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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

健全なココロとカラダ

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 「隠しごとができないんです」と言う人に、「それは良いことですね」と伝えたら、「なにがですか?」と反発されたことがありました。「なら、悪人にでもなりたいわけ?」と尋ねると、「いや、そういうわけでは……」と答えられたので安心しました。ちょっとした隠しごとや、少しばかり間違ったことはしてみたくなるものかもしれません。

 だれでもやっているようなことで自分だけが咎められたりすると、なんだか損をしているような気がしてしまうこともあるでしょう。だけど、それはむしろ喜ぶことではないかとも思います。
隠しごとを隠し続けるような人生は、つまらなくないでしょうか。いつかバレるんじゃないかと、いつまでもドキドキしているだけでもしんどそうです。

反応というチャンス

 口に入れてはいけないものを誤って口に入れたら、吐き出します。もしも飲み込んでしまったときには、嘔吐して出そうとします。それが身体の反応というものです。

 異物に限らず、菌やウイルスでも同じこと。体内に取り入れてしまってはいけないものが入ってきたときに自然治癒力の働きによって嘔吐や下痢をすることによって、できるだけ早くに体の外へと出そうとするのです。「すぐに下痢する」と聞くと、身体が弱いような印象を受けがちですが、本当のところは身体が健やかだから出しているのです。

 身体に悪いものでなくとも、「ちょっとくらい」の量が過ぎて下痢をすることもありそうです。下痢をしたら、なぜ食べ過ぎたんだろう、なんでジャンクフードに手を出したんだろうかと、一歩下がって考えてみる。よっぽどお腹が空いていたのか、疲れやストレスが溜まっていたのか。きっと原因が見つかるはずです。むしろ、同じように食べているのに反応がなくて「私は大丈夫」と強がることのほうが先々で心配になります。

 人間というのは、わかっていてもやってしまうもの。身体に良くないとわかっていても、食べたくなるときもある。食べ過ぎてしまったときに出そうと反応することで気づかせてもらえる。身体が健やかな証だと受け止めると良いでしょう。

 同じように、ちょっとした間違いや隠しごとがすぐに表に出てしまうというのは、精神や魂が健全な証だと考えられるのではないでしょうか。隠しごとがバレたとき、どうして素直に言えなかったんだろう。間違ったことを咎められたら、なぜ大丈夫だと思ったんだろう。言えない理由があったのか、深く考えすぎていたのか、もしくはなにも考えてなかったのか。俯瞰して見つめてみると、隠しごとがバレないのは決して好ましいことではないと思えるのではないでしょうか。それらは気づかせてくれるタイミングであり、あらゆる反応は反省するチャンスなのです。

漏れることはない

 古代中国からのことわざに「天網恢恢疎にして漏らさず」とあります。「天網」は天の網、「恢恢」は広大な様子、「疎にして漏らさず」は粗いながらも漏らさないこと。天からの網というのものは大きく広くて、その目は粗いように見えるかもしれないけれど、悪人はその目から漏れるということはないということ。つまりは、天の道というものは厳しくも正しいものなので、悪事をおこなえば必ず天罰を受けるようになっているのです。

 これは、現代の社会制度にも通じていて、統計学的に長い目で見ても、ほとんどの犯罪がいつかは明るみに出るといわれています。「悪いことはできるもんじゃない」というのは、いつの時代も真実なのでしょう。

 「お天道様は見ている」といわれるように自分の心に素直になって、自分が望むように生きていけたらいいですね。

- 鍼療室からの伝言 - 2026年3月発刊 vol.222

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