人間も畑も同じです。
小食だけれど太りやすい体質の人、沢山食べても太りにくい体質の人がいるように、畑も堆肥を入れた方がいい畑と、土自体が肥えているので堆肥を必要としない畑もあります。長期にわたって、1枚1枚の畑を見て回っていたらその特徴も見えてきます。
玄米を手作業で選別しているところ
玄米を手作業で選別しているところ
畑から生産物を取り上げるわけですから、土から栄養を貰っているわけです。取った分はなんらかの方法で還元する必要があるので、完熟の有機堆肥を自分でつくって土をつくっていく方法をとっています。けれどもこれはあくまでも基本の考え方でしかなく、収穫期に畑を1枚1枚見て、時々の実りを「ああ、こんな感じなんだな」と土の特徴を掴んでいくことが大切だと考えています。慣行栽培であれば、害虫の増え方をみてどのタイミングで農薬を散布するのか判断したり、どの時期に何をすればいいのかを判断したりと生産性をあげるための技術が必要となりますが、種をまいて草取りをして収穫するのみなので技術的なことはなにも必要ありません。
環境さえつくれば、植物は自然と育ちます。
お日様の力や、雨。自然環境が植物を育てるのであって、私たちが育てているわけではありません。自然の営みの中で育つので、いいものができるんです。
私たちが何もやってないからいいものができるんだと考えています。
収穫の見極めは、自然が教えてくれます。
一番美味しい時期は、自然の生き物が知っているでしょう?彼らにもちゃんと分け前があるんですよ。
麦の収穫も、収穫時期は麦が教えてくれます。
畑にいって目を閉じて耳を澄ませば、もう収穫してもいいですよと麦が語ってくれます。麦は成熟してくると実が締まってくるので、日の光を浴びて熟してくると表面の薄い膜のような皮が、剥がれてはじけるような音がするんです。この音が沢山聞こえてきたら収穫の時期なんですよね。
今は太陽暦が主流ですが、本来農業は月の暦なんだと考えています。
満月から新月、新月から満月に向かうときのエネルギーの違いも意識しています。江本さんが波動を数値化されて波動という言葉が一般的になりましたよね。私の農業高校の恩師がこの波動の研究をしているので、私の生産物も測定してもらったことがあります。驚くような数値が出て、「ああ、私がつくってないからだ」と思ったんです。「これは自然が育てているからだ」と。波動自体は別に強調することだとは思いませんが、私にとっては「私が極力手を加えずに、自然のままに育って貰おう」と確信した瞬間でした。