マクロビオティックを始めた学生時代、一人暮らしなので家では圧力鍋で炊いた玄米ご飯と昆布出汁の味噌汁に古漬け沢庵、おかずは冷蔵庫で日持ちする金平ごぼう、ひじき蓮根、ねぎ味噌といった陽性な基本食ばかりでした。
油がもったいないのと片付けが大変そうなので、揚げ物は一度もしたことがありませんでしたが、日本CI協会のパーティーや渋谷の自然食品センター本店に併設の天味レストランでいただく「コーフーカツ」は唯一のご馳走料理でした。
コーフーカツとは小麦グルテンに下味をつけ、パン粉をまぶして揚げたもので、トンカツのような味わい。
当時、陰性病や陰性体質の方が多かったため、マクロビオティックでは陰性な大豆グルテンは使わず、大豆より陽性な小麦グルテンを使っていました。
小麦粉から手づくりするには、小麦粉に水を加えてこねた塊りを水に浸け、よくもんで澱粉を洗い流し、最後に残るのが小麦グルテンです。
これを蒸し器で長時間蒸して膨らませたものがコーフー。
「グルテン粉」という小麦蛋白をフリーズドライして粉にした商品も出回っているので、もっと手軽にコーフーを作ることもできます。
動物性食品も砂糖も一切摂らなかった時期、大学で所属していた音楽サークルの飲み会では食べられるものがなく、天味レストランでコーフーカツを買っては飲み会に持ち込み、変わり者扱いされていました。
ご飯のおかずにもなるし、酒の肴にもなる、学生時代の一番のご馳走でした。
ところが、オーサワジャパンに入社してから、コーフーカツよりも美味しいご馳走料理を知りました。
桜沢里真先生の料理助手で、CIの賄い担当の吉成千江子先生が昼食で出してくれる車麩のカツです。
車麩とは、ドーナツのように丸くて真ん中に穴があいているお麩。
作り方は、車麩を素揚げして下味をつけ、半分に切ってパン粉をまぶし、油で揚げるだけ。
食感はまるでカキフライのよう。
これがまた絶品で、結婚してからCI出身の妻に何度も作ってもらいました。
小麦粉やグルテン粉から手間をかけてコーフーを作らなくても、コーフーカツ以上に美味しいご馳走(←個人差があります)が簡単に、しかも安くできるのです。
ぜひお試しください。