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裏話編

お砂糖のお話2~食卓は実は甘かった?

投稿日: 2021年10月12日 更新日:

プレマシャンティ開発チーム横山です。

ドレッシングやたれ、液体だし、○○の素、
お惣菜といったいわゆる加工食品をつくる時に、
いつも気になるのが甘さです。

開けたら食べられるレトルトのお惣菜はもとより、
ドレッシングや○○の素といった料理を簡単にする
合わせ調味料や「これ1本にお任せ」な液体だしなど
”ナンデモカンデモ”甘く仕上がります。

曰く、「甘くないと売れない」。

食品業界の都市伝説です。
いや、現実なのかも。

 

私が関わる作り手さんは主に、
粗製糖を使われるところが多く、
お菓子など甘味をつくる会社は主に
粗製糖一本やりでした。

ですがある時から何故だか、
サトウキビ糖より甜菜糖が優勢になって
作り手がじわじわシフトしています。

「甜菜糖を使ってほしいという
お客様のご要望が増えたんです。」

とおっしゃる作り手さんも多く、
これは、とても謎。

「甜菜糖を使ってほしい」とご要望される
その背景が気になるところです。

話がそれました。
どんな砂糖を選びますかと問われたら、
勝手の良い食べるものをご紹介する生業では、
汎用性が高く安定するのは分蜜糖です。

前回のお砂糖のお話でふれたように、
普段使いしているお砂糖は、黒糖以外(※)は、
度合いは違えど「分蜜糖」に属します。
※赤糖、和三盆は除きます。

原材料から考えるなら、
圧倒的に甘蔗糖。

つまり サトウキビ糖でしょうか。

日本国内では甘蔗よりも甜菜の方が、
より多く原料から精糖されているのですが、
砂糖単体の自給率はわずか30%ほどで、
残りの70%は輸入原料糖頼みです。

世界的にも甘蔗糖の製造量が多く、自然と
国内流通する砂糖=甘蔗糖>甜菜糖の
図式がなりたってしまいます。

つまり甘蔗糖は、1)供給量が多く、2)手に入りやすく
3)価格的にも甜菜糖より安価 ということです。

有機認証をうけた砂糖を探すなら、
断然 甘蔗糖でサトウキビ原料です。

国産よりも輸入の割合が増えますが、、
原料糖の供給量が違います。

ちなみに・・・。
甜菜糖でオーガニック(有機認証)がないかなと
ネット検索してみると、リトアニアとスイスの
2種のヨーロッパ大陸産がでてきました。

リトアニア産は、25キロで希望小売価格が21,222円。
大体 1キロ当たりが849円です。
輸入元は、ムソー商事。

スイス認証は、25キロで小売価格が42,000円。
1キロ当たりが1680円で、輸入元はナカショウ。
ただし現在、販売は休止中。

甘蔗糖で探すと、業務用で目に留まったのは、
コロンビア原料で25キロ 希望価格が9,800円。
輸入元は、ダーボン・オーガニック。
1キロ当たりは、392円です。

有機認証をキーワードにするなら、
甜菜糖は高級品かもしれません。

閑話休題。
製品化されている製造量が多いものほど
入手価格は下がる傾向にあるので、
粗糖は上白糖よりも高め。

製造に手間がかかるとその分、
値段に反映されるので、手間がかかる順に、
黒糖、グラニュー糖、上白糖で、
価格も黒糖が一番高額です。

キリッ、パリっとメリハリがあり、
大衆受けしやすく味が仕上がりやすいのは、
甜菜糖よりもサトウキビ糖。

渋みが少ない分、
甘蔗糖(サトウキビ糖)の方が、
使い勝手がよくなります。

また砂糖の種類で考えたなら、
ショ糖の純度が高いグラニュー糖が、
味の輪郭がはっきりしやすく、
少量でも甘く感じます。

同じく砂糖の種類で変わるのは、
保存性の高さでしょうか。

水分含有量が一番低いグラニュー糖は、
湿気にくい特質をもっています。

業務用20キロ、30キロ単位で購入するところは、
温度変化の少ないところで保存するようにしていても
それでも「湿気にくい」は安心感が増します。

甜菜糖をと云われると、どうしても、
味がはっきりしやすい甜菜グラニュー糖、
ビートグラニュー糖に手が伸びます。

それは甜菜糖が持つ渋さも
原因のひとつです。

また甘蔗糖より「ぼやけた」
甜菜糖の甘さも原因のひとつです。

液体の調味料は特に、甜菜特有の渋みが出やすく、
調和するためにより濃い味付けにしたりと
親しみやすい味にする工夫が必須です。

砂糖が必須の甘いお菓子類もまた同じで、
甜菜糖の渋みが「コク」と呼べないものもあり、
どうしても甜菜糖に変えるなら、よりフラットな
グラニューが使いやすいとする声も少なくありません。

ただひとつ。
ショ糖純度の高いグラニュー糖を、
「良くない」とする声も多い中、
敢えて言うなら・・・。

同じ「甘さ」に仕上げるのであれば、
時として、甜菜糖と甜菜グラニュー糖なら、
甜菜グラニュー糖を使った方が、
少量で事足りたりもします。

あとは甜菜糖に限って云うなら特に、
栽培環境との絡みがあって「精製度が低い=ベター」と
一概に判断しても良いのかなあと個人的に、
あくまでも私個人的に考えます。

 

甘蔗糖も甜菜糖も、種類も、
食材や作るものとの組み合わせでの
「使い分け」です。

ただ敢えていうのなら、サトウキビも甜菜糖も、
原材料の産地が熱帯か寒帯かの違いはあれど
含有成分の違いはあれど、本質は「糖」。
ショ糖です。

砂糖は、お菓子だけ。
日々の食事には、使わない。

甘いお菓子は、週に一度、
月に数回のお楽しみ程度にするのが、
無難だよなあとは思います。

 

どんなに「甜菜糖を!」の追い風を受けても、
有機認証との兼ね合いで甘蔗糖を使うところもあるし、
分蜜糖のなかでも甘蔗糖の原料糖(粗糖)が一番と
一本やりの作り手さんもおられます。

譲れない芯は確かにあるのだけれど、
それぞれの作り手さんの考え方を聞きとりながら、
こちらの考え方を伝えながら、お互いの接点を探り、
ひとつひとつ積み上げながらつくっていく過程は
独楽が回り続ける中心を探すのと似ています。

私たちが、私が、考える「味」の定義や、
「規格」、「価格」、「価値」など
砂糖ひとつ、甘さひとつを取り巻くあれこれを
ゆっくりすり合わせながらモノづくりをするしか
ないのかなあとも考えています。

目指せ、甘くない食卓。

まずは「甘くないと売れない」都市伝説から
脱却するのが第一の目標です。

この記事を書いた人

プレマシャンティ開発担当。料理人
横山奈保 (よこやま なほ)

日本生まれ、海外育ち。
肉体の極限を追い求める競技者として育ち、肉体と食、食と精神、精神と肉体の関係を知る。現プレマシャンティのお母さん。突き詰め出したら止まらない、研究者気質でマニアックな料理人。

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執筆者紹介

中川信男

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。3人の介護、5人の子育てを通じ、東西の自然療法に親しむ。 ただし、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。
1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社 代表取締役。
2018、2019、2020年イタリアジェラート協会開催の世界大会で3年連続入賞。
宅地建物取引士、電気工事士(2種)、健康不動産株式会社 代表取締役、電磁波環境測定対策士組合長。
趣味はマリンスポーツ。脳内は基本、海か湖のことを考えている。

久野真希子

久野真希子 (くの まきこ)

2010年入社。海外事業担当。「フォーリア」や「コトー・ナンテ」などさまざまな輸入品の取り扱いにはじまり、海外での事業展開を進めています。

岸江治次

岸江治次 (きしえ はるつぐ)

20代に桜沢思想に出会いマクロビオティックを始め、新卒でムソー株式会社入社、及び、正食協会にて30年間勤務。現在プレマ株式会社執行役員

横山奈保

横山奈保 (よこやま なほ)

プレマシャンティのお母さん。突き詰め出したら止まらない、研究者気質でマニアックな料理人。

花井良平

花井良平 (はないりょうへい)

学生時代からマクロビオティックを始め、オーサワジャパンにて27年間勤務し、同社社長を歴任。その後、海の精企画部長。現在陰陽ライフ代表取締役

山口勝弘

山口勝弘 (やまぐちかつひろ)

1955年 大阪市生まれ。 アルファウェーブ開発者。

山崎美穂

山崎美穂 (やまさき みほ)

「仕事と家庭を両立しながら頑張っています!」プレマ株式会社プロモーションセクション プロモーター

上ヶ谷友理

上ヶ谷友理 (うえがたに ゆり)

娘たちは2人とも生まれつき卵・牛乳アレルギー&アトピーで、小さいころは食べるものや日々の生活に四苦八苦していました。これからは自分自身の健康も意識しながら、前向きに笑顔で過ごしていきたいです!

寺嶋康浩

寺嶋康浩 (てらしま やすひろ)

電磁波環境測定士協会理事長。電磁波対策だけしかしない第二種電気工事士。関西大学工学部卒。
広告制作や宣伝に携わる傍、身体、心、食事、運動4つの面から健康をサポートする
ポラリティセラピーやクラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法)を学ぶ。2011年、父の死を機にボディワーカーに転身。全国で述べ1,000人以上の身体と向き合いセルフケアを提供している。趣味は山登り、古武術、ダンス。

坂井歩

坂井歩 (さかい あゆみ)

ひとたびハマると、どっぷり浸かってしまう根っからのオタク気質。恐竜、日本史、きのこ、首都、絵本、百人一首……子どもの成長にともない、その無駄な知識をひけらかしては喜ぶ毎日。

西村初美

西村初美 (にしむらはつみ)

京都生まれの京都育ち。2013年よりプレマ勤務。普段はおっとり型なのに、考えるより先に見切り発車で行動してしまい後から困ることも多々。犬と中学生との二人と一匹暮らし。

中川愛

中川愛 (なかがわあい)

1996年、インド生まれ。帰国後は男の子と外を駆け回る活発な幼少期を過ごす。小学4年から中学までをかつやま子どもの村小中学校で、高校はきのくに国際高等専修学校で充実した学校生活を送る。立命館大学を卒業後、母校のかつやま子どもの村小中学校で教員を務め、2022年プレマ株式会社に入社。

望月索

望月索 (もちづき さく)

人一倍不摂生な出版仕事人が37 歳、40 歳、44 歳で出産、育児の経験も積み、健やかな暮らしについて学び合う協会の設立メンバーに。編集、ライター、一般社団法人日本マクロヘルス協会理事。

内田光香

内田光香 (うちだ みか)

編集職を経て、2021年入社。生まれた時から数多くの土地で暮らし、各国を旅した経験から、そこだけの「人・もの・文化」の魅力を伝えるのがライフワーク。
おいしいヴィーガン料理を愛する食いしん坊。野菜ぎらいな小学生の娘と二人暮らし。

十二村英里

十二村英里 (じゅうにむらえり)

プレマルシェ・スタジオ中目黒でイベント運営や展示販売などを担当。2021年に待望の第一子を妊娠し、翌年に無事出産。新米ママとして育児と仕事に奮闘する日々。

鈴木 啓子

鈴木 啓子 (すずき けいこ)

現代の忙しい女性たちに、米ぬかと大豆の自社製品を使った簡単で美味しいレシピや食材をまるごと食べる一物全体の大切さをイベントや講座で伝えています。

松本春菜

松本春菜 (まつもとはるな)

ジェンダーフリーの長男と、ラガーマンの次男を育てる2児のシングルマザー。子どもたちも大きくなり、子育てに余裕が出てきたのでいろいろなことに興味津々。

堂尻友子

堂尻友子 (どうじり ゆうこ)

自然への畏敬の念と自然食品への関心を深める。システム管理会社勤務を経て、現在2児の母。プレマシャンティのデータ&家電担当。

城島淳子

城島淳子 (じょうじま じゅんこ)

自然療法や波動医学を実践。解熱剤や抗生剤等を使わず3人の息子を育てている。九州在住でご当地商品の開発担当。

峰村東子

峰村東子 (みねむら はるこ)

発酵などの実験・体験が好きなみそソムリエ。家にある発酵中の瓶は数知れず。 まれに個人で調味料作りのワークショップ開催。週末は卓球に勤しむ2児の母。プレマ株式会社 東京在住スタッフ。