プレマシャンティ開発チーム 横山です。
4月末にパートナーが暮らすフランスに入国して以降、
共和国での生活が続いています。
コロナウイルスをめぐる諸事情と、今後のフランスの衛生環境に対して、
こちらでは12日に、マクロン大統領が声明をだしました。
COVID-19を、これから先、フランス国家がどのように扱っていくのか
方針を定めたので、国民に共有するという趣旨でした。
以下 在フランス日本大使館からの連絡の抜粋です。
衛生パスポート(pass sanitaire)の適用範囲拡大
(1)7月21日以降、50名以上が集まる娯楽及び文化施設で、12歳以上の者に対し、ワクチン接種証明か陰性証明の提示が求められる。
(2)関連法案が採択され次第、つまり8月上旬以降に、カフェ、レストラン、大型商業施設、病院、高齢者施設、医療社会施設や、長距離移動の航空機、列車、バスにおいて、顧客・利用者・職員にかかわらず、ワクチン接種証明か陰性証明の提示が求められる。
(3)感染状況次第では更に適用範囲を拡大する可能性も排除されない。
PCR検査の有料化
秋以降に、処方箋なしでのPCR検査を有料化する。
これは、複数回の検査の推奨よりもワクチン接種を推奨するためである。
衛生パスポートを含むこれらの決定事項は、8月上旬以降、国籍を問わず、フランスに入国する人にも適用されます。
美術館に行きたい、飛行機で移動したい、展示会に行きたいとなると、ワクチン接種をするか、有料のPCR検査を2-3日ごとに受ける必要があります。
学校も、ワクチン接種義務化の対象です。
新学期である9月には、12歳以上、つまり中学生以上は全員、ワクチン接種が必須になります。
声明によると、この夏は、学生に接種を求めるワクチンキャンペーンが実施されます。
また1-2月にすでに接種を終えている人たちに対しても、再接種を呼びかけています。
医療関係者と60歳以上の高齢者と関わる職業・立場にあるもの(ボランティアなど)は、
接種義務の対象者です。
接種が「義務化」された以上、「義務」に従わない場合は処罰が伴います。
つまり、接種義務対象の職業・立場にあるものは、期日までに接種を完了しない限りは、
処罰、つまり「違反金」を取られると決まりました。
もちろん、義務があれば権利もあります。
医療関係者であろうと、接種を拒否する権利を有し、権利を行使する場合は離職・休職を求められるのが現状です。
接種を義務化された職業・立場にはない一般国民に対しては、
依然、完全義務化ではありません。
ワクチン接種を拒む権利を要しています。
ただ国家の方針には従わない、あるいは従えないという意思表示と受け止められる以上
生活のなかでの不便を強いられるのは当然と「法的には」されてしまいます。
翻訳には入っていませんが、大統領演説は、現地では大型のスーパーなども含むように解釈されています。おそらく今後、ホテルも含まれるのではないかとの予測も出ています。
フランスでは、衛生パスポートの導入も、かなり協議されていました。
協議されていましたが、方向性は定まっていたので、導入が決まってからはなし崩しに物事が定まっています。
そして12日の大統領声明で、「結果的に」ワクチン接種を義務化する方向にベクトルを向けました。
衛生パスポートには、PCR検査とワクチン接種のみが明記され、
免疫・抗体の項目がありません。
つまり、一度コロナウイルスに罹患・発症し、回復したひとであっても、
経験はカウントされないということです。
また国境以外では、写真付き身分証と照らし合わせ、身分を確かめるプロセスがないので、
接種証明や衛生パスポートを携帯しているのが本人かどうか?は確認しません。
街の声は賛否両論のようですが、さて、これでストやプロテストが起きるか?
これからの状況を俯瞰したいなと思います。
大統領選挙を来年に控え、国内・国外政治に対する議論も盛んになる中、
ヨーロピアンユニオン(EU)の主幹国家として、またフランス自由国家として
何をどう考え、方針を定めていくか、国民の注意が集まっている時期だけに、
COVID-19をめぐるこの2年弱のやり取りは、ある意味、政治生命に
少なからず影響を与えているように思います。
すなわち、フランスの方針が定まりました。