プレマシャンティのみりんたちが解禁されたその夏、暑い盛りに蔵を訪問しました。
酒の仕込みは、冬に集中します。
仕込みが見たければ冬季に訪問するのがいいのでしょうが、一年で最も忙しい時期だと承知しているので、昔ながらの糀室からの仕込みをしているような蔵は、特にお願いしにくいというのが本音です。来てもいいとは云われるものの、商談を兼ねた見学は、訪問するこちらも気楽な夏場が多くなります。
蔵が眠っている季節が、夏。
お醤油なども、夏場の盛りはほとんど作業がないといいます。(ここ数年は、甘酒ブームで年中無休のところが増えました。)酒蔵も人気がなくて閑散としていることが多いのに、今回は偶然、仕込みの工程をみることができました。甘酒でも、日本酒でも、みりんでもなく・・・どぶろく!
甘酸っぱいお酒のどぶろくは、清酒の原型ともいわれているもので、米や糀、酵母がのこったままのお酒です。蒸した米(もしくは炊いた米)に糀や酵母の残った酒粕を加えて発酵させ、もろみのまま供します。日本酒の原型といわれるだけあって、酒造りの工程をざっと見学できたようで幸運でした。
米の蒸しあがる香ばしい香りとともに蒸し器の蓋が開くと、蒸しあがった米を蒸し布のまま、むしろの上に広げて温度をさげます。
十分に温度がさがったところで、米と糀をあわせてタンクに仕込みます。
さすがに夏場の外気温では発酵が急激するようで、仕込みは冷蔵庫内で行われていました。
左は仕込んで数日のもろみを撹拌しているところ。炊き立てごはんにも似た、ナッツのような香ばしさと甘い香りに混ざり、お酒の香りがし始めています。
普段は完成したお酒を保存するための場所だそうですが、予想外の人気に夏場も緊急に仕込みをすることになったのだとか。アルコール度合いもそんなに高くはないし、酵母も糀も残ったままのどぶろくは、お酒が好きな方向きな健康飲料なのかもしれません。
酸味が強いどぶろくでなく、ちょっと甘めで飲みやすいものを、プレマシャンティ用に作ってみたいなあとも考えています。みりんや料理酒とあわせて、考えたいアイテムです。