前回、前々回は心の再起動と題して心の動きについて触れてみましたが、心はそんなに簡単なものでは無い事はご存じだと思います。短く纏めようとした為にちょっと簡単な書き方をしてしまい、誤解を生んでしまった方にはお詫び申し上げます。 胎児の時の母親の感情、食や環境から始まり、出生の時の状態や新生児、乳児、幼児などの環境や食性、経験値や兄弟の有無など色々なものがすべてその人の基準となる心のあり方をつくっているのですから、人それぞれ千差万別、同じものは一つもないのです。その中で価値観や好き嫌い、気が合う合わないというものが出てくるわけです。
私は恥ずかしい事に数年前まで、私の思う事は他の人も思い、私が良いと感じるものは皆良いと思うだろうと思っていました。本当に情けない話です。しかし、人は皆ぞれぞれであり、好きなものも嫌いなものも違う。良いと思うものも、悪いと思うものも違うのです。
ストレスを感じている方はとても多いと思いますが、ストレスの対象は一体なんでしょうか。よく考えてみると必ず周りにいる人間を対象としている事がわかります。どうしてこの人はこういうふうにするのだろうかと、勝手に推測したり考え込んだりする事でストレスができあがります。すべての人は違った考え方、行動をするという大前提に立ってみると、そこでの食い違いを解決する必要が出てきます。日本人の気質としてなかなか人に「どうしてなの ? 」と言うことが出来ない方が多いのですが、これは根本に人に嫌われたくないという気持ちが無意識に眠っているからです。
よくよくその相手と話し合う事ができれば、どういう理由でそのように考え行動していたのかという流れが解り、お互いプラスになる経験を積むことが出来るのです。私には兄がいますが、いつもいつも小さい頃はいじめられてきました。今までわからなかったのですが、小さい頃母親を独り占めできていた兄からすれば、弟ができることにより、母親を奪われるのではないかという一抹の不安の代償だったのかもしれません。兄弟というのはとても良いものです。私はいじめられたことに今更ながら感謝しているのです。そういう経験をさせてくれた事、またそれによって私の人格が作り上げられた事に良かったと今更ながら思っております。
私が勝手に考えている傾向として、人は長男長女タイプと次男次女タイプにわかれ、前者は新しい事に挑戦しながら怒られ新しい世界を開いていく力を自然にもちあわせるようになり、後者は兄や姉の怒られている姿をみて、これはやってはいけないんだとお手本にしてこっそり勉強するのです。
親の躾も世の中の動きとともに代々変わり、家族環境も経験値も、それぞれすべて違う人が同じ会社に集まり仕事をして同じ方向に向かっていくためには、その人の人生経験を顧みなければチームワークを組むことは難しいのではないかと感じますが、逆にこれを乗り越えると最強のチームができるのは言うまでもありません。嫌いと好きは紙一重なのですから。心と身体は連動する事を考えると、医療も一人一人、その人に合わせた個別化医療、オーダーメイド医療が必要なのです。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |