「なんだか体が冷える」と感じることはありませんか。冷えは健康の大敵です。しかし、手足やお腹、首、背すじが冷える症状に悩む方はとても多く、風邪でもないのに、冷えを感じる方に共通するのが「緊張」です。心がつねに緊張していると、無意識に体に力が入り、末梢の血管が収縮して冷えを招くのです。
この「心の緊張」から体の緊張が起こる要因の一つに、過去のつらい経験などから「またつらい刺激がくるかも」と無意識に身構えていることがあります。実際、つらい状況になったときに体に力が入るのは仕方のないことです。しかし、つらい刺激がないときも、つねに体に力が入ったままだとリラックスできません。以前このコラムで「心そのものは鍛えられない」とお話ししました。体や知識は鍛えられても、心はいつも繊細で、ヒヨヒヨで傷つきやすいものなのです。
「無敵」よりほしかったもの
これからお話しするのは僕自身の経験です。大学に入ったときに、中学・高校と運動部経験がなかったにもかかわらず、ラグビー部に入部しました。当時、自分に自信がなく、人の顔色を見て過ごすようなところがあったので、体を鍛えて、精神を鍛えたら、無敵の自分になれるかもしれないと思ったのです。たしかに努力をすれば体は鍛えられるし、強い仲間がいれば、気持ちも大きくなります。飲み会で散々飲まされたり、先輩を楽しませる工夫をしたりするなかで、武勇伝もできました。でもいざ個人の自分と向き合うと、相変わらずだらしない自分はずっとそこにいるし、いまだに心そのものはヒヨヒヨのままです。心そのものを鍛えることはできないと実感しています。「無敵になりたい」と願っていたのに、本当にほしかったのは無敵ではなく、弱いままの自分を許せる安心だったのだと思います。
世界でたった一人の「味方」
繊細でか弱いヒヨヒヨの心が一番つらいと感じる状況は、自分で自分を責めることです。敏感な人は、周りの状況に影響を受けやすいので自分に自信が持てません。だれかが自分を責めたとき、怒りの向かう先が自分を責めた相手ではなく、自分自身を責めるほうに向かってしまいがちです。もし怒りの方向が相手に向かったら、自分を責めることにはならず、それほど傷つくことはないはずです。自分を責め続けると「こんな自分は存在価値がない」「こんな自分はいないほうが良い」という最悪の結果になりかねません。
今回紹介する魔法の言葉は「私は絶対自分の味方、私は絶対自分を責めない」です。「たとえどんな状況になっても自分は絶対自分を裏切らないよ、絶対味方だよ。たとえ他人がなんと言おうとも、自分は絶対自分のことを責めたりしないよ」と自分自身と約束をしてほしいのです。言うだけなら簡単に見えるかもしれません。でも、今まで長い時間をかけて「自分を責める習慣」が身についている人ほど、最初は抵抗が出ます。「そんなこと言っていいの? 甘えじゃない?」と心がざわつくかもしれません。ざわつきながらでもいいので、ヒヨヒヨの心をやさしくなでてあげるつもりで、繰り返してみてください。
この言葉は定着するまでに時間がかかるかもしれませんが、じわじわと効いてくると思います。この言葉が定着しても、敏感な心が強くなるわけではありませんが、最後の最後は自分が自分の味方でいる、という少しの自信が持てるようになります。自分を責めないと決めた瞬間、肩が少し落ちる人がいます。呼吸が少し深くなる人がいます。そういう小さな変化が、体を温める第一歩です。自分のなかに、いつでも戻れる安心の場所を作っていきましょう。あなたがあなたの味方でいれば、心はヒヨヒヨのままでも大丈夫です。
