欧米には、甘いだけじゃないジャムがあることご存じですか?
SAVORY JAM(セイボリー・ジャム)と呼ばれるこれらのジャムは、
多くは野菜を使い、甘みよりも塩辛さやハーブ、ペッパーの辛みが効いています。
Savoryとは、「塩味のきいた良い味」とあわせ、
「味のよい,風味のある,食欲をそそる」という意味合いもあります。
黄色いトマトにチリをあわせたトマトジャム。
パプリカと玉ねぎにニンニクをあわせたオニオンジャム。
ピーチにタイム、黒こしょうをあわせたジャム。
野菜の風味に甘さが加わり、なおかつちょっとピリッと刺激的。
ブルーベリーとバルサミコ酸をあわせたジャムや
チリとガーリックにトマトを加えたチリジャム。
更には、ベーコンと玉ねぎにチリなどのスパイスを加えた
ベーコンジャムというのも人気だったりするんです。
ジャムというと甘いだけと思い込んでいた私たちには、
イメージしにくい味でしょうか。
けれど日本には、伝統的に食材を甘辛く煮詰めた食品がたくさんあります。
ジャムとは呼べないけれど、ジャムのようなもの。
食材を甘辛く煮詰めた、長く保存が利く食品。
そう、佃煮です。
昆布やのりなどの海草や小魚、アサリなどの貝類、かつを節、
大豆や紫蘇や胡麻などを砂糖と醤油で甘辛く煮詰めた佃煮は、
日本各地で長く親しまれてきたご飯の友です。
この佃煮がSavoryなジャムとして欧米でも注目を集めています。
バターを塗ったトーストに、たっぷりと海苔の佃煮をのせて。
チーズトーストに、小魚の佃煮をのせて。
カッテージチーズにクルミの佃煮を添えて。
佃煮の故郷である東京で、大正時代から変わらない
直火・鉄釜でじっくりと煮詰める製法のまま、
今も作り続けられる佃煮は、「ジャム」とは呼べないものの、
新しい時代の新しい食生活にもしっくりと馴染む、
まさに温故知新の日本の伝統食品です。
炊きたてご飯はもちろん、パンやクラッカー、スパゲティとも相性が良く、
枠にはまらない使い方が出来るのは、ごまかさず、丁寧に、つくられた佃煮だからこそ。
日本食が注目されている今だから、日本の伝統を引き継いだ食品の新しい食べ方を、
世界に向けて提案します。