長年、自然食品業界で商品開発や品質管理を担当してきたせいか、食品のニオイには人一倍敏感になっています。
ニオイを嗅げば、新鮮なのか、傷みかけているのか、カビているのか、酸化しているのかなども、すぐにわかりますので、食べる前にニオイを嗅ぐ癖がついてしまいました。
油を使った料理や加工食品はもちろんのこと、米、麦、あわ、ひえ、きびなどの穀類や、小麦粉や米粉、蕎麦粉などの粉類、うどんや蕎麦などの乾麺類など、酸化しやすい食品の酸化臭は瞬時にわかる便利な鼻です。
そもそも動物もニオイを確認してから食べられるかどうかを判断していますが、人体にもその機能が備わっていて、“お行儀”の問題はあるとしても、食べる前にニオイを嗅ぐ行動は本能的なものなのです。
だから、鼻を詰まらせては本能が曇ってしまいますので、特に食品取扱い従事者にとって、体調管理は何にも増して大切なことなのです。
実は、つい最近、こんなことがありました。
プレマシャンティの新商品候補に上がっていた某社商品をいくつか購入したところ、酸化臭のひどいものがあり、某社社長に連絡をすると、お詫びに送られてきた商品にも同じように酸化臭のひどいものが入っていて、その会社とは取り引きしないことに決めました。
これだけ臭えば製造現場でわかりそうなものですが、お詫びの品にもかかわらず、同じ過ちを繰り返す会社でした。
女房も確認済みなので、酸化臭がしたことは間違いありません。
現場の担当者の臭覚が衰えているにしても、あまりの酸化臭のひどさに呆れてしまいました。
味覚や臭覚などは人によって得手不得手はあるものですが、食品の製造や品質管理に携わる方は、常に五感を研ぎ澄ませていなくてはいけませんね。
個人的には、若い頃の大食と長年の飲酒のせいで肝機能が衰えたのか、油の分解能力が落ちてきたようで、油の酸化臭が苦手になっただけでなく、大好きだった揚げ物があまり食べられなくなってきたのです。
天ぷら専門店や手打ち蕎麦屋の酸化していない油の揚げ物は、ニオイを嗅いだ上でいただくこともありますが、それでもたくさんは食べられません。
ましてや、ちょっとでも酸化臭のする揚げ物は、体が一切受け付けなくなりました。
年のせいもあり、それはそれで寂しいものがありますが、これからの健康管理を考えれば、良質な植物油を少量摂ることと、これまで溜めた油の排毒をすることが大切なのでしょう。
3歳下の女房は、まだまだ揚げ物大好きです。(羨ましい・・・)