前回、インドへ旅をした時の事にふれましたが、今回はそのときのことを交えながら人の心の動きについてお話ししたいと思います。
人は苦しいことや辛いこと、嫌な事を体験すると、かなり凹んでしまいます。というか私は凹むタイプです。物事の捉え方や感じ方は人それぞれで、性格や生活環境、血液型や家族環境などによっても違ってくると思います。しかし精一杯考え悩み行動する時、どの人もそのレベルはその時の目一杯なことが多いものです。以前に私はホノルルマラソンに出たことがありました。フルマラソンは初めての体験で、しばらく走っていると辛くて「もうやめたい」と自分との対話が始まりました。何度か対話を重ね我慢の限界を感じた時に、ふと横をみるとなんと義足をつけた方が懸命に走っているではありませんか。今の私には何も考えずに前へすすめる両足があるではないか。彼が義足を付けて歩く過程を経て走るに至るまで、そしてマラソンに挑戦するまでには私には計り知れない努力と忍耐、心と体の痛みがあったことでしょう。今まで私を苦しめていたものは一体なんだったんだろう。そのとき心は再起動でき、何故かパワーがみなぎってきました。
インドの旅では文化も違い言葉も的確に通じない環境に一人置かれ、これはこれで開き直る瞬間が訪れるのです。なぜなら全部自分で解決しなければならない訳ですから。この瞬間というのは、名誉や地位その他の自分についている装飾品を全部とっぱらって只のヒトになる瞬間なのです。これもまた大切な心の再起動の瞬間です。力を出さなければならないマストな環境にいるから、再起動できるのです。大人になってくると自ら望んでその経験をするべくトライすることが必要です。
その他にも、映画や本の主人公になる疑似体験をしてみたり、運動して身体を変化させたりすることでリフレッシュできます。水を飲むだけでも、身体の生化学を変えることになるのでリフレッシュできると言われます。
心の再起動には二つの方法があると思います。それは感情をコントロールする方法とおもいっきりその感情に浸るという方法です。上記の私の例はどちらかというと感情をコントロールする方だと思いますが、ヒーリングの世界ではその感情にどっぷり浸からないとまた再び違う形で同じものが押し寄せて来ると言われているようです。
心の再起動ができると日頃のストレスを解消する一つの方法となり健康へと近づけるのではないでしょうか。人間の感情は1たす1は単純に2だけではなく、1たす1が0となったり10となったりもするのです。日頃の何気ない生活の中で、何か心を再起動するきっかけが欲しいものです。
前号で、健康でいるためには身体は外見上構造的に左右対称がよい事をお話ししましたが、その加速剤には心の安泰が必要なのです。心と体は繋がっており切っても切ることはできないのですから。今は亡き祖父が言っていたことを思い出します。
「マイナス5の事を経験すればプラス5の喜びが、マイナス100の事を経験すればプラス100の喜びが必ず来る」と。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |