プレマシャンティ開発チーム横山です。
表題からストレートな書き出しです。
「砂糖」について、何回かにわけてまとめます。
まずは、「知ってるわ!当たり前!」と
云われそうなところから。
【砂糖とは?】
砂糖は、スクロース(ショ糖)を主成分に含んでいます。
一般的には、スクロース(ショ糖)=砂糖とみなされているようです。
スクロースは化学式では、化学式でC12H22O11。
二糖類に分類され、ぶとう糖(グルコース)C6H12O6と
果糖(フルクトース)C6H12O6が1対1で結合した
無色透明の結晶です。
つまり「砂糖」は分子で考えると、炭素と水素と酸素で、
光合成によって植物が生成する「植物のエネルギー源」であり、
単純に考えるなら、ジャガイモや稲、トウモロコシ等に含まれる
”でんぷん”と似て、植物の生存や成長、繁殖に、
必要とされる栄養素だとも云えます。
甜菜やサトウキビ、サトウヤシ(砂糖椰子)のように、
「砂糖」の原料になる作物を糖料作物(とうりょうさくもつ)と呼びますが、
人間にとって効率よくショ糖を貯えるかどうかが基準であり、
それ以外にも甘味を蓄える作物は沢山ある。
改良を重ね、どんどん甘さが増していく
サツマイモ、とうもろこし、ニンジンやスイカなどの野菜、
メロンやイチゴ、りんごやぶどうなどの果物も、
多くのショ糖を含んでいます。
【砂糖の種類】
日本では、大きく2種の糖料作物が栽培されています。
沖縄や鹿児島で栽培されているサトウキビと、
北海道で栽培されている甜菜(サトウダイコン)です。
日本で一般的に使われている砂糖もまた2種で、
「甘蔗糖(かんしゃとう)」はサトウキビを原料に、
「甜菜糖」はサトウダイコンを原料にする砂糖です。
砂糖は、ショ糖の純度によっても呼び名が変わります。
まず含蜜糖と分蜜糖。
含蜜糖は、抽出した蜜液を濃縮したのち、
なるべくその蜜のまま固形化(結晶化)させたものです。
対して分蜜糖は、抽出した蜜液を濃縮したのち、
ショ糖の結晶を選別したものです。
含蜜糖・分蜜糖と云われても馴染はありませんが、
黒糖(黒砂糖)、加工黒糖、和三盆、三温糖、上白糖、
グラニュー糖 と云われると耳なじみがあるでしょうか。
甜菜と甘蔗では抽出方法や精製方法は異なります。
出来上がる砂糖も異なりますが、黄色の線を引いた名前は、
基本共通です。
また砂糖には、ショ糖のほかに還元糖などの成分が含まれ、
含有量の違いが味や感触の違いを生じています。
還元糖は特に、水分の含有量と関りが強く、
べたっとした上白糖とさらっとしたグラニュー糖では、
還元糖の含有量が、前者対後者で100対1以上違います。
この図では、ショ糖の含有量が低い順に、
黒糖、車糖(三温糖、上白糖)、グラニュー糖。
ショ糖の含有量は、甘蔗黒糖で75~86%、
甘蔗グラニュー糖は99%以上です。
ちなみに「粗糖」は、分蜜糖です。
原料のサトウキビを搾り、ショ糖を分離した原料糖が、
「粗糖」や「洗双糖」として販売されています。
話はそれますが・・・
甜菜含蜜糖も、分蜜糖です。
ウェブサイト”てんさい糖”をみると、
ホクレンの場合は濃縮した糖液を煮詰めて
遠心分離で結晶と蜜分を振り分けた際にでた
蜜分を乾燥・粉砕したのが甜菜含蜜糖。
https://www.tensaito.com/making/
ですがこれとは別に、
甜菜糖にも”黒糖”があります。
製造者はその名も、北海道ビート黒糖株式会社。
サトウキビの場合は、キビを搾汁しますが、
甜菜(砂糖大根)は、温水に糖質を抽出して、
抽出液を濃縮する過程は同じです。
サトウダイコンと云いますが、
植物分類学上は大根とは別物です。
サトウダイコン、つまりビートはすべて
ヒユ科アカザ亜科で、ほうれん草と同じ。
つまりシュウ酸の含有量が高く
えぐみを非常に強く感じます。
余談ですが、フランスは甜菜の産地。
収穫の時期には、街を一歩出ると
砂糖大根が、あちこちで山積みになります。
収穫で取りこぼしたものも多くて、
回収される時も取りこぼしたりするので
実験の材料には事欠かず。
収穫漏れの砂糖大根を集めて実験したら、
確かに一瞬は甘いのだけれど、追いかけるように
強烈なえぐみが・・・。
カルシウムを投入して沈殿させたのだけれど
二度とやるまいと思うくらいえぐかった。
ちなみに、出来上がるのはシロップです。
理由は、ビート濃縮蜜液には、
フラクトオリゴ糖が豊富に含まれるから。
フラクトオリゴ糖は、結晶化しにくい性質があります。
ビートの濃縮蜜液は、原液のままで結晶化、
つまり固形化しにくいようです。
【甘蔗と甜菜】
甘蔗糖と甜菜糖では、製造の第一歩目が異なります。
甘蔗糖は、サトウキビをそのまま絞る。
甜菜糖は、サトウダイコンを刻んで糖質を湯に抽出させる。
サトウキビも甜菜も、収穫すると、
ショ糖の含有量が下降していくので、
収穫した原料は基本、原料が生育している現地で
原料糖に加工されます。
大きな違いは、サトウキビは原料糖をつくる工場と、
そのあとの精製工場の立地が全く違うこと。
生産地にある原料工場から、街中にある精製工場まで、
原料を移送したあと加工します。
農林水産省によると、日本の砂糖の自給率は30%強。
ほぼ輸入に頼っていますが、その大半がサトウキビから
分蜜した原料糖と呼ばれる分蜜糖です。
【栄養成分の比較~甘さの違い?】
個人的には、甘蔗糖(粗糖)と甜菜含蜜糖を比較すると、
甘味は甘蔗粗糖の方が強く感じます。
栄養成分を比較すると、味わいの違いが説明できるかと
日本食品標準成分表八訂を見てみましたが・・・
甜菜含蜜糖はあるけれど、粗糖がない。
栄養成分は実際の商品と対比できるように、
粗糖代表はマルシマきび粗糖、甜菜含蜜糖代表は、
日本甜菜糖精糖のビート含蜜糖を参考にします。
マルシマきび粗糖(商品一括栄養成分切り取り画像 添付)
100gあたり
エネルギー 398kcal
たんぱく質 0.2g
脂質 0.1g
炭水化物 99.3g
食塩相当量 0g
(ナトリウム -mg)
カルシウム 28.4mg
リン 3.0mg
鉄 0.12mg
カリウム 138mg
マグネシウム 4.9mg
BRIX 99.3%
日本甜菜糖精糖株式会社(商品一括栄養成分切り取り画像 添付)
ビート含蜜糖
100gあたり
エネルギー 396kcal
たんぱく質 0.6g
脂質 0g
炭水化物 98.3g
食塩相当量 0.23g
(ナトリウム 91mg)
カルシウム 1.6mg
リン 0.3mg
鉄 0.04mg
カリウム 144mg
マグネシウム 0.1mg
BRIX 98.3%
BRIXは甘さを示す指数としてよく使われます。
ただ正確にいうと、BRIX=糖度ではなく含まれている固形分の量、
つまり濃度を表す参考数値です。
一概に数値の違いで甘味の感じ方が違うと
断言できないのですけれど・・・
含有物がほぼショ糖なので、恐らくこの微妙な違いが
甘味の感じ方のちがいなのかなあとも考えたり。
甘味の感じ方の違いは、今後、掘り下げてみたい課題です。
●つぶやき●
非常に製造量が少ない和三盆には、明確な定義があるようでないようで・・・。
白下糖(しろしたとう)と呼ばれる黒糖を研いでつくるので、含蜜糖に入ったり、
白下糖を原料に分蜜して精糖するので、分蜜糖に分類されたりしますが、
ここでは敢えて、前者をとって含蜜糖に含みます。
他の砂糖との違いは、発酵させることでしょうか・・・
参考:
日本甜菜製糖株式会社 ホームページ
https://www.nitten.co.jp/index.html
独立行政法人農畜産業振興機構 ホームページ「砂糖」
https://sugar.alic.go.jp/tisiki/tisiki.html
大日本明治製糖 ホームページ
知る・楽しむ お砂糖ができるまで
https://www.dmsugar.co.jp/enjoy/square/index.html