子供の頃、母は専業主婦でした。
大正12年生まれで、昭和24年に職場で知り合った5歳年上の父と結婚。
仲が良さそうに見えなかったので、てっきり見合い結婚だとしていたところ、中学の頃に聞いたら、まさかの恋愛結婚でした。
母のほうが惚れていたそうです。
そのせいか、母は父の健康管理のためにいろいろなことをしていました。
昭和30年代、クコ茶がブームになった時は、庭でクコを育て、毎日煮出して飲ませていました。
クコの木は生命力が強く、どんどん大きくなって赤い実をたくさんつけました。
野菜ジュースがブームの時は、まだ出始めのジューサーを購入し、毎朝、人参やらキャベツやらをジュースにして飲んでいました。
ジューサーの性能が悪かったようで、家中に響く轟音でした。
アロエも育てて飲んでいました。
苦くて子供は飲めませんでしたが、火傷の特効薬とかで、ちょっとでも火傷しようものなら、すぐに庭からアロエを切ってきて貼られたものです。
おかげで今でも実家の庭にはアロエが群生し、花も咲いています。
極めつけは九龍虫(くうろんちゅう)。
正式名称はキュウリュウゴミムシダマシ。
体長6mmほどの甲虫で薬用昆虫です。
確か米糠とかパン屑の中で育てていたように記憶していますが、生きたまま食べるのです。
漫画の「巨人の星」でも伴宙太が食べていました。
クコ茶や野菜ジュースは飲ませてもらったことがありましたが、さすがに九龍虫だけは一度も食べたことはありません。
父自身も健康管理には気を使っていて、毎朝、冬は乾布摩擦、夏は冷水摩擦をしていましたし、まだジョギングとかウォーキングなんていう言葉がなかった昭和30年代半ばぐらいから、毎朝、食事前に歩いたり走ったりしていました。
夏休みには、小学校の校庭で子供達に交じってラジオ体操をしていて、恥ずかしかった記憶があります。
朝6時半に起きて7時に朝食、8時に出勤、午後7時に帰宅して夕食、9時半就寝という規則正しい生活を送っていました。
勤め先が自転車で5分ぐらいのところだったので、昼食を食べに帰ってくることもありました。
おかげで、父は82歳、母は93歳と、平均寿命よりちょっと長生きでした。