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マクロビオティック 基礎講座

「マクロビオティック」というと単なる料理方法と思いがち。でももっと深い意味があるんです。長年マクロビオティックに携わってきた弊社スタッフ岸江治次が、その本質について紹介します。

プレマ株式会社
お客様コンサルティングセクション

岸江 治次 (きしえ はるつぐ)

2013 年プレマ入社。マクロビオティック活動歴を活かし、主に、商品の開発と営業に関わってきた。趣味は読書と映画、好きなジャンルはミステリー。最近のおすすめ映画は「ルーシー」。無双原理の時空の概念を捉えるのにマスト。

【Vol.84】マクロビオティック 基礎講座その5

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今回はマクロビオティックの原理である「陰陽バランス」について、また、食による体調の変化を手軽に体感する方法などを弊社スタッフ岸江治次が解説いたします。

世界は「陰陽」でできている
 マクロビオティックの原理原則である「陰陽」については、少しでも理解していただけると役立つと思います。はじめにちょっとした頭の体操を。3分間で対になる言葉……たとえば「明暗」「高低」「男女」「表裏」などをできるだけ多く書き出してみてください。いくつ書き出せますでしょうか。これを何人かですると、同じ言葉でも対になる言葉が違ってくることがあります。
 たとえば、マクロビオティックのことを「正食」といいますが、これに対してそれ以外の食事を「邪食」と考える方もいます。マクロビオティックでは食べ物には悪いものはないとするので、「邪食」という概念はまちがってはいますが、これは人によって物事の捉えか方は違ってくるといういい例でもあり、「正」というとその対に「悪」「誤」などを思い浮かべる方もいらっしゃいます。
 対語は、相反する言葉の組み合わせで、ひとつの世界をつくり出しています。マクロビオティックの「陰陽」の考え方でも、「光」があれば、必ず「影」があるというように、この世の中に存在するものには必ず裏と表があり、世界はそれらが組み合わさってできていると考えます。対になるものは互いに補完し合い、それらのおおもとは究極的にはひとつです。また、この世の中に絶対的に正しいものはなく、相対するもののどちらがよいということもないとしています。

食べ物の「陰陽」の見分け方

 食べ物にもそれぞれ「陰」と「陽」の性質があります。それは、その食べ物の形状や性質、できる季節や地域などを総合して判断します。マクロビオティックの料理教室では「陰」と「陽」の食べ物とを組み合わせて、全体が中庸になるように献立を考えます。食べ物をどう組み合わせると健康になるのかを実際に食して体感し、何を食べると健康になるのかの判断力を養っていくのです。
 食べ物の「陰陽」の見分け方は、簡単にいうと、真ん中に向かっていく力、つまり求心性が働いているものは「陽性」、逆に広がっていく力、遠心生が働いているものは「陰性」です。また縮まる(あたためる)のが「陽性」、広がる(冷える)のが陰性ともいえます。野菜の育ち方では、上昇していくのが「陰性」、下降していくのが「陽性」です。
 たとえば大根やごぼうは冬にできる野菜ですが、地球の中心に向かって地中に伸びていくのが特徴です。「陽性」ですから、食べればからだをあたためてくれます。逆に土の上に伸びていく野菜、夏ならトマトやキュウリがありますが、これらは陰性で、食べれば細胞をゆるめからだを冷やす働きがあります。その土地と季節にあった野菜を食べていれば、自然とからだも整ってきます。
 ジャガイモの場合は地面の下にできるものなのに「陰性」です。それは、ジャガイモは地球の中心に向かって伸びるのではなく、上に向かう力が働いて横に広がり、求心性が弱くなっているからです。また、かぼちゃは地面の上にできますが、上に伸びるのではなく、横に広がる性質があるので、「陽性」の野菜になります。

おいしく楽しく、自然に健康に

 「陰陽」のバランスのとれた食事を続けると元気になっていきます。昔の正食(マクロビオティック)の料理教室は健康指導から始まり、参加者はご病気を抱えた方が主でした。でも今は直接的に健康を目指すというより、食事の「楽しさ」「おいしさ」を求めてマクロビオティックを学び、その結果、自然に体調が改善した、という方が多いようです。桜沢が創始した頃に比べて、今は見た目も華やかな料理で、サラダもあるし季節によっては果物を使うこともあります。「病気」にフォーカスするよりも、それを忘れて楽しく過ごしているほうが、かえってからだにはよいのかもしれません。それほどマクロビオティックの食事は魅力的で影響力の大きなものなのです。

食がいかにからだに影響するか

 さて、マクロビオティックは理論を学ぶだけでなく、実践しないと意味がありません。まずは実際に食べ物がからだにどれほど影響があるものなのか、1ヶ月で手軽に体験できる方法を6つご紹介しますので、やりやすいものをひとつだけ選んで実践してみてください。
(1)ごはんを玄米に変える。
  ※普段玄米を食べていない方に限り。
(2)甘いものをやめる。
(3)パン、小麦をやめる。
(4)雑穀米とみそ汁を1日1回必ず 食べる。
  ※普段、雑穀米、みそ汁を食べて  いない方に限り。
(5)腹7分目で食事をする。
(6)食事の際は、必ずひと口50回噛む。
 (2)~(3)の場合は、その食べ物を1ヶ月断ったあと、再び食べてみることがポイントです。完璧にやめた食べ物を再び食べてみて、翌朝目覚めたときに自分がどんな状態かを感じてみてください。
 (1)は普段食べている白米を玄米に替えるだけです。
(2)は、砂糖と果物を一切断ちます。果物は陰性の強いものですが、とくに病気の方は砂糖を食べるのに匹敵するくらいのインパクトがあります。外食をすれば砂糖は必ず使われているので、外食の多い方は(2)はむずかしいかもしれません。
(3)は、麦は米よりも陰性なので、冷えや肩こりの原因になるとも考えられています。小麦を口にして、アレルギーのような症状が出る方もいらっしゃいます。日本の風土にあった地粉(中力粉)ならまだいいですが、海外から持ち込まれた外麦は日本人の腸には合わないと考えられています。小麦をやめるだけでアレルギー症状が改善したり体調がよくなったりする人もたくさん報告されています。
 (4)は、みそ汁で発酵食を取り入れるということです。1ヶ月続けると婦人科系の機能が弱まっている方は、とくに結果が出やすいと思います。
(5)は本来なら「腹8分目」でもいいのですが、人間は心理的に「腹7分目」といってもどうしても8分目くらいは食べてしまうものなので、少なめに設定しました。要は小食を心がけるということです。
(6)は、食事をコントロールするのがむずかしい方向けです。ひと口に50回噛んで食べ物を唾液とよく混ぜることで、食べ物に含まれる発がん性物質を分解することができるといわれています。たとえ食べ物に雑菌が含まれていても、噛むことでかなりカバーできます。50回噛むには、ひと口をどのくらいにすればちょうどよいかなど2、3日練習する必要があるかもしれません。口の中で食べ物をいかにドロドロにするかの感じがつかめてきたら、数を数えなくても大丈夫です。
 これらの方法を実践すると、普段からよほど完璧に健康な人でない限り、何かしらの変化が必ず出るものです。すぐに元気になることもあれば、デトックス反応が出て、だるさを感じることや、吹き出ものや熱が出たりする場合もあります。それでも続けると症状がひいてきます。今回ご紹介したものは、普段の食生活に何かをプラスするか、マイナスするかの、ごくシンプルな実験です。気軽にお試しいただければと思います。

- マクロビオティック 基礎講座 - 2014年9月発刊 Vol.84

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