「自然豊かな田舎で子育てがしたい」と、
四万十川(高知県)の流れるまちにたどり着いて13年目。
自給自足を目標に、どたばたわいわいの毎日を楽しむみりんの両親。
まだまだ新米田舎人ですが、田舎ののほほんとした風を、みなさまの元にお届けしていきたいと思っています。
周辺は田畑の広がる田園地帯ですが、自宅は、60年代に開発された100戸ほどの住宅地の一画にあります。
マンション住まいのころから憧れていた庭が手に入りました。早速ガーデニングの本を数冊購入し、「ここにレンガで花壇を造って、ここには落葉樹を植えて、ここにはウッドデッキ…」と、花咲き乱れる美しい庭造りの計画を立てました。雑誌の表紙を飾るような庭ができることを夢見て。それから10年…。
文旦(直径10センチを超える大きなもの)・ぽんかん(甘みが濃い)・温州みかん・小夏かん(渋皮のところに旨味のあるさわやかな味)・きんかん・ぶしゅかん・ゆず・レモン…このかんきつ類の種類の多さはやはり南国高知…南高梅・いちじく・すもも・桜・栗・アーモンド・パッションフルーツ・びわ・オリーブ・山椒(高知名物かつおのたたきに)・月桂樹(スープやハム作りに)・たらのき(春の新芽はてんぷらに)・四方竹(秋に筍が採れる)などなど。当初の計画とは、まったく異なる庭。まさに「花より団子」です。
木々の間を自在に歩き回っているのは、烏骨鶏。羽は真っ白、肉は黒、滋養強壮スープがとれることで有名です。畑でとれた大根やかぶの葉、間引きした青菜などを庭に放り込んでおけば、つっついています。だしをとった後の煮干や魚のあらを投げ込むと、勢いよく走ってきての争奪戦。その様子がなんとも愉快なので、あっちこっちに投げては、一人フフフと笑っている私です。畑の作物が無駄にならないし、残飯整理をしてくれて、糞は庭木の栄養になります。鶏を飼うようになって、我が家で小さいながらも自然の循環ができたという感じです。小さな卵ですが、都会のデパ地下などでかなり高値で販売されているようです。有機野菜や虫を食べて元気に走り回っている平飼い有精卵は、黄身がこんもりと大きくて、ごはんにかけて食べると最高、濃厚で美味です。
田舎に来る前から、「食」は大事なものと思っていたので、台所と食堂を一番広くして家族みんなが集える場にしました。子どもたちが巣立った今は、夫婦二人だけですが、生活の中心は、台所と食堂。私は、一日の大半をそこで過ごしています。その窓から見えるもの…わら・干し草・竹を割って作った鶏のえさ入れ・ミツバチの巣箱・干物作り用の棚・その屋根の上に輪切りのみかん・みかんを食べに来るめじろやひよどり・電線コイルを加工した木製テーブル・すずめよけのテグス・そして16羽の烏骨鶏・果樹。果樹の花は、かわいらしく、いい香りがします。ニンニクやニラの花もなかなかきれいです。雑然としていて人様にお見せできるような庭ではありません。「ガーデニング」なんて言葉はまったく似合いません。でもいくら見ていてもあきません。10年で、すっかり田舎のにおいのする、田舎の味いっぱいの庭ならぬ「食材園」となりました