マルラオイルをご購入下さったお客様から
ボトルの中に管がない!不良品だ!とご連絡を頂きました。
白いポンプヘッドを押してもオイルがでなかったので、
ボトルを確認して気が付かれたのでしょう。
ゴールドのキャップを被ったマルラに限っては、よくあるプッシュポンプとおなじ
ボトル底まで届く長い管はついていません。
なぜか?
今回マルラオイルには、特殊な容器を使っています。
エアレスポンプと呼ばれるボトルです。
通常のポンプタイプのボトルは、中身が減ると液面が下がり、ボトル内の空気が増えます。
エアレスタイプは中身の液体が減ると、底のピストンが上昇する構造で、ボトル内の空気は増えません。
ただ、この底のシリコンのピストンが、ボトル壁面に固着し、プッシュしても上昇しないときがあり・・・
結果、プッシュしても油が出ない!という現象につながってしまいます。
プッシュして、オイルが出ない!で、八方ふさがりかというとそうではありません。
解決策は衝撃。
底のゴールドの部分を、数回手のひらに打ち付けてください。
シリコンのピストンに振動が伝わり、大抵は動きます。
もしこれでも動かなければ、奥の手。
ゴールドの底の部分にある小さな穴に、つまようじの丸いほうを突っ込んで、軽くトントンとピストンを叩き(振動させ)ます。
そのあとにヘッドを数回押すと、スコンという衝撃とともに、ピストンが動きます。
強く押すとピストンがずれてしまうので、あくまでも優しく振動を与えてください。
シリコンの「上げ底」は、使っているうちに止まってしまう場合がありますが、この時も同様、底面に刺激を与えるか、ピストンの底をトントンと軽くつつくと、また動きます。
ゴールドの底面の穴からつまようじを入れて叩くのは、あくまでも「軽く・優しく」刺激を与える程度です。
強く押しすぎると、底がずれたり損傷したりし、液が漏れだす可能性がありますので、ご注意ください。
正直、このエアレスボトルは「面倒くさく」、「手間がかかる」アイテムです。
見た目も「安っぽい(!)」のに手間ばかりかかり、たかがボトルに、なぜこの手間か?と自分でも思います。
それでも決して安価でない化粧オイルを、最後まで快適に使うためにどうしたらいいかと考え試作を重ねる中で、辿り着いたひとつの答えが「エアレスボトル」でした。
エアレスボトルは、容器としてご紹介するには、まだまだ補足の説明が必要です。
今回のように、液が出ないとか、漏れるとか、考え方によっては開発途上でしょう。
ですが「オイルを最後まで快適に使わせる」という機能に限っては、常温でおいていても香りもかわりにくく、大変優秀でありがたい容器だと私は実感しています。
エアレスボトルは、日本ではあまり多く使われてないといいます。
なぜなら、トラブルが多いから。
機能的で優秀だとわかっていても、ピストンが上がらない、吐出しないとクレームばかりが続いては、ブランドにも傷がつくし、お客様の期待にも応えられません。顧客対応チームにとっては、問い合わせが殺到し、仕事ばかりが増える結果につながりますから、量販店と組んで大量に販売する量産メーカーには、避けたい容器なのでしょう。
幸いなことに、プレマシャンティは強固なチームに支えられ、客様に情報を発信する場も得ています。
トラブルがあれば、速やかに対応できる体制が整っていますし、問い合わせをお客様との対話の場と考えるスタッフにも恵まれています。
良いものは良い。
説明が必要ならば、説明をすれば良い。
日本の市場では、包材だけでなく、数多の事象が、説明をしきれない・対応しきれないという理由だけで、隅に追いやられて機能しなくなっています。
たかだか包材で何をと言われるかもしれないけれど、「エアレスポンプ」も、使う側がもっと声をあげれば、さらに改良される可能性を秘めていますし、結果、私たちがより快適に化粧品を使える環境が整う可能性もあります。
お客様に面倒をおかけしてまで貫く必要があるのか?そう問われたら、お返事に詰まります。
お返事には詰まりますが、エアレスポンプの機能の高さを体感しながら、それを丸ごとなかったことにできるのかどうかと考えると、快適さを共有したいという思いの強さは無視できません。
使ううちに酸化臭が強くなり、多くの化粧用オイルを使い切る前に破棄するという口惜しい体験を重ねてきました。
マルラオイルをご紹介するにあたり、最後まで可能な限り品質が変わらない容器が欲しいという非常に個人的な主張を貫いた結果、エアレスポンプに出会いました。
エアレスポンプを使ったからといって、酸化しなくなるわけではありません。
新しい酸素が入りにくくなる分、通常のプッシュポンプよりは香りが変わりにくかったという私の検証に基づく判断にすぎませんので、これでは嫌という方もいらっしゃるだろうと想像します。ただ同時に、共感いただける方も少なくないのではとも考えています。
小さなトラブルが、全体の色彩を欠く原因となること承知しております。
オイルが出ないのは、ブランドの信頼そのものを損ねるというありがたいご意見も頂きました。
それでもプレマシャンティも、私たちも、可能性に挑戦し続ける姿勢を変えたくはありません。
改良を重ね、よりよいもの作りをしたいという作り手たちがいる限り、お客様の声を受け止め、集め、伝えながら、作り手たちと工夫を重ねていく所存です。
マルラオイルも、これが最終形だとは考えていません。
利便性が高く、より高いレベルで品質が保持できる容器に出会えば、どんどん検証し変更していきます。