プレマシャンティ開発チーム 横山です。
「小豆が浸水しない!」という経験をされた方、おられますか?
もしそうだったら、
浸水する水の温度を見直してください。
昨年末の話です。
2024年も残り10日程になったある日のこと
お客さまから訴えがありました。
小豆が煮えない。
小豆自体に問題があるのでは、というのです。
マジか?
冷や汗がでました。
プレマシャンティの「あるがまま 小豆」は、
岩手県で自然栽培されている農家さんから
譲り受けている小豆です。
小豆によっては、吸水しにくいものがあるのも
確かなのだけれど・・・。
お客様曰く、
「浸水しても膨らまない小豆は初めて」
1回は2日浸水してから炊いたが、
半分くらいが乾燥状態の大きさ固さで
そのまま残った。
2回目は、半分くらいの小豆が浸水せず、
炊きあがりは1回目と同様だった。
「問題はあるがまま小豆にあると思った」。
まずは確認。
これはやってみるしかないと弊社北小松事業所で実験しました。
1回目。
お客様がおっしゃるように、吸水していません。
【8時間後】
※写真左が浸水前、右が浸水後
※写真左が浸水前、右が浸水後
どちらも場所は、滋賀県の弊社北小松事業所です。
小豆は「あるがまま 小豆」を使っています。
1回目と2回目では、条件が違いました。
1回目:雪が降る北小松の朝に、水道をひねって出した冷たい水。
2回目:最初熱湯を入れて吸水。
違いはこれだけです。
農家さん曰く、「水が冷たいと吸水しない」。
小豆の腹のところについている白い点。
これが吸水弁の役割を果たすのだそうですが、
温度が低すぎると「弁が閉じる」ので水を吸い込まず、
豆が膨らまないのだそう。
生物学的に正しいかどうかは別として、以下は推測です。
植物は与えられた環境のもとで命を繋ぎ続ける
最善の選択をするよう適応していきます。
豆や穀類は「種」である以上、自分たちが発芽して
育っていける温度になってはじめて水を吸い込み、
芽吹く準備をします。
特に植物は、動物のように自由には動けません。
そのため「親」が育つ環境に適応して、命を繋ぎやすいよう
子どもである「種」を作ったとしても不思議はないのでは?と
私は考えています。
だとしたら小豆は当然、
吸水する条件を選ぶでしょう。
水が冷たい=周囲は寒い=自分が育てる環境になっていない
=>「まだ目覚めないぞ!」=「吸水弁を閉じよう!」
もし小豆が理論的に判断するなら、
こんな感じでしょうか?
ここでは小豆とひとくくりにしましたが、
もちろん産地や育ち方、系譜、年度によっても、
「発芽の好み」は変わってくるだろうと予測します。
吸水させたい穀物によって、育ちやすい時期は違いますし、
それぞれの発芽条件がありますので、一概にはいえませんが、
豆や籾がついた穀類は「温かくお迎えする」のがよさそうです。
そうそう、小豆について。
一晩以上浸水すると逆に硬く仕上がるとも云われています。
糖分を加えるのも、小豆が全体的に柔らかくなって来てからが良いようです。
また一度水につけて吸水しなかった小豆は、どうやらそのまま煮ると、
調理はされるけれど「吸水しないまま」らしいです。
「浸水2日目の小豆は、全く吸水せず堅いままのものが残っていました。
見た感じ吸水しているのは1/3くらいでした。
熱湯で戻した小豆は20分ほど煮たら柔らかくなりましたが、2日水で浸水させたもので、
吸水できていなかったものは40分煮ても芯が残っていてボソボソした食感でした。
やはり調理するには完全に戻さないとだめなんですね。」
(北小松事業所 吉田談)
お客様も云われていましたが、吉田の機転を利かせた
密な実験のお陰で吸水しない小豆は柔らかくならないことがはっきりしました。
一度水に触れて吸水を拒否した小豆は、「そう簡単に心変わりしない」
ということなんでしょうか・・・。
心変わりさせる方法があれば、知りたいところです。
今回の結論:
小豆は温かいのがお好き
私はいつも小豆をサッと洗ってから、浸水せずにそのまま弱火にかけて土鍋で煮ています。
この場合、最初に触れる水は冷たくても平気です。
浸水してから小豆を調理するのは全く初めてだったので、今回は沢山発見がありました。
ご指摘くださったお客様、ありがとうございました。