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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

愛(融和)か、憎しみ(排他)か

投稿日:

先日、ある高校の家庭科の先生から、「探究の時間の研究テーマとして『グルテンフリーについて知りたいし深めたい』という生徒たちがいるので、彼らと会っていただけませんか」と打診がありました。この高校と先生とは、数年前にフードロスを削減するため、京都の名産品である海老芋の親芋(芋類では親芋は種芋として残され、通常は廃棄される)を有効活用するというプロジェクトでご一緒したご縁がありましたので、私は二つ返事でお引き受けしました。ただ、昨今のグルテンフリーやその他の健康法にまつわる情報の伝わり方には、少なからず懸念を抱いていた私は、自分たちの立場をきちんとお伝えする必要があると感じながら、当日を迎えることになりました。

当日は、元気な4人の生徒さんが来てくれました。弊社のレストラン「プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナー」でお会いしたのですが、事前に「プレマルシェの取り組みについてある程度調べてきてくださいね」と伝えていたこともあり、質問も的を射たものになるだろうと直感するほどの、真剣なまなざしをもつ優秀な生徒さんたちでした。彼らの質問を受ける前に、私から先に大切なことを聞いてみました。「今回のテーマはグルテンフリーと伺っていましたが、なぜグルテンフリーに興味を持ったのか教えてください」と。すると、「最近はネットやS‌N‌Sでグルテンフリーが美容や健康に良いと話題になっているので、興味を持ちました」との答えが返ってきました。4人とも女性ということもあり、美容と健康への関心をもつのはとても自然なことだと思います。

そして、生徒の一人が素晴らしい質問をしてくれました。「プレマルシェでは、グルテンフリーやヴィーガンなどをマーケティングされていると思いますが、どんなことに留意して広めているのですか?」というものでした。

排他的であるか、多様であるか

多くの人がグルテンフリーに関心をもつきっかけは、InstagramやTikTok、YouTubeなどのS‌N‌Sで見かけるショート動画など、断片的な情報からきていることが多いようです。しかし、短い動画では情報を極端に単純化してしまう傾向があり、その背景や個別の事情が置き去りにされてしまいます。たとえば「グルテンは毒」「ヴィーガン以外は悪」「自然栽培以外は食べ物ではない」「化学調味料は毒、いや無害」といったように、複雑なテーマが単純な二元論へとすり替えられてしまうのです。このような極端な単純化の流れは、たとえば「日本人は素晴らしく、訪日の外国人は日本を汚す存在だ」とか、「世の中を操作しているのは闇の世界政府で、マスコミはすべて彼らの手先、ほとんどの既存の政治家もその手先」といった、極端な主張とも構造的に共通する危うさをはらんでいます。そこには、相手を理解しようとする努力や、意見の異なる人との対話を放棄する姿勢が透けて見えます。

グルテンフリーというテーマも、単純な「正しさ」だけを追求すると、「グルテンは毒」「毒を食べる人は愚かだ」といった、排他的で恐怖を煽るような言説に傾いてしまう可能性があります。恐怖は、もっとも簡単に人を動かす手段の一つですが、その影響は時として持続性を損ない、人々の分断を深める方向に作用します。私たちプレマルシェは、創業当初から、たとえマーケティングの世界では恐怖を有効に使うことが効果的な売上を増やす方法であるとしても「恐怖で人を動かす」ことをしないと決めてきました。それは、短期的には売上に貢献するかもしれませんが、本質的な理解や共感とはかけ離れたものだからです。たとえ時間や手間がかかったとしても、私たちは判断材料を丁寧に提供し、お客様自身が主体的に選択できる環境を整えることを大切にしています。また、グルテンフリーやヴィーガンといった「個別の制限」に対応する姿勢は、他の選択肢を否定するものではなく、それぞれのライフスタイルや価値観を尊重し、多様性を受け入れるための『和』の実践だと私たちは捉えています。

とても残念なことですが、近年、世界は複雑な問題を単純化し、敵をつくり、「自分の正しさ」だけを主張する風潮が強くなっています。その結果として、異なる考えをもつ他者を排除するようなムードが生まれ、対話の可能性が狭まっているように思います。私は、今回の生徒さんたちのような若い世代の探究が、そのような排他的な流れを強化するのではなく、むしろ違いを認め合い、お互いを尊重し合うきっかけとなるように願っています。そしてその一助として、私の経験や考えをお伝えできるのであれば、それはとても光栄なことです。

今回、生徒さんたちと対話をして感じたのは、彼女たちの視野や感性がとても柔軟であるということです。彼女たちは、単なる正解探しにとどまらず、自分たちの言葉で確かめたい、深めたいという意思をもっており、私はその姿勢に強く感動しました。このような若い世代の感受性に、私たち大人がどう向き合うかもまた問われているのだと思います。大人である私たちは、つい自分の経験や知識を押しつけてしまいがちですが、むしろ違いや未熟さに寄り添い、共に考える姿勢こそが、これからの社会をつくっていくために必要なのではないでしょうか。

だれもが正しさを求めていますが、その正しさがだれかの存在を否定するものであってはならない。多様な正しさが共存すること、それ自体が豊かさであり、「愛(融和)」の土壌なのだと、私は信じています。

 

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愛(融和)か、憎しみ(排他)か

- 中川信男の多事争論 - 2025年7月発刊 vol.214

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