プレマシャンティ開発チーム横山です。
8月に2色のローゼルやライチの乾燥、小さなバナナやイチゴ、マンゴーなどのドライフルーツのミックスなどが、新しくプレマシャンティの仲間になりました。
往々にしてアメリカやオーストラリア、東南アジアが多いドライフルーツですが、この子たちは皆、アフリカからやってきました。
その中のひとつ、ミックスベリーをお手に取ってくださったお客様から、つい先日お問い合わせを頂きました。
これは何でしょうか?
送り頂いたお写真をよく見ると、確かにイチゴにも見えるドライフルーツにうねうねとした髪のような、繊維のようなものが固着している様子が見えます。
食する側の目で見ると、「こりゃ、嫌だよなあ」。
日本で乾燥までしたものであれば多分、ひとふくろ丸ごと、なんか嫌だなあと押しやったと思いますが、「アフリカで加工しているしな」と妙に納得しました。
そして次の瞬間、自分の思考を追いかけなおしました。
「日本だとNG」で、「アフリカだと納得」?
もちろん販売している側としては、産地がどこであろうと「異物」が混ざっていた事実に違いはありません。
ご連絡をくださった方へお詫びし、以降 同じことが起きないよう加工者に連絡、改善のお願いと提案をする、場合によってはご連絡をくださった方へ調査報告と改善案をお伝えする という流れをたどります。
それでもこの過程の中で作り手と話をする際には、産地によって伝え方や考え方のポイントが変わってきます。
例えば、欧米原産であれば、パッケージのズレやへこみ、時にはヘタ・茎・葉の混入や形状の欠損は当たり前です。
それもあって、欧米市場と長くやりとりをしている国もまた、これらは「当たり前」。
「アフリカ」も例外ではなく、「ヘタ・茎・葉の混入」を指摘されたところで、生産者はあまり重大な事件が起きた!とはとらえません。
ひとくちに「アフリカ」といっても、確か現時点でアフリカ大陸には56の国(違っていたら訂正ください)があり、それぞれの国が違う文化・歴史を持ち、地形も異なります。
日本とご縁が薄いからか、「アフリカから」というと驚かれる方が多いのですが・・・。
アフリカ諸国は歴史的にヨーロッパ大陸とのご縁が濃く、多くの国がフルーツや砂糖、カカオ、コーヒーなど多くの食品を欧州に輸出しています。ですから製造部門の多くはヨーロッパ(ヨーロッパと云うかEU?)が基準、有機認証もヨーロッパ認証が多いのです。
日本でヨーロッパ基準というと「好印象」が多いですが、輸入をしている方はよくご存じの問題がひとつ。
パッケージ問題 です。
デザインは素敵なのに、造りや仕上げがのんびり。
輸出用に最初から作っているものならまだしも、経済共同体圏内向けはのんびりで、自国内向け(もしくは)はかなりのんびりで、地域限定であればさらに、小規模生産であればそれよりもさらに・・・とだんだんのんびり度合いが深まります。
パッケージだけでなく、日本とは気にするポイントが違うのか、少々の箱のへこみやつぶれは割と平気で店頭に並んでいますし、パッケージフードを買うと、ドライフルーツにヘタが入っていたり、冷凍野菜に茎や葉が入っていたり、9個入りの袋詰めが9.5個入りだったり、チョコレートサンドなのに20個入りのうちの1個にチョコレートがなかったり、1キロ入りマドレーヌに半分に切れたものが混ざっていたり・・・とまあ、様々。さらに云うなら、「割れ」や「欠け」といった形状不完全なものだけを集めた『お徳用』パックは、基本概念としてはありえないものです。
日本ならお客様からの問い合わせにつながりそうな気もしますが、購入した側が使うときに、除けられる、まあひどく落胆しない程度であれば、許容範囲と考えられているのでしょうか。
その代わりといってはおかしいかもしれないけれど、食品であっても返品は可。
選択の基準は「変えられない品質」、つまり原材料にあるので、EUに至っては、材料に何を使うかは非常に厳格な基準が設けられています(もちろんEUも加盟国によって、基準が異なります)。
例えば保存料や着色料、香料、加工助剤などの食品合成添加物に至っては、単純に数だけ比較するなら、ヨーロッパ諸国に比べ、日本はまさにゼロの数が違う「桁違い」の許可数です。
先ほど書いたパッケージの欠損も、品質そのものに関わる部分であれば、態度ががらりと変わり厳しくなります。
アメリカを含め、ヨーロッパの商品の多くが、買う側の健康や身体の安全に直接関わる部分は厳格に規制するけれど、買う側に選択肢がある部分はわりとゆったりとした基準を設けているようです。
暮らした経験がないので断言はできませんが、現地に暮らす知人の話や届く商品などを見ていると、ニュージーランドやオーストラリアも、日本よりもヨーロッパに近い価値観で、項目によってはより厳しい目で、基準を決めているように感じます。(歴史的背景を考えるともちろん当然!なのかもしれません。)
対して日本。
パッケージの美しさや異物の混入には、非常に敏感です。
異物には「つかわれていないもの」が含まれるので、例えば冷凍いんげんの袋詰めは、茎が混入しているとお問い合わせが入りますし、時には商品としてはNGと判断されるなど、買う側の目も厳しいです。
その反面、先ほどの認可された合成添加物の数にあるように、原材料など「変えられない部分」に規制はあるけれど、欧米ほど厳しくないのが実態です。
湿気や温度、文化・歴史背景など、基準の違いに影響を与える要素は沢山あります。
ですから単純な「善し悪し」ではないですが、日本とヨーロッパ、アメリカでは「何を・どこを・誰を」基準にするかに、大きな違いがあるのかなと考えたりもします。
今回のドライフルーツの付着物。
お写真でのみ拝見していましたので、「乾燥する時のネットの繊維」である確率が高いです。
日本基準に仕上げるために、大袋で輸入し日本で最終商品化する手間をとっていますが、お願いしている先によると、小袋に詰める作業をする方が、目で確認をしているので年に2~3回、こういうご連絡がはいるとのこと。
製造している現地にも古くけば立った乾燥ネットを使わないよう依頼したり、製造する場所を明るくするよう依頼したりと、日本から「お願い」をしていますが、あくまでも日本の暮らしの環境や価値観に基づいた内容なので、現地の経済状況や生活環境からみて何が適切かは現地判断に委ねるしかありません。
ということで、結局 対策ができるのは日本側。
今回の件をうけ、日本側では目視の速度を落としたりと、検査の精度をさらにあげるよう努力しております。
今後もご賞味いただけますと幸いです。