の話すらも反映されていない、「新しい方が、問題や厄介が起きないでいい」という事なかれ主義的な行政の考え方にも、大きな疑問をもっています。
京都に準備している手作りチョコレート工場は鉄筋コンクリートで築50年以上、この家もほぼ同等の時間が経過しているものの、まだまだ修繕すれば充分使えるのです。それだけではなく、経過する時間だけがもたらしてくれる特有の雰囲気は、新築では決して叶わない、やさしい空気をもたらしてくれます。
ここまで中目黒のプレマルシェ・ジェラテリア(前の東京オリンピック直前に建てられた古いビル)をはじめ、7軒以上のリノベーションを手がけてきた私としては、いくら屋根が損傷しているからといっても、壊してしまえ、という気持ちにはなりません。
とにかく、売主様を「素敵にリノベーショのして、生かします。もう一度、この建物に命を吹き込みます。」と仲介業者経由で説得し、かなり安く購入したこのお家。自ら監督として職人さんをほうぼうから集め、あちこちの修繕に入ったのですが、漏水箇所を中心にして、あちこちにシロアリの食害の跡が見えます。
数週間にわたり通い詰めている大工さんと私から「この家、やっぱり防蟻かけたほうがいいですよね。」と話していると、大工さんからは「この家には、もうシロアリはいないと思います。」との回答。何十年のキャリアがある大工さんですから、基本的にこの話を信じてリノベーションを進めていました。
リノベは酷い損傷だったの1Fから進めていたので、2Fは後回し。ただ、畳の漏水損傷箇所に水平の違和感を感じた私は、「やっぱりここは見ておこう」と、畳をあげ、バールで床を剥がしてみてびっくり。そこにはまだ活動中のシロアリの姿が!
自分で解体していたのでスマホが手元になく、シロアリの姿は収められませんでしたが、こんな感じです。水平が狂っていたのは、根太下の梁が下がっていたのです。
これは大変!と即座に防蟻の手配をかけ、職人さんがやってきた直後。大工さんから、メッセンジャーが。
「防蟻屋さんの見積済みました。今、突然シロアリが、ハネアリになって大移動を始めました!」
昨日、シロアリの姿を発見。そして、防蟻やさんがやってきた(この日は処理も何もしていません)となったら、いきなり大移動を始めるシロアリの賢さ。
これが、シロアリの恐ろしいところです。
外から見ても、姿はほとんど見えません。あちこちを解体していた大工さんでも見ていなかったのです。
食害があっても、姿が見えないのです。
さあ、これはまずい!と人が動こうとすると、一気に逃げていきます。私よりも賢いのです!!
とにかく、何もなくてもちゃんとプロに見てもらう。
時間があるのなら、化学物質ではなくても、天然素材で対処できます。
今すぐ、床下無料点検をすることを、強くおすすめします。
教訓:
・シロアリのことは、シロアリのプロしかわかりません。大工さんや内装やさんではわからないのです。
・姿が見えないから、安心ということは決してありません。
・早くに予防的対処をする、または、被害が出る前に時間余裕があれば、化学物質を使う必要はありません。
・あなたの家を売る段階になって、シロアリ被害があれば、二束三文でしか売れず、買い主も滅多に現れません。
(市価の何分の一かで、私、または同種の変な人が買うかもしれません。)
・たとえ今何もなくても、隣が防蟻すれば、あなたの家が餌食になり得ます。なぜなら、彼らは飛びます。
・シロアリは、中川信男よりも決断が早く、行動が早いです。しかもよく食べ、よく活動します。もちろん、あなたよりも。
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