プレマシャンティ開発チーム 横山です。
加工食品の原材料表示にある「食塩」という表現が、どうも受けが良くないようです。
食塩=「精製塩」のイメージが強いからでしょうか。
加工食品の一括表示における「食塩」。
塩を取り巻く規制のもとでの「食塩」。
暮らしのなかでの「食塩」。
ひとにとって必要不可欠であるがゆえに、ひとの歴史に深く深く関わってき続けたがゆえに、状況・場面において、受け取る/使うひとにおいて、”意味合い”が異なる傾向にあるのが「塩」や「食塩」という単語です。面白いほど幅が広く、表現の仕方も様々なので、いまさらながらに「食塩って何?」と首を傾げてしまうのですが・・・まずは原点に立ち還ります。
『日本大百科全書』によると、「食塩」とは、『食用に用いられる塩であり、工業用(一般工業およびソーダ工業)に用いられる工業塩と区別するために』与えらえた一般的な呼称です。加工食品の原材料に記載されている「食塩」という記載は、この一般的な呼称の「食塩」で、”食用の塩”をさしています。
2015年に改正された食品表示法が、2020年4月に完全施行されました。
この改正で、栄養成分表示やアレルゲン表示の義務化、一部の例外を除き「製造所・加工所」の明記などを含める必須表示項目の追加と、原材料の表記方法の変更など大きく変更されています。(より正確に表現するなら、食品表示法の改正により、下位法令である食品表示基準が変更されました。)そして、今まで表現方法が様々だった原材料の表示も、より「一般的な」呼び方に統一され「わかりやすく」なっています。
「食塩」も、改正の影響を受けたひとつです。
少し前までは、原材料に「海塩」や「自然塩」という書き方をした加工食品をみかけることもありましたが、2020年4月1日以降に製造された食品は、原材料表示の記載が基本「食塩」に統一されていると思います。
改めて食品表示基準を探しても、原材料名を「食塩」と書くと明記した項目は、見つかりませんが、ただ読み込んでいくと、加工食品に添加した『塩』は、「食塩」と書くよう暗に指示されています。(興味のある方は、消費者庁のウェブサイトに内閣府令として掲載がある「食品表示基準」の別表第1~別表第8 を読み込んでください。)
つまり食品表示基準上の「食塩」は、”食用の塩”の一般呼称であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
ちなみに、一般社団法人日本塩工業会や公益財団法人塩事業センターの品質規格にも、「食塩」が登場します。この品質規格上では、塩化ナトリウム含有量が99.0%以上ある海水からつくる塩が、「食塩」と定義されています。
また「食塩」が出てきた・・・ので、次回に。