昭和51、2年の学生時代、リマ・クッキングスクールで桜沢里真先生の天然酵母パン作り教室があり、参加しました。
当時、開発されたばかりの「ホシノ天然酵母」を使ったパン作り教室です。
それまで、パンは買って食べるもので、作るものではなかったのですが、天然酵母とイーストの違いを知り、学生の分際で電気オーブンを買って、四畳半のアパートでパンを焼き始めました。
マクロビオティックなので、もちろん砂糖は使いません。
身土不二なので、国産の中力粉もしくは準強力粉を使います。
するとどうなるか・・・
ちょっと失敗すると、ぜんぜん膨らまないカチカチのパンが焼き上がります(笑)。
でも、よく噛んで食べれば、そこそこ美味しいのです。
オーサワジャパンに入社すると、さすがは日本一“食”にこだわった会社、なんとオヤツ当番があり、毎日、交代で何か作るのですが、天然酵母も元種の状態で常備されているので、時間をかけて鍋焼きパンを焼くこともありました。
オヤツ作りには、いくら時間をかけても誰からも文句は言われません。
むしろ、みんな楽しみに待っているのです。
ところが、全く同じ元種と同じ粉を使い、同じ鍋で焼いているのに、作り手によって全く違った焼き上がりになるのです。
この時、初めて手の常在菌の存在を知りました。
オーサワジャパンに入社と同時に結婚しましたが、休みの日には家でもパンを焼いていました。
2㎏の粉を捏ね、ガスオーブンで山形食パンを2斤、オーサワで開発したパンも焼ける砂鉄鍋と普通のアルミ鍋で鍋焼きパンを2個、焼きました。
何年かそんな生活が続きましたが、3人の子供が成長し、それだけでは足りなくなったことと、オーサワで扱う天然酵母パンの種類が増え、入荷日にドッサリと買って帰るようになったため、家でパンを焼くことはなくなりました。
その後、オーサワの小売り部門や卸部門で6軒の天然酵母パン屋さんとお付き合いさせていただきましたが、その中の1軒、多摩市の「木のひげ」さんに先日お邪魔してきました。
「ルヴァン」で1年修行して1983年に独立されたそうなので、今年で38年目。
社長の牟田口さんは1歳上で、30数年ぶりの再会でした。
その昔、パン屋さんというと、小麦の取り過ぎで、ちょっとポチャッとした陰性タイプの方が多かったイメージがあるのですが、牟田口さんは30数年前と変わらず、若々しく、引き締まった身体をしていました。
国産小麦と天然酵母だからでしょうか?
久しぶりに、またパンを焼いてみたくなりました。