今回は舌(ベロ) についてお話ししようと思います。
舌は筋肉でできていて、上げたり下げたり、縦に回したり反対にしたりと、いろいろな動きをすることができます。それによって食べものを口の中で動かし上の歯と下の歯の間にうまくのせることができるのです。また、舌を口蓋(天井)にピタッとくっつけお口の中を陰圧にすることで、噛むことで泥状になった食べ物を喉の方へ移動し嚥下ができるのです。
舌の位置は、本来何もしていない時は先端は上の前歯の後ろの歯茎にさわっています。しかし舌の位置が低い場合には、下の歯の内側に舌の先が当たり、そのために鼻で呼吸することができずにお口で呼吸をしなければならなくなります。この呼吸の仕方は大変な間違いで、これは万病の元と言われます。お鼻で呼吸できるように舌の位置を改善することが必要です。舌の位置は舌の小帯という筋の付着異常でもおこります。発音がおかしく舌っ足らずな方は舌の形態異常や機能異常を持っておられる方が多いです。舌の先が色々な方向に動かせるか試して見てください。舌の裏側の筋が舌の先の方までついているとうまく舌が動かないため発音がおかしくなります。子供さんは小さいうちに小帯の位置を確認しておく方がよいでしょう。
また、最近舌が痛いとおっしゃる方が増えてきています。それには、物理刺激によるものとそうでないものの二つが考えられます。例えば、齒が割れたり詰め物が取れたりして、尖った部分が舌にひっかかり傷になって痛いものや、かみ合わせや身体のバランスが悪いことで筋肉のバランスが悪くなり、顎の骨の中心に舌が無くどちらかに一方に舌が押しつけられて痛いもの、首の変位などにより血流が悪くなって痛みを感じるもの、などがあります。また、唾液が少なくお口の中の潤滑剤が無くなって、擦れて痛いもの、原因不明の舌痛症と言われるものや、老化によるものもあります。口腔の中にもガンがみられる頻度が多くなっています。舌の側縁部の灼熱感や痛みによって気がつかれる方が多いですが、白く変色してくる白板症といった前ガン状態だったり、舌ガンだったりすることがあります。何かおかしいと感じたら鏡でチェックし齒科醫院へ受診してください。早め早めの方がよいのです。
アンチエイジングの考え方では、舌をおもいっきり前に「ベェー」っと出す体操はあごの位置を前へ出す要素になるため、あごの後退という老化を加速する因子を妨げるのでとてもよいです。舌を右や左に突き出す体操や、お口の回りや頬、目の回りや額など、表情筋というお顔の表面についている筋肉を動かすことも大切です。口角(お口の端)が下がっていると不満を持っているように感じられてしまいますが、口角が上がっているとその反対で印象がよく映ります。これも実は体操(筋トレ)によって克復できるのです。ただし舌やお顔の体操は人前ですると、頭おかしくなっちゃったと思われるので注意が必要です(笑)。
今回は舌について書きましたが、基本的には舌だけでなく全身の、筋肉を使うということが大切です。やはり健康は食事睡眠運動のバランスが大切です。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |