子どもに脾を補う漢方薬を飲んでもらうと、
1.胃腸が強くなって食欲が増す。
2.免疫力が上がる。
3.元気が出る。
4.賢くなる。
という効果が期待できます。実際に黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)や小建中湯(しょうけんちゅうとう)を続けてお子さんに飲んでもらっている親御さんたちから頂いた声を紹介します。
「よく食べるようになった」「あまり風邪をひかなくなった」「風邪をひいてもあまりぐったりしない」「(もともとあった)病気が軽くなった」「体力がついてきた」「毎日習い事をしているが、あまり疲れないし、もっとやりたいと言う」「成績が上がった」などなど…。
大人でも飲んでみたいと思うような効果が出る場合があります。残念ながら大人の場合は、体質や体調によって個人差が大きく、その方に合った漢方薬を選択するのはもう少し複雑です。また黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)や小建中湯(しょうけんちゅうとう)の良い点は、甘みが強いことです。漢方薬独特の香りや味はあり、嫌がるお子さんもいますが、逆にもっと欲しいと言うお子さんもいて、どちらかというと飲みやすい漢方薬です。まだ好みのはっきりしない1歳頃から飲むと、スムーズに飲んでくれます。また、その後も漢方薬を嫌がらない様になることが多いようです。あとは、お母さんが怒らずに根気よく頑張って飲めるようになる子もいますので、諦めずに試してみてください。
次に子どもによくある症状である夜泣きについて。先ほどの黄耆建中湯や小建中湯よりも、もっと甘い漢方薬である、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)を紹介します。名前が構成生薬を表しています。甘草(かんぞう)+小麦(しょうばく)+大棗(たいそう)という3種類からなる漢方薬です。甘草は色々な漢方薬に入っていますが、味は甘く、醤油やお菓子の甘味づけにも利用されるものです。小麦はそのままの小麦。大棗はナツメの実です。漢方薬ではありますが、ほぼ食品…とも言えます。たいして効果が期待できそうにありませんが、意外にもピタリと合った時の効き方は、びっくりするものがあります。前回、子どもは肝(木)と心(火)が多く、脾(土)肺(金)腎(水)が不足していると説明しましたが、甘麦大棗湯は心(火)を調和させる働きがあります。一番良く処方するのは、やはり夜泣き。本当にひどい夜泣きは、「布団に寝かせると泣くので、一晩中ずっと抱っこし続けている」「クルマに乗せると寝てくれるので、夜中何時間もドライブしている」など、親御さんの苦労は並大抵ではありません。このような状態でも、体質にぴったり合うと、「朝までぐっすり寝てくれました」と言ってもらえる事があります。全ての夜泣きに必ず効くわけでは無いのですが、ほとんど副作用も考えなくてよいお薬なので、試してみる価値はあります。
五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
五腑 | 胆 | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 |
五神(五精) | 魂 | 神 | 意智 | 魄気 | 精志 |
五主 | 筋 | 血脈 | 肌肉 | 皮毛 | 骨髄 |
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |
統合医療やまのうち小児科・内科 当院では漢方薬を中心に、代替療法、西洋薬を一人ひとりに最も合うように治療します。乳幼児から御高齢とわず、未病の治療や健康維持から、慢性疾患の治療まで幅広く診療を行っています。 〒849-0915 佐賀県佐賀市兵庫町藤木772-3 電話:0952-33-8500 http://www.yamanouchishounika.jp/pc/ |