マクロビオティックを学び始めた頃、最も違和感を覚えた言葉に「邪食」がありました。
マクロビオティックに則った食事のことを「正食」といい、そうでない食事は「邪食」と呼ばれていました。
肉や魚、砂糖が邪食の代表食材ですが、それらのものを食べてしまうと「邪食をしてしまった!」と自己嫌悪に陥ります。
また正食仲間が肉や魚、砂糖を摂っていると、「邪食してる!」と皆で非難することもありました。
正食をすると血がきれいになり、邪食をすると血が汚れるともいわれていました。
だから、正食をすればするほど判断力が高まり、邪食をして血が汚れると判断力が低下する。
「最高判断力」なんて言葉もありましたが、動物性や砂糖を一切摂らない生活を長く続けないと最高判断力に到達できません。
当時、学生でしたが、正食の反対語は「正邪」の邪食ではなく、「正誤」の誤食のほうが合っているのではないか、邪(よこしま)な食事よりも、食べ方を「誤る」という表現のほうがいいのではないかと、マクロビオティックの仲間に提案したこともありました。
食品添加物や化学調味料はもとより、動物性食品や砂糖を一切摂らない厳格なマクロビオティックだけが正食で、動物性や甘い物をちょっとでも口にしたら邪食といわれるのはおかしいと。
もう一つ違和感があったのが「毒消し」。
一般的な使い方ではなく、肉や魚を毒と見なし、その毒を消す食べ物を摂るという考え方ですが、過去に食べて身体に蓄積されている肉や魚の毒消しも必要とのことでした。
肉の毒消しはジャガイモやトマト、ネギ、ニンニクなど、魚の毒消しは大根、ワサビ、生姜など。
これらは「食べ合わせ」であって、そもそも、肉や魚、砂糖は毒ではありません。
邪食にも言えることですが、邪とか毒とか、誰が決めるのでしょうか?
正食者は聖職者と勘違いしてしまうのか、普通に肉や魚を食べている方達を見下す傾向がありました。
今にしてみれば、偏った最低判断力の集団のようにも見えたものです。