黄金色が美しいなたね油ですが、全て同じ色合いというわけではありません。
コンバインで刈入れ乾燥機を使って乾燥させたものと、刈入れてから天日で乾燥させたものでは、
金色の濃さも色合いも全く異なります。
また品種によっても、焙煎の具合によっても、搾り取った油の色合いは異なります。
近隣の生産者と協力し合い原料となるなたねの生産からなたね油の生産までを一貫すると、
太陽に透かすと一層はっきりとする色あいの違いは、生産者の違いであり、
乾燥方法の違いであり、焙煎の違いであり、収穫年度の違いであるとわかります。
キザキノの黄金色。
ナナシキブの濃い黄土色。
そして、加熱する前のオリーブオイルと見間違いそうな黄金色。
天日に干し、薪火をくべて釜でじっくり焙煎してから圧搾で絞り取った油は、
最低2週間地球の引力に任せて不純物を沈殿させた後、自然に近いかたちで濾過します。
昔ながらの作り方を今に引き継ぎ、脱臭も脱色もしないなたね油は、
太陽と大地がつくった色あいと味わいそのものです。
ノルマルヘキサンなどの薬剤を使用して含まれる油分を搾りきり、
脱色・脱臭し、消泡剤・苛性ソーダ等を微量添加するなど、
伝統的な「圧搾」「玉締め」製法からはかけ離れた製造方法が主流となった今、
なたね油もまた画一化された規格の中で、「同じ色あい」で「香りがなく」、
「クセのない味わい」の単調な油に変ってしまいました。
けれども本来は、原料ごとに微妙に異なる色あいが楽しめる素晴らしい天産物です。
手元に届いたなたね油にあわせ、こめ油や白ごま油、大豆油などとブレンドし、
味わいの違いを楽しむのも良し。また素材にあわせ、油をブレンドして使うのも良し。
天と大地から与えられた本来の旨み同士を重ね合わせ、素材が生み出す味の妙を楽しむのも料理の本質です。