プレマシャンティ開発チーム 横山です。
普段購入されている「塩」の一括表示を、じっくりと読まれたことはあるでしょうか?
名称「食塩」。
ここにもまた「食塩」が登場します。
一般販売用に包装された食用塩には、食品表示法で定められている一括表示の表記 および 栄養成分の表示が義務付けられています。一括表示欄に記載する項目は、名称、原材料名(添加物含む)、原材料原産地名(※)、内容量、保存方法、製造者、販売者(食用塩には、未開封賞味期限の記載義務はありません)。
名称とは、一般的につうじる呼び名のことで、「これが何か?」を的確に表現し、広く多くのひとが判別できる名称が使われます。
包装された食用塩の場合、加工食品の表示ルールを定めている「食品表示法」以前に、食用塩業界の自主規制である「食用塩の表示に関する公正競争規約および施行規則」によって、この名称が「塩」か「食塩」と定められています。
つまり岩塩であろうと、天日塩であろうと、精製塩であろうと、名称上は常に「塩」か「食塩」です。
つまり・・・加工食品の一括表示法に記載される食用塩の名称は、既に袋詰めされた食用塩に記載される名称の「塩」あるいは「食塩」で定義された一般名称が同列で使用されているとも受けとれます。
加工食品の一括表示は、一括表示法という法で厳しくルールが定められています。
そのため食用塩をつかってつくる食品は、原則、原材料の項目には「食塩」としか記載できません。
私たちは、歴史的な背景を受けて変わらざるを得なかったもの、効率化を追求するがために変わっていったものたちに対して、「昔ながら」の作り方を掘り起こし、あるいは台所にあるような素材を使ってつくられる食品や食用塩をご紹介しています。
そして直接お取引のある多くの作り手は、何かしらの問題意識をもちながら、常に食と向き合っています。
また弊社とお取引のある「ムソー」や「オーサワ」といった先駆者たちは、彼らの課題や問題意識をもって食と向き合い、作り手たちと向き合ってきました。
ですから弊社でご紹介する味噌や醤油をはじめとする「食塩」を多く必要とする加工食品には、塩化ナトリウム純度99.0%以上のイオン交換膜法でつくられる精製塩は使われていません。
だからといって、原料塩水の濃縮にイオン膜や逆浸透膜を使う塩や、メキシコやオーストラリア産の天日塩、国外産の天日塩や岩塩を海水に溶かして再結晶させる塩をつかってつくられる味噌や醤油を避けているわけでもありません。
加工食品においては、他につかわれる素材(原材料)や作り方とのバランスが大切です。最終的には、手に取りやすい価格や柔軟さ、使いやすさにも繋がる原材料選びは、作り手の腕の見せ所でもあるのではないでしょうか。
とはいえ、単純にお家で使う「食用塩」を選ぶのであれば、また話はかわりますが・・・。
以下、余談です。
ではどうやって塩の種類を見分けるのか?と気になります。
岩塩なのか、海水なのか、湖塩なのか、天日塩を溶解して再結晶した塩なのかは、原材料名の記載で判別できます。
さらにどうやってつくられた塩かも、工程の項目を見ればわかります。塩の製造に使用される6つの原材料の名称や、岩塩や海塩など7つの特定用語、工程に使われる16の用語もまた、「食用塩の表示に関する公正競争規約および施行規則」のもとで定義され、定義にあう場合のみ使用が許されています。
例えば・・・海水を天日で濃縮し、平釜で煮詰めて結晶にした場合はこのようになります。
名称:食塩、原材料名:海水、内容量:○○○g、製造者:▲▲株式会社 ・・・・
製造方法
原材料名:海水(○○県)、工程:天日、平釜
ただ「食用塩の表示に関する公正競争規約および施行規則」は、自主的に設定された塩業界の独自ルールであり、規約に参加している企業(事業者)つまり食用塩公正取引協議会の会員企業(事業者)にのみ適用されます。
ですから食用塩を販売していても食用塩公正取引協議会の会員でなければ、この規約の効力外となり、表示が異なる場合もあることを留意ください。
ちなみに食用塩公正取引協議会の会員数は、2021年4月28日付けで162社(団体)。
さらに余談になりますが、プレマシャンティの「低温製法 海水塩」の作り手は会員ではなく、作り方も規約に定められた工程に当てはまりません。非直火式低温製法は、実は世界でも珍しい特殊な方法です。
一括表示の表記が、他の多くの食用塩と異なるのは、こういった理由によるものです。
参考:
食用塩公正取引協議会ホームページ(http://www.salt-fair.jp/)
消費者庁ホームページ/公正競争規約(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/fair_competition_code/)